2015年7月5日日曜日

KONO式(コーノ式)ミル F101とF303の刃を比較する

 今回は、F101とF303の刃を比較します。

 写真を見るとF101、F303は同じように、打ちぬいた板を重ねるタイプの刃が使っており、単体の写真を見るだけでは似たような刃を使っているように見えます。また、大きさの判別が難しいため、上の刃の形状とエッジの立ち方が異なる程度にしか見えません。

 組み込んだ状態で上から見ると、それほど変わらないように見えますが、実際は大きさ、外刃の形状がだいぶ異なります。

コーノF303              高さ(18.5mm)・径(45mm)・螺旋形状(五条)
コーノF101(通常モデル)          高さ(19mm)・径(32mm)・螺旋形状(五条)

大きさも、螺旋の角度も、刃のエッジも異なります

下から見ると大きさの違いがよくわかります
今回手に入れたF101は、状態がひどく、清掃にずいぶん手間取りました。特に内刃は、重ねられた板の隙間から、錆なのか、コーヒーの古くなった油なのか、何か黒いものがいつまでも染み出してきて、なかなか汚れが取れません。板を重ねる構造は、メンテナンス上問題があると感じました。

 この際なので、F101とF303の刃を分解してみました。

 F303の刃は、固くネジ留めされていますが、分解が可能です。非常に固くネジ留めされているため、コーヒーの粉じんは中まで入り込むことはありません。回り止めに、Dカット加工がされ、表裏ともニッケルメッキがされています。高級機にふさわしい構造と仕上げです。




裏側 コーヒーの粉じんは内部まで入り込んでいない


対してF101の刃は、ネジではなく、先端をつぶす形で留められているため、残念ながら、非破壊検査はできませんでした。もちろん、元のボディにつけて使用することができるよう、同じ径のシャフトをつけて組み直すつもりです。
F101先端部

 メッキ代のコストを下げるためか、組み立ててからメッキ、ギザ加工をしているようです。全体にメッキをしていないせいか、ネジで完全に密着させていないためか、内部はさびています。回り止めは、二面加工です。

どの面もさびています。2つくっついているのは、さびで、はがれないためです。

下から見ると、刃の先端が曲がっており、組み立ててから加工していることがわかります

 F303とF101の、どちらが使いやすいかですが、本体の形状が異なるのでなんとも言えないのですが、F101の方がなめらかに感じます。理由は径の大きさなのか、エッジの立ち具合なのか、外刃の形状なのか、螺旋の強さなのか、それとも他の何かなのかはわかりません。

 必ずしも、コストをかけた作りの良い刃の方が、挽き心地が良いわけではないところが難しいです。さらに研究の必要性を感じます。