2016年12月31日土曜日

存在するだけで、気持ちを豊かにするものでありたいと思います

 今年こそ、ミルを完成させるつもりでしたが、F201を使用した各社の比較から予想外の結果が出たり、様々な事情から完成させることができませんでした。期待して下さった皆様に、お詫びいたします。申し訳ありませんでした。

 今年は、自身のモチベーションに大きく関連した出来事がありました。

 9月初旬に観た「君の名は。」の衝撃が、いまだに収まっていません。内容もさることながら、真に愛されるものの大躍進を、私は目の当たりにしました。ニコニコ大百科に書かれた「君の名は。」がもっとも、的確に物語っていると思います。以下に一部を引用します。

********** 引用 ********** 

公開後の項で記載する興行収入から日本で上映された他の興行収入100億円超えの作品と比較すると、

宣伝の少なさ

完成披露試写会や各地の放送局での特番放送は行われたが、製作委員会に二大広告代理店(電通・博報堂)や在京キー局といった強い影響力を持つ会社が加わっておらず、まして大きな興行収入が見込めるわけでもないため、BSのミニ番組出演や過去作品の再放映はあったものの一般的邦画程度の宣伝しか行えなかった。

制作費の少なさ

関係者の発言から推測するにどう見積もっても10億円以下という、日本のアニメ映画としては常識的範疇としても、他の100億超え作品と比べれば明らかに劣り、下手をすると一般的邦画よりも劣る制作費しかかけられていない。

作品自体の認知度の低さ

2015年12月ごろより公式サイトは開設され、5月よりコミック版の連載はスタートしていたものの、ジブリやディズニーといったブランド、人気ドラマの劇場版、海外人気作、有名な実話等ではなく完全オリジナルアニメであるため作品自体の認知度が低かった。特に、この時期はディズニー、ジブリ共に興行期間が競合していた。

新海誠監督自身の認知度の低さ

ネット界隈では「秒速5センチメートル」などである程度認知されているぐらいで、世間一般的認知度の低さが否めない。前作『言の葉の庭』はDVDの売上が主目的の短い興行期間だっとはいえ上映館数23館、興行収入1.5億である。

上映館数が少ない

初の大規模公開で約300館の大博打(興行収入40億円を記録した「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」でさえ約120館)とはいえ、他の100億作品と比較すると上映館数が100~150館は少ない。
集客が見込みづらい公開日 一番集客が見込める夏休みの終わりであり、かつブーストが見込める次の長期休暇期間まで一番長い8月26日という最悪な公開日。

上映特典一切なし

前売り券ではA4のクリアファイルがあったものの、初動のかさ上げに行われる上映特典が一切なかった。

また比較以外の不安点として、

人を選ぶ新海監督の作風

 「秒速5センチメートル」で顕著だが本人としてはあれでもハッピーエンドだったというファンと監督以外との世間一般とは大きく乖離した部分があった。

俳優起用の配役

本作は著名声優や人気のあるタレントによるゲスト出演がほぼ無く、ベテラン女優や演技派俳優などが多く声を充てている。一見問題ないようだが、この演技次第では全くの不発で終わる可能性も少なくなかった。

RADWIMPSと新海誠作品との相性が未知数

監督が好きだと評する「ふたりごと」や、瀧や三葉のキャラ設定の参考になったという「君と羊と青」からはじまり、「おしゃかしゃま」「五月の蝿」といった聴き手を選ぶような曲も手がける野田洋次郎。良く言えば作風が広いとはいえるが、情報が解禁された当初はどのような化学反応を示すのかが全くの未知数だった。要するに両極端になりうることが十二分に想定されたのである。

以上のように、大作映画としてどころか普通のアニメ映画としてみても、興行が不安視されていたことが伺える。ネットの反応にしても、公式サイトこそ週一ペースで頻繁に情報が更新されていたものの、Twitterでは後から見れば反応があったことが伺える程度、2ちゃんねるの「君の名は。」の本スレが公開日でせいぜい2スレ目であったことからも、一般的アニメ映画程度かそれ以下の期待値でしかなかったことがわかるだろう。

しかしこの最悪としか言いようがない条件から、日本映画史に新海誠の名を刻む大躍進が始まる。

********** 引用ここまで ********** 

 真に愛されるものが、正当な評価を得る瞬間を私は見ました。巨大な影響力を持つ、在京キー局・大手広告代理店の宣伝がなくとも、本当に人々が共感して人に伝えたものが、どれほど人を動かすかを、私はリアルタイムで目にしてきました。

 ズルをしない。うそをつかない。人の話を聞くこと。観客が何を望んでいるんだろう、何を観てもらうことが皆さんに楽しんでもらえることにつながるんだろうと、耳を澄ませて、目を開いて、感じていくこと。

 これほどの大ヒット作を作りながら、本当に謙虚な方です。

 ヒットする要件は、本当にわからないと思います。キャッチーな要素を組み合わせればヒットするなどという単純な話ではありません。

 私のつくるミルは、決して爆発的なヒットにはならないことはわかっています。製造にかかるコストから販売価格を考えると、そもそも、売れるかどうかも怪しいです。それでも、必ず作りたいと思っています。

 先日、今の私に出来ることは、ズルをせず、真正面から向き合うことだけだと書きました。

 今まで、皆さんわかっていたけれどやらなかった。やりたかったけれど、コスト面から非現実的だった、ということを思いつく限り行います。

 こうしたものは、実際に存在することが重要です。お金を出しても存在しないのと、たとえ非現実的な金額であっても、実際に存在するのとでは、大きく違うものと思います。

 世の中には、実際に見たこともないけれど、「あること」だけは知っているというものがあります。一生、自分には縁のないものでも、「あるだけ」で大事なものです。

一生、直接見ることも、触ることもないけれど、知っているもの。

朝香宮邸 庭園美術館 ~ 存在するだけで、豊かな気持ちになります


あるだけで豊かな気持ちになれるもの。

あるだけで満足するもの。

あるだけで安心するもの

あるだけで誇らしい気持ちになるもの。

このミルは、存在するだけで、皆さまの気持ちを豊かにするものでありたいと思います。

2016年12月24日土曜日

F101の刃を元に設計してみました

 F201のボディにいろいろな刃を組み合わせ検証してきましたが、その中で一番良い感触だったのはF101でした(まだF201にスタビライザーを組み込んだもの・Fiscoが残っていますが)。

 今まで、ずっとF303の刃をベースに作成してきましたが、とりあえずF101の刃も作成することにしました。

 F101の、どの形状が具体的にどう作用しているのかは、まだわからないことが多いのですが、F101の刃をベースにすると、メリットがいっぱいあるためです。

・加工費が安い

 小さくなることで、加工費が安くなります。極小部品にならない限り、一般的に小さくなると、いろいろな費用が安くなります。

・本体のスペースに余裕ができるので、設計の自由度が増す

 F303の外刃をベースにした部品をSpongの形状に組み込むため、それこそ1mm、0.5mmの寸法を、どう削るか、薄くするかといったことをしてきましたが、一気に余裕ができ、設計の自由度が増しました。外観形状を変えるわけではありませんが、強度、加工上の余裕が増したため、より品質向上を望めるようになりました。

KONO F101 内刃
F101の内刃を設計してみました

・挽く速度は変わらない

 比較の結果、挽く速度に影響があるのは、粒度の大きさで、必ずしも大きな刃を使うから、挽く速度が速くなるわけではないことがわかっています。今回F101の相似形を設計したのは、加工費が安くなるから、設計の自由度が増すからといった「こちらの都合」で変更したわけではありません。純粋に感触が良かったから、挽かれた粉の品質が良かったから、この形状を選んだのだと言い切れます。

 材質・形状が少しでも異なれば、違ったものになることはわかっています。私が設計したものは、別物かもしれません。しかし、それでも感触の良かったF101をベースに作ることは意味のあることだと思っています。

2016年11月19日土曜日

君の名は 時を渡りて 天伝ふ 誰そ彼ときに 関は消えたり ~ 「君の名は。」のパンケーキを作ってみました(4)

 1月7日(土)〜2月7日(火)、池袋パルコ本館の7階に「君の名は。」カフェが誕生というニュースが流れました。ここに、パンケーキの詳細情報があったので、追記しました。
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 「君の名は。」のパンケーキ作りに狂っている私に、友人がこんな画像があったよと送ってくれました。TV画像をキャプチャーしたとのこと。DVDが発売されたら作ろうと思っていたのですが、早く手に入ってうれしいです。好きな人の所にモノは集まってくると言いますが、本当にその通りですね。

 友人の期待に応え、早速作ることにしました。


三葉てめえ、ばか高いケーキとかドカ喰いしてんじゃねえよ!。司たちが引いているだろう
「三葉てめえ、ばか高いケーキとかドカ喰いしてんじゃねえよ!。司たちが引いているだろう」の図

パンケーキをドカ喰いしている場面をリアルに比較
パンケーキをドカ喰いしている場面をリアルに比較

モデルは息子です。今まで、何度もパンケーキを作っているのを見ているので、非常に協力的でした。

 半袖シャツの袖口、胸ポケットの口が緑でなくてすみません。あとはネクタイのストライプが逆ですね。瀧のネクタイは右下がりのブルックス・ブラザーズ式レップタイ(米国起源)、息子の制服は右上がりのレジメンタル(英国起源)です。ブルックス・ブラザーズは好きですが、タイはストライプの時はレジメンタルにしているので、購入しませんでした。

