2019年8月18日日曜日

既存のミルの欠点を取り除いた軽快な挽き心地、粉が飛び散りにくいミルを考案する(9)

 ずっと、ZZ型のベアリングを使ったモデルを作ってきました。しかし、どうしても水洗いしたいという欲求が出てきます。そこでシャフトを保持する部分をベアリング素材(食品衛生法適合)から削り出してみることにしました。
シャフト保持分を樹脂ベアリング削り出し部品に変更
 残念ながら、本体一体型ではなくなるのですが、全ての部品を気兼ねなく水洗いすることができます。また、機械要素展などで、樹脂ベアリングを調べて見ると、負荷をかけて動作させた時は、金属ベアリングよりも接する面積が広くなる分、摺動が少なくなることもわかっていました。
 空回りの時は明らかに金属ベアリングの方がスムースに動きます。しかし、負荷をかけたときは、金属製のベアリングとほとんど違いがわかりません。私は本体の太さ、組み込まれている刃の感触などで個体認識ができるので、どの個体に樹脂ベアリングが組み込まれているかがわかりますが、何も知らない人が目隠しをして動かしたら、どれが樹脂モデルなのか特定できないと思います。

 また、表面処理をすることにしました。白色アルマイト、硬質アルマイト、無電解ニッケルメッキを試してみました。見本では硬質アルマイトの「アルミっぽくない」質感がカッコよく思われたのですが、どうもこの形状には似合わないようです。無電解ニッケルメッキがカッコイイです。ただ、A7075、A2017、A6061、A5052のどれを選ぶかによって、仕上がりも変わってきますから、まだわからないですね。
アルミ無垢材から削り出したミル 無電解ニッケルメッキをしてみました

A2017 白色アルマイト(左)硬質アルマイト(右)

 内刃・外刃の形状がほぼ決まりました。ただ、外刃の深さを何ミリにしたらよいのかが、まだわかりません。外刃を深くするべきなのか、それとも浅くするべきなのか、絶対の確信が持てません。挽き込む速度が遅いため、外刃を深くしたところ、思ったより負荷がかかり、内刃が想像以上に摩耗しました。

 いつもお世話になっている会長に相談したところ、刃の硬度が不足しているためと見解を示されました。私は、本体と完全に固定されいない外刃が、豆の負荷に耐えきれずに暴れた結果、内刃と干渉したとの推測をしたのですが、設計値を見た瞬間、そのようなことはないと即答されました。ときどき感じる「ナイロンPAの内刃と外刃が擦れているような感触」についても、「先入観があるとそうした感触に思われてくるので、注意しないといけない。原因を見誤ってしまう。機械修理に携わっていると、そうした思い込みをする人に出会ってきたし、昔は自分にもそういうことがあった。」とお話ししてくださいました。

 外刃の深さについても、「外刃を深くしたことで、挽き込む量が多くなり、確かに負荷が高くなっているが、これは刃の硬度が不足していることも関係している。もしも、刃に十分な硬度があれば、かかる負荷も少なくなる。」との見解を示されました。

 以前、刃の素材によって挽き心地が変わる可能性がある(その時はチャフが混じらなくなる原因)といったことを書きましたが、その通りになりました。

 もはや、3Dプリンタ素材(PA)ではわからないところまできました。セラミック部品で作らないと、ここから先はわかりません。

 いったい、いくらでできるのか。クラウドファンディングでできるような現実的な金額なのか、先に進みたいと思います。