 椅子は、偶然にも我が家のものと同じです(!)。

 実際に作ってわかったのは、生クリーム、イチゴとも凄い量を使うということです。生クリームは200mmのワンパック全部でギリギリ足りるか足りない位、イチゴにいたっては25個(!)、1パック10個入り500円としても、イチゴだけで1250円・・・。季節によってはもっと高いですから、カフェで頼んだら、結構するのではないでしょうか。「ばか高いケーキとかドカ喰いしてんじゃねえよ!」と、瀧が怒るのも無理もないと思います。

 さて、食べた本人の感想ですが、「かなり量が多い」とのこと。確かに三葉はドカ喰いしていたようです(笑)。
 その場で作る生クリームはおいしいですね。コーヒーは煎りたて・挽きたて・淹れたての「三たて」がおいしいですが、生クリームも、作りたてはおいしいです。先日の秋のパンケーキ祭~紅葉狩鬼揃でも、その場で作った生クリームのおいしさが話題になっていましたっけ。

 結局、私が食べたのはほんの少しだけで、残りは全部息子があっという間に食べてしまいました。瀧ではありませんが「ていうかそれ俺の金だろうが!(笑)」と言ったら、カラカラと笑って向こうへ行ってしまいました。

+ 2017/1/8追記 ++++++++++++++++++++++++++++++++

 1月7日(土)〜2月7日(火)、池袋パルコ本館の7階に「君の名は。」カフェが誕生の記事中に、上から「撮影したケーキ」の写真があったのですが、「食べている場面のケーキ」からはわからないことがいっぱいありました。

瀧(中身は三葉)が思わず撮影したパンケーキ
「ばか高いケーキ」 瀧(中身は三葉)が思わず撮影したパンケーキ
  • 「撮影したケーキ」にはイチゴシロップ(?)がかかっている。「食べている場面のケーキ」にはかかっていないように見えたが、シロップは手前側にしかかかっていないようので、見えないだけだった。
  • 「撮影したケーキ」のイチゴには葉が付いている物がある。「食べている場面のケーキ」にはついていないものしかないが、天辺のイチゴ以外は隠れる位置にあるから、見えないだけだった。
  • 「撮影したケーキ」には天辺にイチゴがあるが、上の「三葉てめえ、ばか高いケーキとかドカ喰いしてんじゃねえよ!。司たちが引いているだろう」の図を見ると、まさに1個食べているので、天辺のイチゴを食べたようだ。
  • 「食べている場面のケーキ」では、上段のイチゴの間の「ピンク色のもの」は、生クリームに見えたが、「撮影したケーキ」を見るとマカロンだった。
  • ベリー以外に、「赤い小さな実」がある(1/8現在、何の実か不明)。
  • ミントの葉もある。これも見えないだけだった。
「三葉てめえ、ばか高いケーキとかドカ喰いしてんじゃねえよ!。司たちが引いているだろう」の図(2)  口を閉じて、モグモグしている場面
「三葉てめえ、ばか高いケーキとかドカ喰いしてんじゃねえよ!。司たちが引いているだろう」の図(2)

天辺のイチゴを食べて(?)、モグモグしている場面です。

リアルに比較する写真を撮った感想では、口をあいている場面の方が、現実の人間は笑顔を表現しやすいです。
最初に手に入れたキャプチャーが、口を開けていて良かったです。

 PARCOのパンケーキは1480円で食べられるようですが、私の試算では、イチゴだけで1250円。加えて8個もマカロンを使っていることを考えると、ちゃんと再現しようとすると原価だけで軽く超えてしまうようです。

PARCOのメニュー 「瀧と入れ替わった三葉も思わず写真を撮りたくなったパンケーキ」(1480円)
PARCOのメニュー 「瀧と入れ替わった三葉も思わず写真を撮りたくなったパンケーキ」(1480円)

 抹茶パフェは良いアイデアですね。見立ての文化を持つ日本ならではのものと思います。材料は何でしょうか。作ってみたいです。


御神体のある山頂を再現した抹茶パフェ
御神体のある山頂を再現した抹茶パフェ


 「君の名は。」で茶会を開きたいですね。

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 「君の名は。」がヒットした要因について、新海監督のコメントに「誰もズルしなかった」という記事がありました。一部を引用します。
 
 監督が思う同映画のヒットの要因について聞かれると「原因はわからないが、プロデューサーと『誰もズルしなかったもんね』という話になりました」と述懐。「作画チームも声優チームもみんな愛があって、(声優を務めた)神木(隆之介)くんもすごい気合で、(上白石)萌音ちゃんも台本すべて暗記してきた。みんな今までのルーチンでそこそこのパフォーマンスでやらなかった」と分析。そしてターゲットとしていた20代だけでなく幅広い層に浸透したことについては「人の話を聞く、ヒアリングをたくさんした。お客様の気持ちを置いていかないようにしたことが功を奏したと思う」と語っていた。

引用ここまで。

 全員が一所懸命に向き合ったことが、この結果を生んだとの、いかにも新海監督らしい控え目なコメントです。しかし、私としては、それだけではなく、何より、作品自体に「この作品に対して自分は誠実に向き合わなければならない」と思わせるだけの力がなければ、そうはならなかったと、声を大にして言いたいと思います。いくら「ズルはいけない」といわれても、気持ちがついていかなければ、高いモチベーションを維持できません。作品自体に力があり、かかわる人が、みんなズルをしない、いや誠実に向き合いたいと強く思ったからこそ、この結果が生まれたと思うのです。
 「君の名は。」は、間違いなく大切にしたい、慈しみたいと強く人を思わせるものに満ち溢れています。

 作品自体がすばらしく、それに関わることがうれしいと思わせるものがなければ、真に愛されるものにはなりません。私の作るミルも、そうありたいと強く思います。

 今の私に出来ることは、ズルをせず、真正面から向き合うことだけです。

2016年11月13日日曜日

プジョーの刃とF201のボディを組み合わせる(1)

 今回は、F201にプジョーの刃を組み込んでみました。相変わらず、時々空回りしてしまうプジョーの刃ですが、他の刃を検証した結果があまりに予想外だったので、いつまでも先送りするわけにもいかなくなってきました。ザッセンハウスに似た形状を持つプジョーの刃が、どのような評価を得るのか、検証したいと思います。

 比較項目は、ザッセンハウス同様、スタビライザーの有無で、挽き時間(ハンドルの回転回数)、挽き心地、粒度のバラツキについて粗挽き・中挽き・細挽きを、同じ豆、同じ量で検証します。

豆の種類 : アラビカブレンド深煎り
豆の量   : 約10g カリタコーヒーメジャーカップ#44059 すり切りいっぱい

①スタビライザーなし
                           回転数       挽き心地                                       バラツキ     
 ①-1 粗挽き:  30回  ざらつきがあるが、非常に軽い。          粒度はバラバラ 
 ①-2 中挽き:  37回  ざらつきがあるが、最後まで滑らか。    粒度は揃うが粗い粉が混じる
 ①-3 細挽き:  44回  最後まで非常に滑らか                       粒度は揃うが、若干粗い

②スタビライザーあり
                           回転数       挽き心地                                       バラツキ     
 ②-1 粗挽き:  35回  ざらつきがあるが、非常に軽い           非常に 粒度が揃う
 ②-2 中挽き:  38回  ざらつきがあるが、最後まで滑らか     ほぼ、粒度が揃う
 ②-3 細挽き:  50回  最後まで非常に滑らか                      粒度は揃うが、若干粗い

★粗挽きの評価

 スタビライザーをつけたプジョーの粗挽きは、非常に粒が揃います。極端に大きな粒があったり、細かい粉が混じったりするわけではないです。しかし、挽く速度は遅いです(回数が多いです)。というか、この刃は隙間が大きいようで、他の刃よりも細かい側に設定する必要があり、粒度がそろうのはそのためのような気がします。事実、これ以上粗く設定すると、F303同様、急激に粗い粉が多くなります。

 スタビライザーをつけたプジョーの粗挽きは粒度が揃いましたが、スタビライザー無しでは、結果は全く異なります。本当に同じ粗さで挽いているのか?と思うほど大きな粒が混じります。今まで何種類かの刃を比較してきましたが、これほどまでスタビライザーの効果を感じたことはありませんでした。

 挽き心地は、スタビライザーの有無にかかわらず軽いですが、最後までガリガリとした印象があります。ひっかかり具合の印象はF303に近いです。

プジョーの刃で挽いた粗挽き比較 左がスタビライザーなし 右がスタビライザーあり

★中挽きの評価

 スタビライザーをつけたプジョーの中挽きも、粒が揃います。しかし、粗挽きのような大きさの粒が入っているという印象があります。

 スタビライザー無しのプジョーですが、粗挽き同様、品質が悪くなります。粗挽きのような大きさの粒の数が、パッとわかるほど多くなります。プジョーの刃に、スタビライザーは必須のようです。

 挽き心地は、ざらつきがありますが、The Coffee Mill同様、一回も豆を噛みこむ感覚なしに、最後まで同じトルクでひっくことができます。オリジナルモデルでも、プジョーは軽い挽き心地でした。
プジョーの刃で挽いた中挽き比較 左がスタビライザーなし 右がスタビライザーあり



★細挽きの評価

 今回も刃がガリガリとかみ合わないギリギリの隙間、刃の限界点です。

 これはダメです。細挽きはまったく話になりません。F101でも挽く速度が速かったので、粗いかもしれないという予想をしましたが、プジョーはさらに粗いです。

 ザッセンハウス・The coffee MIllは70~80回、F101は47~48回、プジョーは40回~47回です。「これは粗いかな」と思って受け皿を開けたのですが、やはりそうでした。

 挽き心地は、F303に似て、時々ひっかかる印象があります。

プジョーの刃で挽いた細挽き比較 左がスタビライザーなし 右がスタビライザーあり

 


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 今回の検証結果ですが、中細~中粗挽きだけが安定しているという印象です。どうやらある一定以上の粗挽きと、細挽きが苦手な刃というものがあるようです。

 ザッセンハウスの刃とプジョーの刃は形状が似ていることもあり、挽き心地の差はホッパーの形状にあると思っていました。しかし、細挽きの粉を挽いた際に明らかな差があり、刃自体に差があるとしか思えない結果が出ました。もしかしたら、両者の形状を比較すれば何かがわかるのかもしれません。

 検証すればするほど、どういった形状の刃が良いのか、わからなくなっています。しかし、プジョーの刃もF303と似たような傾向を示すということで、データがひとつ増えました。

2016年11月5日土曜日

F303の刃とF201のボディを組み合わせる(4)

 今回は、再度F201にF303の刃を組み込んだテストをしてみます。

 F101は粗挽き、中挽きの時は、すばらしく滑らかな挽き心地を持っていました。これで細挽きの品質さえ良ければ刃の形状が決定します。相似形であるF303がどのような評価を得るのか、検証したいと思います。

 比較項目は、今まで同様、スタビライザーの有無で、挽き時間(ハンドルの回転回数)、挽き心地、粒度のバラツキについて粗挽き・中挽き・細挽きを、同じ豆、同じ量で検証しようと思ったのですが、アダプターをスタビライザーありの前提で作成したので、スタビライザーをつけないと、刃が落ちてしまうことがわかり、スタビライザーありの状態だけの計測となりました。すみません。

豆の種類 : アラビカブレンド深煎り
豆の量   : 約10g カリタコーヒーメジャーカップ#44059 すり切りいっぱい

スタビライザーあり
                           回転数       挽き心地                                          バラツキ     
 ②-1 粗挽き:  30回  最後まで滑らか。非常に軽い。                大きな粒が混じる
 ②-2 中挽き:  36回  最後まで滑らか。途中で固いことがある。  粒度が揃う
 ②-3 細挽き:  79回  最後まで滑らか。途中で固いことがある。  ほぼ粒度が揃う


★粗挽きの評価

 皆さんの期待を裏切って申し訳ないのですが、なんと粒度が安定しません。粗挽きの範囲を超えた大きな粒が混じります。他のどのミルでも、細かい粉と大きな粉は混在するのですが、特に大きな粒が混じるという印象があります。何かの間違いかもしれない、私の設定が悪いのかと思い、中挽きから粗挽きに何度も調整したのですが、変わりません。わかったのは突然、粗い粉が多くなるところがあり、それを超えると範囲を超えた大きな粒が多くなるということです。大きな粒が出ないように設定すると、粗挽きでありながら、細かい粉が多くなり、粒度が安定しないという印象が強くなります。狙った粒度を出すのが、非常に難しいです。
 今まで粗挽きで挽くことがなかったのと、粗挽きの粒度について深く考えたことがなかったので気にしていませんでしたが、こうして比較すると、かなり安定しない(=設定が難しい)ことがわかりました。

 挽き心地は、他のモデル同様、粗い粉を挽くときは軽くなるのですが、時々、ひっかかることがあります。今まで、気にしたことがなかったのですが、F101の刃を使った後だからでしょうか。わずかな引っかかりも気になるようになってしまいました。

★中挽きの評価

 この傾向は中挽きも同じで、調整に苦労します。写真でもわかる通り、若干、通常の中挽きよりも細く挽いています。そうしないと粗い粉が混じります。

 挽き心地は、粗挽き同様、時々ひっかかることがあります。一度に挽く量が多くなったからでしょうか。ザッセンハウスのように、回転が止まるほどの固さではありませんが、終始滑らかというわけではないです。

★細挽きの評価

 今回も刃がガリガリとかみ合わないギリギリの隙間、刃の限界点です。

 残念ながら、細挽きもあまり細かくなりません。細かい粉を挽けるのだから、細挽きは上手くいきそうな感じがしますが、ザッセンハウスのようにふわっとした印象はなく、ペタリとした印象です。この刃は、ガリガリとかみ合わないギリギリの隙間が大きいです。もともと精度良く作られた刃なのですから、もっと細かく挽けそうなものですが、そうでもなかったです。

F303の刃で挽いた粉
F303の刃で挽いた粉の比較 左から粗挽き、中挽き、細挽き

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 今回の結果には驚きました。自分のしているテスト方法が、どこか間違っているのではないかと思い、何度もやり直しましたが、結果は同じでした。

 粒度設定のしにくさという点で、この刃は大きく劣ります。評判の良いF303の刃ですが、それは今まで「このモデルだけがシャフトを両抑えしていることで、空廻しのした時の動きが良かったため」だと思わざるを得ません。他の刃も、同じようにシャフトを両抑えした条件下では、その優位性は大きく揺らぎました。

 もちろん、きちんと粒度を固定して使っている方には問題ありません。しかし、当ブログとしては、頻繁な分解掃除を推奨しており、分解掃除後の調整の手間を考えると、高い評価を下すことができません。

 そして、F303の刃はF101の同様、分解掃除の手間がかかりすぎます。他の刃は内刃は1つのパーツでできていますが、分解してしまったこともあり、10個ものパーツを洗う必要があります。組立の順序などは慣れればそれほどでもありませんが、それでも1回で正確に順番通り組み上げるのは、まず無理です。間違いなく高頻度な清掃は億劫になります。また、板と板の間にわずかな隙間があることも、古い粉が残り続ける要因です。

 分解掃除の頻度が少なくなること、古い粉が残り続けること、これは、下記の当ブログの考える「良い手動式ミルの条件」の2点を満たしません。

 第一条件:古い豆、粉がミルの中に残らないこと。
 第二条件:(分解・)掃除(・組立)がしやすいこと。

 今までずっとF303の形状こそ優れた形状だという前提に立って、すべてのサイズ・形状を規定してきました。本体の大きさ、厚さなど、F303の内刃・外刃が収まるギリギリに収めるため、0.1mmどこで削るかというレベルで何度も設計変更、打ち合わせをしてきました。

 「図面は簡単に描けるかもしれないが、実際に加工するとなると、これだけの厚さがないと歪むから厚さを確保してほしい。」
 「この部分をあと0.5mm大きく削れば、加工精度が飛躍的に向上する。エンドミルのブレをなくすためにも、大きくした方が良い。」
 「この斜めの形状は必須なのか?ここを直線にすれば、加工が楽になる。加工時間も短くなるし、高価な機械を使わずに済むから、安くできるし、何より精度が向上する。」
 「ネジ径が小さいが、なんとかならないか。この径では強度が確保できない。もう1サイズ大きくないと耐えられないだろう」

 こうしたやりとりを、それこそ年単位で、何度もしてきました。

 しかし、今回の検証結果は、その前提を根底から覆してしまいました。

 一体、F101の優位性とF301の違いはどこにあるのか。材質・形状の差が原因なのか。まだ検証していないプジョー・FISCO・F201を研究することでわかるのか。それとも、さらに変数が増えるのか・・・。

 本体の外部形状はともかく、他の部分はすべて振り出しに戻ってしまいました。

 まさか、このような結果になるとは、予想もしていませんでした。F303の優位性を疑ったこともなかったので、かなり衝撃を受けています。

2016年11月3日木曜日

君の名は 時を渡りて 天伝ふ 誰そ彼ときに 関は消えたり ~ 「君の名は。」のパンケーキを作ってみました(3)

 友人から「なぜ趣味人氏がそんなに「君の名は。」に感激しているのか、正直言って良くわからなかったけれど、更新された投稿を読んで、やっとわかったような気がする。「過剰品質」や作品を取り巻く人の熱い思い、そして趣味人氏も、まだ見ぬ人を探していたんだね」と言われまして、ああ、伝わったのだなと思いました。書いてみるものですね。

君の名は 時を渡りて 天伝ふ 誰そ彼ときに 関は消えたり ~ 「君の名は。」のパンケーキを作ってみました(1)
君の名は 時を渡りて 天伝ふ 誰そ彼ときに 関は消えたり ~ 「君の名は。」のパンケーキを作ってみました(2)

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 前回はベリーの色がきれいでなかったり、左上のほうにある、四角いお皿とコーヒーフレッシュとアメ(?)のようなものがなかったりしたので、作り直しました。
「君の名は。」 パンケーキ
君の名は。パンケーキ

 
君の名は。パンケーキ 比較-
君の名は。パンケーキ 比較

「君の名は。」 パンケーキ
「君の名は。」のパンケーキ元ネタ このラベルのメープルシロップは、現実にはないようです。 
 四角いお皿の「アメ」ですが、コーヒーフレッシュと一緒の皿に置くなら「砂糖」のほうが自然と思い、砂糖にしました。アメ・キャラメル・砂糖のいったいどれなのか、縞模様で1個パッケージのものを、いろいろ探し廻ったのですが、どうもぴったりのものがないようです。砂糖と仮定して、ホワイトシュガーとブラウンシュガーの、両方を置いてみました。

 キャラメルマキアートが、何度やっても沈んでしまうので、チョコペンで書いてしまいました。

 先日、感想を戴いた方々をお招きして(無理やり呼び出して)、紅葉狩-鬼揃ならぬ、秋のパンケーキ祭 & 後夜祭をいたしました。
春のパンまつりほどの奇祭ではありませんが、平維茂が接待役になるという、逆転祭。おかげさまで、用意した食材は、生クリームまで、きれいさっぱりなくなりました。後夜祭も、昼からずっと一緒だったのに、尽きることない会話で、予定時間をはるかに超えて大盛り上がり。楽しかったー!

+ 神話に関する「過剰品質」なお話 ++++++++++++++++++++++++

イザナミイザナギの結婚の話は、もう何度も書かれていますが、京阪神の人向けにも補足します(以下、東京の地図を見ながらどうぞ)。
 イザナギ・イザナミの国生みと関係してくるのところですが、三葉が飛騨から来て最初に瀧と会うときと、最後に、2人が出会うときです。

 最初に会うとき、代々木駅で三葉は瀧を見つけます。そして、同じ電車に乗ってしばらくためらった後、声をかけます。ここで瀧に「誰?」と言われてしまうわけですが、実は神話的にも、最初に三葉(イザナミ)が声をかけることで、この出会いは失敗することが示唆されています。

 これに対して、最後に会うときは違います。二人は新宿で別ホームから四ツ谷・お茶ノ水方面の電車に乗ります。三葉が総武線(中央総武緩行線)、瀧が中央線快速です。代々木を過ぎたあたりで電車は並走、映画の通り、実際に隣に走る電車の乗客の顔までわかります(ここでお互いに気が付く)。三葉は総武線の次の停車駅の千駄ヶ谷で降り(中央線快速は止まりません。ホームもないです)、瀧は中央快速線の次の停車駅、四ツ谷で降ります。
 ここからキービジュアルの須賀神社(本宮の出雲の須我神社は和歌発祥の地!)への道のりをたどると、瀧は左回り(イザナギ)、三葉は右回り(イザナミ)に動いているのが分かります。しかも電車の動きも、快速が四ツ谷まで行くと左回りに回りますが、総武線千駄ヶ谷で下りると左回りになる前なのです。
 そして、声を最初にかけるのは瀧(イザナギ)です。これで、これからも二人は上手くいく、ハッピーエンドということが示唆されていると思います。

 映画を見た時は、なんで三葉は、そのまま四ツ谷まで乗り続けないんだ?東京に住んでいるなら、そこで降りたら、いくら思いがあってもダメなのはわかるだろう。瀧は先に四ツ谷の総武線ホームで待っていると考えるのが普通で、千駄ヶ谷で降りたら、それこそ会えなくなるだろうと思いましたが、必然の動きなのですね。

 東京では他に、丸ノ内線の中野坂上-新中野、中野坂上-中野新橋で隣の車両内が見える状態で並走するので、瀧が新中野、三葉が中野新橋下車ならドラマが成立しそうです。でも、十貫坂上では出会う場所が劇的ではないですね。あとは田端-品川間で京浜東北線快速と山手線、池袋-大崎間で埼京線と山手線で成立しそうな気もしますが、明らかにそのまま乗り続けないと不自然ですし、左回り・右回りが両立する個所がありません。唯一、上野-鴬谷間が左回りですが、鴬谷で降りるというのは、ちょっとどうですかね・・・・(大阪ですと京橋から桜ノ宮にかけて歩いたという感じです・・・)。

 大阪で言うと阪急梅田に向かう途中、瀧が京都線に乗車、三葉が宝塚線に乗車、十三を過ぎ中津につく前にお互いに気が付く。三葉は中津で下車、瀧は梅田で下車(東京の方へ:京都線は中津に止まりません。ホームもないです)、そこで降りて、お互いを探すといった感覚です。
 四ツ谷-千駄ヶ谷間は、中津-梅田ほど近くはありませんが、三葉には、そのまま乗車していろ!と言いたくなりますよね。
 これが京阪本線の普通中之島行きと区間急行淀屋橋行き(他の組み合わせもありますが)が野江付近で並走、お互いに気が付くという設定だと、京橋駅のホームで出会えますからダメな訳です(この感覚は、京浜東北線と山手線の並走感覚とほぼ同じです)。

2016年10月30日日曜日

F101の刃とF201のボディを組み合わせる(1)

 今回は、F201にF101の刃を組み込んでみました。前回、挽いている時にも、The Coffee Millを上回る滑らかさを得ることのできる刃は存在するか検証すると書きました。F101がどのような評価を得るのか、検証したいと思います。

 比較項目は、ザッセンハウス同様、スタビライザーの有無で、挽き時間(ハンドルの回転回数)、挽き心地、粒度のバラツキについて粗挽き・中挽き・細挽きを、同じ豆、同じ量で検証します。

豆の種類 : アラビカブレンド深煎り
豆の量   : 約10g カリタコーヒーメジャーカップ#44059 すり切りいっぱい

①スタビライザーなし
                           回転数       挽き心地                                       バラツキ     
 ①-1 粗挽き:  25回  最後まで滑らか。非常に軽い。              ほぼ、粒度が揃う 
 ①-2 中挽き:  37回  最後まで滑らか。                                ほぼ、粒度が揃う
 ①-3 細挽き:  47回  最後まで非常に滑らか                         粒度は揃うが、若干粗い

②スタビライザーあり
                           回転数       挽き心地                                       バラツキ     
 ②-1 粗挽き:  25回  最後まで滑らか。非常に軽い。              非常に粒度が揃う
 ②-2 中挽き:  38回  最後まで滑らか                                  非常に粒度が揃う
 ②-3 細挽き:  48回  最後まで非常に滑らか                         粒度は揃うが、若干粗い

★粗挽きの評価

 スタビライザーをつけたF101の粗挽きは、非常に粒が揃います。極端に大きな粒があったり、細かい粉が混じったりするわけではなく、受け皿を開けた瞬間、「粗挽きの粉が揃っている」という印象を受けました。ザッセンハウスの細挽きの粉は、受皿を開けた時の印象がすばらしいと書きましたが、F101の粗挽きでも同じことが言えます。

 スタビライザー無しでは、ザッセンハウス、The Coffee Millほどではないにせよ、やはり大きな粒が混じりました。スタビライザーの効果はここでも明確に現れます。

 ザッセンハウスの刃とF201のボディを組み合わせる(4)で、どういった粗さの粉を「粗挽き」として認識しているのか、大きな破片も、細かい粒もあり、いったい何を持って粗挽きとするのか?という疑問が浮かび上がると書きました。しかし、スタビライザー付きのF101で挽いた粉は、「粗挽き」という印象を与えてくれます。

 挽き心地は、スタビライザーの有無にかかわらず、最後まで非常に軽く滑らかに挽けます。挽くスピードは、ほとんど変わりません。重さもザッセンハウス、The Coffee Mill同様、粗い粉を挽くときは軽くなります。

F101の刃で挽いた粗挽き比較
F101の刃で挽いた粗挽き比較 左がスタビライザーなし 右がスタビライザーあり


★中挽きの評価

  もう、なんといってよいのかわからないくらい、スタビライザーをつけたF101の中挽きは、粒が揃います。粗挽きの際も、受け皿を開けた瞬間、「粗挽きの粉が揃っている」という印象を受けたと書きましたが、さらにその上を行きます。見た瞬間に「キレイな粉が挽けた」と思いました。

 挽き心地は、The Coffee Mill同様、一回も豆を噛みこむ感覚なしに、最後まで同じトルクでひっくことができます。オリジナルモデルでも、滑らかな挽き心地を感じましたが、持ちやすさもあり、さらに滑らかさが増しているように感じます。

 特筆すべきは、ざらつき感がないことです。粗挽きでは、若干あったざらつき感が、中挽きではほとんどなくなります。固いものをガリガリと削っているのではなく、無理なく挽いているという感覚があり、掌に伝わってくる感触が、実に心地良いです。

F101の刃で挽いた中挽き比較
F101の刃で挽いた中挽き比較 左がスタビライザーなし 右がスタビライザーあり

★細挽きの評価

 今回も刃がガリガリとかみ合わないギリギリの隙間、刃の限界点です。

 粗挽き、中挽きであれほどの揃った粉を挽けるのですから、細挽きも品質が良いのではないかと大いに期待したのですが、残念なことに、ザッセンハウス、The Coffee Millの細かさには到底及びませんでした。

 挽く速度が圧倒的に早かったこと(ザッセンハウス・The coffee MIllは70~80回、F101は47~48回)で、「これは粗いかな」と思って受け皿を開けたのですが、やはりそうでした。ザッセンハウスにある「ふわっとした粉」という印象は全くなく「ぺたっとした粉」の印象です。

 ただ、挽き心地は、さらに滑らかになります。ざらつき感は完全になくなり、ハンドルを握る右手には、細かい粉を挽いているなぁと思わせる、心地よい感触だけが伝わってきます。

 この感触はスタビライザーの有無にかかわらず、得られます。
F101の刃で挽いた細挽き比較
F101の刃で挽いた細挽き比較 左がスタビライザーなし 右がスタビライザーあり

 

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 今回の検証結果ですが、粗挽き、中挽きは挽き心地、粉の品質とも明らかに、The Coffee Mill・ザッセンハウスを上回ります。

 粗挽き・中挽きに適した形状の刃と、細挽きに適した形状の刃があるのではないかと思うほどです。それほどまでに、違いがありました。もしも、粗挽き・中挽きに適した形状の刃があり、この挽き心地を実現するために、細挽きを犠牲にしなければならないとしても、私は無条件に、この形状を選択します。それほどまでに品質が良く、心地良いです。

 粗挽き・中挽きに関する限り、理想のミルのようですが、決して良いことばかりではありません。F101の刃は、分解掃除の手間がかかりすぎます。他の刃は内刃は1つのパーツでできていますが、分解してしまったこともあり、10個もの錆びやすいパーツを洗う必要があります。組立の順序などは慣れればそれほどでもありませんが、それでも1回で正確に順番通り組み上げるのは、まず無理です。間違いなく高頻度な清掃は億劫になります。また、板と板の間にわずかな隙間があることも、古い粉が残り続ける要因です。

 分解掃除の頻度が少なくなること、古い粉が残り続けること、これは、下記の当ブログの考える「良い手動式ミルの条件」の2点を満たしません。

 第一条件:古い豆、粉がミルの中に残らないこと。
 第二条件:(分解・)掃除(・組立)がしやすいこと。

 現在、私が設計している内刃は一体型ですので、上記条件を満たしますが、それ以前に、粗挽き、中挽きを優先するのか、細挽きを優先するのか、もしかしたら万能の形状があるのか、それを見つけなければならなくなりました。

 とりあえず、次回は似たような形状を持つF303はどうなのか、再度分析、比較したいと思います。

2016年10月15日土曜日

ザッセンハウスの刃とF201のボディを組み合わせる(5) & 貝印 THE COFFEE MILLを研究する(3)

前回、急に思い立った、The Coffee Millとの比較です。


 比較項目は、F201+ザッセンハウス同様、挽き時間(ハンドルの回転回数)、挽き心地、粒度のバラツキについて粗挽き・中挽き・細挽きを、同じ豆、同じ量で検証します。

豆の種類 : アラビカブレンド深煎り
豆の量   : 約10g カリタコーヒーメジャーカップ#44059 すり切りいっぱい

①The Coffee Mill
                           回転数       挽き心地                                       バラツキ     
 ①-1 粗挽き:  25回  最後まで滑らか。非常に軽い。              大きな粒が混じる 
 ①-2 中挽き:  32回  最後まで滑らか。トルクが一定。            ほぼ粒度が揃う
 ①-3 細挽き:  82回  最後まで滑らか。トルクが一定。            非常に粒度が揃う 

②F201+ザッセンハウス(スタビライザーあり)
                           回転数       挽き心地                                       バラツキ     
 ②-1 粗挽き:  26回  最後まで滑らか。非常に軽い。               大きな粒が混じる
 ②-2 中挽き:  35回  最後まで滑らか。                                 ほぼ粒度が揃う
 ②-3 細挽き:  70回  最後まで滑らか。途中で固いことがある。 非常に粒度が揃う


★粗挽きの評価

 最新のThe Coffee Millでも大きな粒が多く混じります。しかし、シャフトをガッチリと固定しているだけあり、かなり粒度は揃っています。刃は既存のポーレックスのものを流用しているわけですから、固定することの大切さがわかります。

 挽き心地は、粗い粉を挽くときは、どの機種でも軽くなります。回数も変わりません。The Coffee Millは、底面を固定しないと使いにくいのですが、まったく苦になりません。

ザッセンハウスの刃とThe Coffee Mill 粗挽き比較.JPG
左がThe Coffee Mill 右がF201+ザッセンハウス


★中挽きの評価
 
 最新のThe Coffee Millでも大きな粒が多く混じります。挽いたときはわかりませんでしたが、写真で見ると、両者ともかなり粗いものが多く混じっています。

 挽き心地は、The Coffee Millの方が滑らかです。一回も豆を噛みこむ感覚なしに、最後まで同じトルクでひっくことができます。これには驚きました。ホッパーの形状もだいぶ寄与していると推測されます。空廻しの時は、F201改の方がずっと滑らかですが、実際に豆を挽いたときは、The Coffee Millに軍配が上がります。もっとも使用者数が多いと推測される中挽きの品質が高いことは、大きなアドバンテージだと思います。

ザッセンハウスの刃とThe Coffee Mill 中挽き比較
左がThe Coffee Mill 右がF201+ザッセンハウス
 ★細挽きの評価

 今回も刃がガリガリとかみ合わないギリギリの隙間、刃の限界点です。

 挽き心地は、The Coffee Millの方が滑らかです。というか、トルクが常に一定なので滑らかに感じます。今までいろいろな形状の刃を試作してきましたが、急に重くなったり、軽くなったりすることがなく、一定のトルクで動作するものに良い印象を抱きました。そういう意味では「挽くときにかかる力・重さ」は、(極端なものでなければ)あまり意味がないのかもしれません。

 粒度の比較ですが、申し訳ないのですが、これが良くわかりません。写真では両者とも、非常に細かく粒度が揃っているように見えます。ザッセンハウス+スタビライザー有りの細挽きは、「ふわっとした粉が挽けた」という感じがすると書きました。「THE COFFEE MILL」で挽くとどうなるのか、とても楽しみにして挽いたのですが、静電気が凄く、受け皿にびっしり付着してしまい、ふわっとした粉なのかはわかりませんでした。The Coffee Millの受け皿の素材であるAS(アクリロニトリルスチレン共重合体 SAN)は、まったくお勧めできないです。

ザッセンハウスの刃とThe Coffee Mill 細挽き比較
ザッセンハウスの刃とThe Coffee Mill 細挽き比較

The Coffee Mill 細挽き 受け皿
The Coffee Mill 細挽き 受け皿  周囲(内側)にびっしり微粉が付着しています
 The Coffee Millは、「雑味の元となる微粉が出にくい構造を新たに開発しながら、挽きやすさと・・・」、と開発コンセプトでもうたうだけあり、大変安定した品質の粉を得られることがわかりました。現時点で、普通に手に入れることのできる最高のミルの一つであることは間違いありません。いろいろ書きましたが、御自身で豆を挽かれるコーヒー好きの方には、自信を持って勧められます。

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 手前味噌になりますが、空廻ししたの時の滑らかさで、改造したF201に比べられる機種など、どこにもありません。ボールベアリングを使った滑らかさ、音もなく、軽くハンドルに触れるだけで何周も廻る様子は、純粋に持つ喜びを満足させます。

 挽いている時にも、The Coffee Millを上回る滑らかさを得ることのできる刃は存在するのか。今後の検証が楽しみです。

2016年10月8日土曜日

ザッセンハウスの刃とF201のボディを組み合わせる(4)

 「君の名は。」ばかり更新して、ザッセンハウスの方は、いったいどうなっているのか?とお叱りを頂戴しまして、今夜は連投をいたします。今度こそ、F201にザッセンハウスの刃を組み込んでみた結果のお知らせです。

 比較項目は、スタビライザーの有無で、挽き時間(ハンドルの回転回数)、挽き心地、粒度のバラツキについて粗挽き・中挽き・細挽きを、同じ豆、同じ量で検証します。

豆の種類 : アラビカブレンド深煎り
豆の量   : 約10g カリタコーヒーメジャーカップ#44059 すり切りいっぱい

①スタビライザーなし
                           回転数       挽き心地                                       バラツキ     
 ①-1 粗挽き:  24回  最後まで滑らか。非常に軽い。              大きな粒が混じる 
 ①-2 中挽き:  35回  最後まで滑らか。                                大きな粒が混じる
 ①-3 細挽き:  64回  最後まで滑らか。途中で固いことがある。 粒度が揃う 

②スタビライザーあり
                           回転数       挽き心地                                       バラツキ     
 ②-1 粗挽き:  26回  最後まで滑らか。非常に軽い。              大きな粒が混じる
 ②-2 中挽き:  35回  最後まで滑らか                                  ほぼ粒度が揃う
 ②-3 細挽き:  70回  最後まで滑らか。途中で固いことがある。 非常に粒度が揃う


★粗挽きの評価

 スタビライザーの有無に関係なく、かなり大きな粒が混じっています。皆さんの予想通り、スタビライザーなしの方が、より大きな粒が多く混じります。

 挽き心地は、スタビライザーの有無にかかわらず、最後まで非常に軽く滑らかに挽けます。挽くスピードは、スタビライザーなしのほうが若干早いです。たった2回転ですが、最後のほうは、スタビライザーなしの方は急に軽くなるので、早い感じがします。

 ところで皆さんは、どういった粗さの粉を「粗挽き」として認識されているのでしょう。受け皿を開けた瞬間、目に入るのは大きな破片ですが、その量を目安にされているのでしょうか。そうだとしたら、スタビライザーなしの方が「粗挽き」のようは気がします。しかし、自分の狙った粒度の粉が一番多く含まれるように調節しているというのでしたら、スタビライザーありの方が、間違いなく安定した品質が得られます。
 そうだとしても、細かい粒も多々あり、挽いた粉を見れば見るほど、いったい何を持って粗挽きとするのか?という疑問が浮かび上がります。

ザッセンハウスで挽いた粗挽きの粉
左がスタビライザーなし 右がスタビライザーあり


★中挽きの評価

 写真ではもわかる通り、スタビライザーなしの粉が粗いものが多く混じっています。明らかにスタビライザーの効果が表れています。

 挽き心地は、スタビライザーの有無にかかわらず、最後まで滑らかに挽けます。ただ、どの粒度でもそうでしたが、途中で、豆を大量に噛みこむ感覚があり、重くなる時があります。挽くスピードは、何回か試しましたが、スタビライザーの有無に関係なかったです。ただ、粗挽き同様、最後のほうは、スタビライザーなしの方は急に軽くなるので、早い感じがします。

今回、狙った粒度が出ているかを見るために、いろいろ試したのですが、特に中挽きの場合、一度挽いたものを、もう一度同じ粒度で挽くと、ほぼ狙った粒度のものが得られます。一度に大きな力がかかることがないため、刃がぶれることが少ないからだと推測されます。スタビライザーありの方が顕著に効果が表れます。
ザッセンハウスで挽いた中挽きの粉
左がスタビライザーなし 右がスタビライザーあり

★細挽きの評価

 前回も書きましたが、刃がガリガリとかみ合わないギリギリの隙間です。細挽というよりは、刃の限界点です。

 挽き心地は、スタビライザーの有無にかかわらず、最後まで滑らかに挽けます。挽くスピードは、スタビライザーなしのほうが6回ほど早いです。ただ、60回位でスタビライザーなしの方は急に軽くなるので、絶対的な回数が多いこともあり、もっと早い感じがします。

 写真ではスタビライザーの有無にかかわらず、非常に細かく粒度が揃っているように見えますが、実際には、受け皿を開けた時の印象が異なります。スタビライザー有りの細挽きは、本当に「ふわっとした粉が挽けた」という感じがします。これは、今まで感じたことのない感覚です。
 ただ、今までこんなに細かく挽くことがなかったので、そのせいかも知れません。と、ここまで書いて、「THE COFFEE MILL」で挽くとどうなのか比較してみようと思いました。

ザッセンハウスで挽いた細挽きの粉
左がスタビライザーなし 右がスタビライザーあり

 特筆すべきは、周囲があまり汚れなかったことです。今回は、スタビライザーの取り外し、取り付けがあったので、若干粉が周囲にこぼれましたが、それでも本当にわずかです。写真は細挽き直後のものですが、どれほど少なかったか、おわかりかと思います。

ザッセンハウスの刃をつけて挽いた直後の様子
ザッセンハウスの刃をつけたF201改で挽いた直後の汚れ具合
 今回のテストは、ほぼ時間を置かずに行ったのですが、一番の印象は、これだけ連続して挽いても苦にならないということでした。「本物のザッセンハウス(ラパス・167)」でこのテストを行ったら、間違いなく途中で嫌になります。周囲が汚れないことも相まって、ディアボロ型ミルの形状効果は本当に大きいと感じます。

君の名は 時を渡りて 天伝ふ 誰そ彼ときに 関は消えたり ~ 「君の名は。」のパンケーキを作ってみました(2)

  タイトルを変更、リンク先を加えました。

君の名は 時を渡りて 天伝ふ 誰そ彼ときに 関は消えたり ~ 「君の名は。」のパンケーキを作ってみました(1)
君の名は 時を渡りて 天伝ふ 誰そ彼ときに 関は消えたり ~ 「君の名は。」のパンケーキを作ってみました(3)

++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++ 番外編で投稿したパンケーキですが、もっと豪華だったはずと連絡が参りました。調べたところ、確かにありました。最初に私が見つけたものより、こちらのほうが有名だったみたいですね。

君の名は。パンケーキ 豪華版
「君の名は。」のパンケーキ このラベルのメープルシロップは、現実にはないようです。

 コラボレーションのカフェがあったり、映画に出てくる料理を作ったりするサイトで取り上げられております。とてもおいしそうです。前回のパンケーキがおいしかったので、今回も再現してみました。

君の名は。パンケーキ 豪華版

最初に作ったものより、難しいです。最初は、絵と同様、右斜め上からハイキーで光を入れて見たのですが、あまりおいしそうに見えなかったので、光の具合は変えています。この光を再現するのはとても難しいです。光線を探している間に、アイスクリームが溶けはじめます。

 新海監督は、現実にはない複数の光線を表現しているとのことですが、納得できました(スタジオ写真なんかみんなそうなのだから、そのくらい再現しろというお叱りは甘んじて受けます)。

 左上のほうにある、四角いお皿とコーヒーフレッシュとアメ(?)のようなものがなかったり、いろいろすみません。

 息子には、「また作ったの?」とあきれられております。そのくせ、おいしいとか言って食べていますが。

2016年10月1日土曜日

ザッセンハウスの刃とF201のボディを組み合わせる(3)

 大変お待たせいたしました。F201にザッセンハウスの刃を組み込んでみた結果のお知らせです。


いきなりで申し訳ないのですが、比較を開始する前に、まずは、作った部品群がうまく機能するか検証したところ、プジョーがうまく動作しないことが判明しました。

 プジョーの内刃は、内部まで焼きが入っており、後から加工することが非常に困難です。そのため、工作上の工夫を考えていただきました。

「この構造は旋盤等で使用する回転刃物の固定にも使用されることもあるそうで、その機構とロック強度はかなり強固であることが想像されます」とあり、私もまず大丈夫だと思っていたのですが、どうも途中で空回りするのです。負荷をかけないときは、かなりの力で廻してもびくともしないのですが、コーヒー豆ってそんなに固いのでしょうか・・・。

 「挽くこと」はできるのですが、粒度ごとのハンドルの回転数、挽いたときの感触など官能部分での比較ができません。部品を作っていただいた自作野郎様と相談中です。

 とりあえず、ザッセンハウスについて、組み立てた際の写真と、豆を挽いた写真を撮りましたので、それを報告するようにします。粒度など、これより粗くとか、細かくとか、リクエストを戴けると助かります。


ザッセンハウスを組み込んだ状態

コーノ式 F201 zassenhaus
F201とザッセンハウスの刃を組み込んだ状態




①「中挽き」で挽いてみました。私がいつも挽いている粒度です。印象としては最初に粒度の揃わない、大きな粉が出てきて、その後だんだん落ち着いてくるといった感じです。これは、どのミルでもそうですが、豆を砕くときにかかる力が強すぎて、内外の刃がそれぞれねじるように動かされ隙間ができるので、そこから大きな破片が出てきてしまうといった動きのようです。刃の隙間は、写真程度で挽いています。色目が明るいのは、細かい粒子まで確認できるようにするためです。





zassenhaus シャフト両抑え 粗挽き
中挽き(?)





②細挽です。刃がガリガリとかみ合わないギリギリの隙間で挽いてみました。細挽というよりは、刃の限界点といった感じでしょうか。

 ザッセンハウスの刃は、実に細かく挽くことができます。今回、プジョー、F101を機能検証のために挽いてみたのですが、細挽きについては、ザッセンハウスがダントツにきれいです。


zassenhaus シャフト両抑え 細挽き
細挽き(?)

 今回、改造パーツを作りましたが、材質、形状などいろいろ課題があることがわかりました。おいおい書いていきますが、「失敗したなぁ」と思うことが多いです。

 理想のミルの形状をどうすべきか、非常に貴重なデータとなりました。

2016年9月27日火曜日

君の名は 時を渡りて 天伝ふ 誰そ彼ときに 関は消えたり ~ 「君の名は。」のパンケーキを作ってみました(1)

  タイトルと本文を改稿、比較写真を加えました。

 題の歌は、友人が私への返歌として、ある神社に献詠した歌です(少しだけ変えてあります)。

 君の名は 時を渡りて 天伝ふ 誰そ彼ときに 関は消えたり

 二人がはじめて会う、あの瞬間を詠んだ歌は、本当は私が詠みたかったものです。自分では詠みたくても詠めなかった、想像以上の歌を返してくれた友人に、深く感謝しています。

君の名は 時を渡りて 天伝ふ 誰そ彼ときに 関は消えたり ~ 「君の名は。」のパンケーキを作ってみました(2)
君の名は 時を渡りて 天伝ふ 誰そ彼ときに 関は消えたり ~ 「君の名は。」のパンケーキを作ってみました(3)

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 いい歳をして、「君の名は。」を観まして、映画に出てくるパンケーキなど作ってみました。

 今回、F201を改造した結果をレポートするにあたり、いっぱい豆を挽くことになったのですが、コーヒーだけ何杯も飲むのがキビシクなってきたので、お茶請けならぬ、「コーヒー請け」として作りました・・・。とイイワケなんぞしておりますが、単純に映画に感激して作ってしまったわけです。

(イチゴがしょぼくてすみません。この季節、どこにも売っていないので冷凍イチゴを買ってきました。あと、シロップのかけ方が下手だったり、コーヒーカップの柄が違ったりと、いろいろすみません)

君の名は パンケーキ
「君の名は。」のパンケーキ

元ネタ:Googleで画像検索したもの(「ページを表示」ボタンを押しても、元のページで画像が出てこないので、誰のものだかわからないのですが・・・。問題がありましたら削除いたします)

君の名は。パンケーキ 元画像


元ネタとの比較

「君の名は。」のパンケーキ 比較
「君の名は。」のパンケーキ 比較画像

息子からは「いい歳をして、いったい何をしているんだか・・・」とあきれられております。

次回は、ちゃんと、改造したミルのレポートを書くようにします・・・。

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 はじめて映画を見てから一か月以上経つというのに、未だに、この世界観から抜け切れず、いろいろと、書かれたものを読んでいるのですが、この作品は、和歌神話を巧みに取り入れただけでなく、とんでもない情熱や、新海監督の長年の思いが込められていることがわかってきました。

 新海監督とRADWIMPS野田洋次郎さんの対談の中に、「『こういう作品を作ってみよう』なんて思ったところで、やっぱりそれは自分が掲げたゴールで、自分たちの満足のためにやってもそこには絶対に行けない。否が応でもそこに向かっていかざるをえない引力を感じて、そこで自分のまだ知らない引き出しを全部使いたいって思った。純粋にそういう瞬間が好きなんでしょうね。自分の能力を自分のためじゃないところで使いたいと思った時に出てくる新しい自分――こんなことがまだできるんだっていう。それってすごく人間として僕は好きな行為です」」という一文がありました。

 以前、「この世の中のどこかにいらっしゃる、価値観を共有した人のための灯を照らしたいと思います。」といったことを書いたことがあります。

 私もまた、まだ会ったことのない人を探しています。世界のどこにいても必ず会いに行くと約束する人、忘れてはならない人。否が応でもそこに向かっていかざるをえない引力を持つ人のことを思って仕事をするとき、自分の持てる力以上のものが出てきて、必ずそれは実現するものと思います。

 私の目指していたものが、ここにもありました。

 タイトルから【番外】を外します。

 「君の名は。」は間違いなく、熱い情熱をもって作られた大傑作です。

2016年9月3日土曜日

ザッセンハウスの刃とF201のボディを組み合わせる(2)

 前回の投稿からだいぶ経ってしまいましたが、部品群ができましたので、報告いたします。
シャフトは自作野郎さまに作成していただきました。実はザッセンハウスのみならず、プジョー、FISCO、F101、F201用のシャフトも作成しておりました。まったく情けない話なのですが、すべての部品で図面に不備があり、うまく機能しなかったのを、何度も作り直して、ちゃんと組み合わさるようにしてくださいました。このミルが機能するのは間違いなく、自作野郎様のおかげです。改めて感謝申し上げます。
左からF303、F202、F101、FISCO、プジョー、ザッセンハウスの改造部品

 早速、組み合わせて動かそうと思ったところで、下側からシャフトを支えるスタビライザーを作るのを忘れていたのを思い出しました。このスタビライザーは、ザッセンハウス、プジョー、FISCO、F101の刃で共通で使えるよう考えていたのですが、度重なる設計不備のご連絡をいただく間に、自身の設計に不安を覚え、全ての部品が届いてから、寸法に間違いないのを確認した上で、作ろうと思っていたのでした・・・。
 先ほど問題ないことを確認したので、発注をすることにしました。本当は、これも自作野郎さまにお願いをしていたのですが、HDPE・PP・POMなどの素材による、この形状の部品は難しいとのことで、プロの試作業者に頼むことにしました。

 このミルで比較する内容ですが、以前、「KONO式(コーノ式)ミル F101とF303の刃を比較する」で、宇宙の旅人さまより、「(F101とF303の刃で)同じ豆の同じ量、同じ粗さで、挽き時間、挽き心地、粒度のバラツキ比較などして頂けたら幸いです」との要望をいただいておりました。

今後の比較項目を考えてみました。

・ザッセンハウスの刃(スタビライザー有無)
・プジョーの刃(スタビライザー有無)
・F101の刃(スタビライザー有無)
・F303の刃(スタビライザー有無)
・F201の刃(スタビライザー有無、スタビライザーを作っていないので、先になる可能性があります)
・FISCOの刃(スタビライザー有無、変換アダプターを作っていないので先になる可能性があります)

の機種について、それぞれ、空回ししたときの感触の違いと、同じ豆、同じ量で

・同じ粗さ(粗挽き・中挽き・細挽き)で、それぞれ挽き時間(ハンドルの回転回数)
・同じ粗さ(粗挽き・中挽き・細挽き)で、それぞれ挽き心地
・同じ粗さ(粗挽き・中挽き・細挽き)で、それぞれ粒度のバラツキ

を試してみたいと思います。比較項目にリクエストなどございましたら、コメント欄などでご連絡ください。

 ただ、粒度(粗挽き・中挽き・細挽きの粗さ)については、個人差があるのと、それが本当に狙った粒度なのかわからないところもあるので、時間、バラツキは厳密な比較にならないことをお断りしておきます。特に粗挽きは、今までの経験から大きな粒度の粉が多くなるほどバラつきが目立ち、自分が挽いている粗さが、何なのかわからなくなることがありました。

2016年5月8日日曜日

ザッセンハウスの刃とF201のボディを組み合わせる(1)

 以前、F303の刃とF201の本体を組み込んだことがございました。この記事は大変な好評を博しました(といっても、このブログ自体、読者が非常に少ないので、実は数人かもしれないのですが・・・)。

 今回は、ザッセンハウスの刃をF201に組み込んでしまうという、これまた皆さんの心の叫びを実現する企画です。

 KONO式ミルのファンのみならず、コーヒーミルをお好きな方なら、誰もが一度は考えたであろう、ザッセンハウスの刃とF201の本体という「ミルの理想形」を作ってみることにします。

 まず、組み込むことが可能かを確かめます。
  • 外刃の大きさは問題ありません。F303が外刃が組み込めるのですから、大丈夫です。
  • シャフトは、最初のザッセンハウスの改造の段階で切っていますので、新たに作ることにします。
 さらに、F303同様、刃の下にもシャフトをつけ、上下から固定する構造に変更しました。これで、オリジナルのザッセンハウスよりも、精度良く豆を挽くことができます。

 図面を描いて、HDPEで作成しました。F303の時はPPでしたが、これは素材による違いを検証したかったためです。

ザッセンハウス用 F201アダプター(左)とスタビライザー用の下シャフト(右)


 シャフトは自作野郎さまに作成していただきました。図面通りに作っただけでは、うまく機能しなかったであろう状態を、ちゃんと組み合わせてくださいました。私のような素人に、毎回、大変親切で丁寧なアドバイスを下さいました。このミルが機能するのは間違いなく、自作野郎様のおかげです。改めて感謝申し上げます。

 部品作成に当たり、本体の部品群をお渡ししているので、帰ってきたら、組み合わせた写真の記事を書きます。

2016年2月14日日曜日

貝印 THE COFFEE MILLを研究する(2)

 前回は、形状の違いを写真で見てきました。今回は、形状と使い勝手の関係を明らかにしていきたいと思います。比較のため、他機種と同じ項目で追っていきます。使いやすいコーヒーミルの形状とはどんなものか(1)では、
  • 絶対値として、動作が軽いこと
  • 底面が固定されること
  • 押さえる手に無理な力がかからないこと
  • 本体を押さえながら、ハンドルを廻した時に、押さえた手と干渉しないこと
を満たす形状として
  • 廻した時に左手に当たらない高さに、ハンドルが配置されている
  • 左手で押さえる際、親指と人差し指を開いて握るような形状は押さえやすい
  • 角のない受け皿
  • 分解しやすく、場合によっては洗える本体
を考案しました。貝印 THE COFFEE MILLは上記の条件を満たしているのか、検証することにします。
  • 廻した時に左手に当たらない高さに、ハンドルが配置されている
  貝印 THE COFFEE MILLは、ちゃんと適切な高さにハンドルがあります。いろいろな姿勢で挽いてみましたが、どんな時でも干渉することはありません。後述しますが、このミルは、手に持って挽くのではなく、底面を付けて挽くことを前提に作られています。底面には有効に機能する滑り止めが付いています。

底面には有効に機能する滑り止めが付いています

  • 左手で押さえる際、親指と人差し指を開いて握るような形状は押さえやすい
  このミルは握る場所を間違えることがありません。迷うところがないのは、良いデザインです。しかし、全体的に太いです。握るより、掌の面で支えた方が力が入るという検証がなされたと思いますが、それでも力の弱い人の手は小さいことが多く、そうした人たちが握りやすい太さより、若干太いと思います。
  • 角のない受け皿
「角のない受け皿」の条件を満たすのはもちろん、AS(アクリロニトリルスチレン共重合体 SAN)ですので気軽に洗うこともできます。本体との固定方法はネジではなく、バヨネット式です。必要以上にピッチが細かくなく、微粉に強い構造になっています。ただし、静電気が凄いです。 

左がTHE COFFEE MILLの受け皿、若干青みががっており、材質が異なることがわかります

  • 分解しやすく、場合によっては洗える本体
  シャフトを本体にがっちりと固定するため、シャフト部分は分解できません。古い粉を残したくない私としては、掃除のしやすさを優先したいのですが、シャフトのブレを防ぐのは、このミルの最大のポイントなので、設計変更の余地はないのでしょう。これは思想的な問題です。

 外刃の固定方法は、下から「外刃が落ちないように固定するための固定具」を本体にはめ込んでいます。昔ならネジ留めするところを、柔らかい素材(POM)で圧入しているのが現代的です。設計の進歩を感じさせます。
  • 刃の形状・鋭さ・材質・硬度
  ryota sawakiさまよりご教示いただいた通り、ほぼ間違いなくポーレックス社製の刃を使っています。今回、自分で設計した内刃・外刃を作るに当たり、ずいぶん工場をまわったのですが、自社開発するには、多額の費用がかかります。金型を作るだけでなく、1個1個のパーツとしても、かなりの単価になるのです。既成の刃を流用するのは、価格を抑えるためにも良い選択と思います。しかも、この刃には実績があるのです。

 セラミックの会社に、この刃を見てもらった所、この金型はだいぶ「ダレて」いるとのことでした。ずいぶん使ったわけで、それだけ売れているようです。現在交換パーツは、1個500円(ポーレックス社の自社部品、OEMは不明)で販売されているようですが、型を作り直しても、この金額でできるのでしょうか。なんとか、今後も供給され続けることを祈っています。


赤丸部分が、ダレている部分 機能には影響はないと言って良いと思います


 今まで全てミルについて、使用感の違いを以下の6点になると思うと書いてきました。貝印 THE COFFEE MILLではどうなのか、同じ項目について個別に見ていきます。
  1. 挽き心地が軽いか否か
  2. ホッパーに豆が残るか否か
  3. ホッパーの縁に挽いた粉が飛び散るか(汚れが激しいか)
  4. 粒の大きさの調節機構が使いやすいか否か
  5. 分解がしやすいか
  6. 豆の入れやすさ
  • 挽き心地が軽いか否か 
かなり軽快な挽き心地です。しかし、ディアボロ型のミルは、手に持って挽くほうが、さらに楽なのです。このミルは、底面をつけて挽くことを前提に考えられているため、若干無理があります。
  • ホッパーに豆が残るか否か
  傾斜角度は、ザッセンハウスではなく、プジョーのホッパーに近いです。底面をつけて、軽く挽くことを前提にしているため、一度に噛みこむ量を減らすようにしたのでしょう。ABS樹脂成形のため、段差などはなく、豆が残ることはありません。
 ryota sawakiさまより、豆の形状が大きく、浅煎りの固い豆だと、よく空すべりし、なかなか挽けないとの指摘がありました。
 良く観察すると、外刃の内径が小さいため、大きな豆をなかなか噛みこまないようです。しかし、一度に噛みこむ量を少なくするためと考えれば、両者はトレードオフの関係にあるのかと思います。
 


底面に使い部分の傾斜がなだらかになっており、一度に噛みこむ量が少なくなっている


  • ホッパーの縁に挽いた粉が飛び散るか(汚れが激しいか) 
  セラミックの刃は静電気を帯びにくいので、ほとんど粉がこぼれないと思っていたのですが、外刃
残った微粉が受け皿と本体スカート部の内側に付着します。受け皿内部に付着するのは仕方ないとして、スカート内部に付着した粉が、周囲を汚すのは困りものです。その場で粉を落としたと思っても、時間がたつと落ちてくるので、収納場所が汚れます。これは想定外でした。
 今まで、セラミックの刃を使いさえすれば、かなり静電気を防げると思っていたのですが、そうでもないようです。私の考えるミルでは、受け皿はガラスを使っているため、少しは静電気の影響は少ないのかも知れませんが、本体の材質も影響が考えられるわけで、試作した際にはどうなったか、報告しようと思います。


  • 粒の大きさの調節機構が使いやすいか否か
 調節機構は、セラミックスリム・MSS-1同様、内刃の下で行う方式です。この方式は、ハンドルの組立構造に無理がないので、とても優れています。特に形状は大型の蝶ナットで、底から奥まったところにありますが、全く問題なく廻せます。これについては、セラミックスリム・MSS-1より使いやすいです。

THE COFFEE MILLの蝶ナット 大きくて操作性が良いです
  • 分解がしやすいか 
 分解を前提にしているところは、工具を使わずに分解・組み立てができます。しかし、シャフト固定部以外にも、内刃と内刃のシャフト伝達部品が分解できません。ここは非常に汚れる箇所なので、分解できた方が良いと思うのですが、なぜか分解できない構造になっています。今回、形状を見るため、先端部を削り無理やり分解しましたが、こんなことはしたくなかったです。
内刃と、内刃のシャフト伝達部品 そのままでは分解できないため、先端を削りました・・・。


  • 豆の入れやすさ
 投入口は、本体の大きさに比べれば驚くほど浅いですが、これは握りやすい形状を優先しているためです。絶対的に浅いため、豆の飛び散り防止フタは必須です。フタの開け閉めは、ハンドルの取り外し、装着が楽な個体の場合は苦にならないのでしょうが、私の個体では、毎回ハンドルを外すのが面倒です。また、フタが本体に密着しないため、手に持って挽くとカタカタと動きます。フタを指で抑えながら挽くと持ちにくくなります。先ほど、このミルは底面をつけて挽くことを前提としていると書いたのは、このためです。
  • 結論・評価
 最後に評価です。このミルは、判断に迷います。ここ数日間の印象は、「ディアボロ型の最新設計のミルにもかかわらず周囲を汚すミル」です。挽いた粉の品質を考えれば間違いなく、このミルは素晴らしいです。しかし、構造的に私の考えるミルとは方向が違います。

 第一に、分解掃除できない個所の多さです。道具を使えば分解できるのならともかく、道具を使っても分解できないことが問題です。ズレを防ぐために、がっちり固定することが目的なのは良くわかりました。しかし、古い粉を取り除くことができない構造には、疑問が残ります。
 これは、私の考える、良いコーヒーミルの条件、第二条件 、分解・掃除・組立がしやすいことを満たしません。
 第二に、形状の問題です。ディアボロ型にも関わらず底面をつけて挽くことを前提に考えているため、手に持った際はいろいろ不都合があります。かなり大型で、圧迫感もあり、手の小さな人が握るのには太いのも気にかかります。
 これは、私の考える、良いコーヒーミルの条件、第三条件、挽き心地が軽いこと、第五条件、収納しやすい事を満たしません。

 第三に、材質、仕上げの問題です。本体をピアノブラックや蒔絵にする割には、ハンドルの打ち抜き面が雑だったりします。また、受け皿にASを採用したことなのか、静電気が凄いです。スカートの裏面に付着した粉が後から落ちてくる構造は、いただけません。あとは、これは私の好みの問題ですが、ABSのピアノブラックや、多面体(本体・握り玉)に高級感を感じないので、どうも好きになれません。セラミックスリム・MSS-1のシンプルさの方が好きです。
 これは、私の考える、良いコーヒーミルの条件、第四条件、周囲を汚さないことを満たしません。第七条件の満足感の問題は、好きではありませんが、好みの問題でもあるので、あえて条件から外します。

 私がこのミルを好きになれないのは、自分の理想とするミルと相違があるためです。最新型なので、ずいぶんと辛口になりましたが、あらゆる点で、ザッセンハウス、プジョー、ダイヤカットミルとは、比べ物にならないのは事実です。はじめてディアボロ型のミルを使った後に評価をしたら、あまりの素晴らしさに興奮して、ほめちぎっていると思います。

2016年1月31日日曜日

貝印 THE COFFEE MILLを研究する(1)

 今回は貝印の現行モデル「貝印 THE COFFEE MILL」を取り上げることにします。まったく、お恥ずかしい話なのですが、KU-rubushiさまより、コメントを頂戴するまで、このミルの存在を知りませんでした。調べて見ると、大変好評なモデルのようで、一時期生産が追い付かず、販売を停止していた模様。アマゾンなどの販売サイトでも見つからなかったのは、そのせいでしょうか(いやいや、自分の不勉強を棚に上げてはいけませんね)。

 ホームページを拝見しますと、

“コーヒーハンター”川島氏との共同開発
 世界中のコーヒー農園を回り、コーヒーを知り尽くした川島氏の「コーヒー豆のおいしさを最大限に引き出し、自宅で最高のコーヒーを楽しんでほしい」という想いを実現するために開発された「TheCoffeeMill」。
 3年の歳月をかけて開発されたこの商品は、「家挽き」という自宅での一杯にこだわるコーヒーユーザーに向けて、雑味の元となる微粉が出にくい構造を新たに開発しながら、挽きやすさとインテリアとしての完成度も目指して製品化されました。

“新開発の「FIXグラインド機構」”

 雑味の元になる微粉を減らし、挽いたあとの粒を均等にするために新たに開発した新技術「FIXグラインド機構」。
 一般的なコーヒーミルは、上下に分かれた挽き臼の一方だけを固定しているものがほとんどで、
臼がブレやすく微粉が出やすい構造でしたが、「TheCoffeeMill」は、上下の臼を両方とも固定することににより、微粉が出にくく安定した大きさで豆を挽く事を可能にしました。

(引用ここまで)

とあります。当ブログとは異なり、味のわかる方が考えられたミルのようで、微粉を減らすことが主な目的のようです。

 構造を拝見しますと、なんと当ブログの考えていた上下ベアリング固定方式と相似形をなしています。

THE COFFEE MILLのシャフト固定構造



私の考えたシャフト固定構造(緑色の部品がベアリング)

 当ブログでは動作が軽く、スムースな動きを実現するためにベアリングを採用しました。最初はF301と同じような位置に配置しましたが、ベアリングをちゃんと固定すること、ミル内部の汚れを防ぐために、上部に配置しましたが、結果的に似たような構造になっています。

 当ブログの作るミルは、良いミルの条件として粒度を安定させることは考えていましたが、もしかしたら、微粉も減らすことができるのではないでしょうか。ということは、味が良くなるかもしれない・・・。非常に勇気づけられます。


以下、いつも通りのフォーマットに従い比較していきたいと思います。



  ディアボロ型の例にもれず、このモデルも、構造的に実によく考えられています。部品点数は、今までで最も少ない「セラミックコーヒーミル・スケルトン・MSS-1TB」よりもさらに少なく 10点(分解可能な部品)しかありません。

本体シャフト部分は分解できないのでこうなります

ホッパーの形状

 第一印象は「とても大きい」でした。写真ではあまり大きさが変わらないように見えますが、高さはともかく、幅というか太さが非常にあります。その割にはホッパーは非常に小さく、豆がいっぱい入るわけではありません。底面を付けて挽いたときに安定するような形状にしたと思われます。

インテリアとしても見栄するようとのことから、全体が鏡面加工されています。

写真ではほとんど伝わりませんが、非常に大きいです

    • ハンドル長
    110mmです。「セラミックコーヒーミル・スケルトン・MSS-1TB」(100mm)より若干長いです。握り玉の大きさは、ほぼ同じです。これも鏡面加工されています。
    打ち抜き面をみると、HARIOのMSS-1TB(下)の方が仕上げが良いです

    • 刃の形状
     内刃は、「セラミックコーヒーミル・スケルトン・MSS-1TB」にほぼ、相似の刃がついています。
     HARIOの刃に比べると、エッジがだいぶ甘いです。しかし、今までの研究から、必ずしもそれが悪い結果につながるわけではありません。


    右の白いほうがTHE COFFEE MILL エッジが甘いです

    右の白いほうがTHE COFFEE MILL 外刃もエッジが甘いです

    共周りを防ぐために、ヘクサロビュラ形状を採用したようです。
    ヘクサロビュラは、面で支えないとあまり意味がないようなのですが、大丈夫でしょうか。

    原則、分解はできません。今回は先端部を削って無理やり分解しました。
    なぜそこまで固定にこだわったのかは不明です。

     このミルを探した際に、非常によく似た刃のミルを見つけました。ポーレックス社製です(ただし、廻り止めの構造が異なり、HARIOの廻り止めに似ています)。貝印はポーレックスから刃の供給を受けているのでしょうか?


    分解組み立てなど、とてもきれいな写真で紹介されています


    そこで、なんと内刃が500円で売られていることを発見


    どうやら国産の模様。

    今まで散々、いろいろな業者に頼んできて、とんでもなく高額か、技術的にできないと断られてきたのが、いったいなんだったのか・・・・。


    次回は、形状と使い勝手の関係を明らかにしていきたいと思います。