2018年3月17日土曜日

既存のミルの欠点を取り除いた軽快な挽き心地、粉が飛び散りにくいミルを考案する(6)

オリジナル設計のボディにF101の刃を組み込んだ試作品ができました。



報告までにずいぶん間が空いてしまいました。この間、何もしていなかったわけではないのですが、最終形状に近づいたこともあり、製品化前に種明かしをしたくない部分が多くなってしまいました。

今回は試作した形状の評価としたいと思います。

本体形状 

 コンマ単位での調整が必要です。事前にモックアップで検証しましたが、実際に動作させてみると、いろいろと感覚面で欲が出てくるものです。握り具合を確かめながら削ったので、微妙に段差が残っています。一度削った個体を、再度旋盤にセットするのは大変難しいです。次の個体は、これをなくした時にどうなるのかも確かめてみたいと思います。
 この段階でギリギリの寸法で作っているので、ねじ穴の深さ、位置などを動かし、あと0.1mmをどこから捻出するか、頭を悩ませています。

重さ
 0.1mmをどこから捻出するのか悩むほど、ギリギリの寸法で作っているので、それほど重くありません。女性でも手に持って使うのが億劫になるような重さではないです。

挽き心地

 今までのいかなるミルにもない圧倒的な安定感、滑らかな挽き心地、空回し時は無負荷といっても過言ではないほどのスムースな感触を実現しました。特にこの個体は、F101の刃を組み込んでいるため、豆を挽いた時も、F101の持つ滑らかな感触を引き継いでいます。豆の引っ掛かりなどは全くありません。芯の振れもないこの状態こそ、元の箱型のケースでは発揮されない、F101の刃の持つ本来の力が、100%引き出されていると言っても過言ではありません。

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 前回わかっていたけれどやらなかった」「やりたかったけれど、コスト面から非現実的だった」、しかし、こうしたものは実際に存在することが重要で、お金を出しても存在しないのと、たとえ非現実的な金額であっても、実際に存在するのとでは、大きく違うものと思いますといったことを書きました。

アルミのムク材から削り出した本体
刃から握り玉まで一体の継ぎ目のないステンレス回転軸
高性能ベアリングを上下に配置した回転保持部
洗いやすく、静電気の発生しにくい厚底のガラス受け皿

このミルは、純粋に持つ喜びを満足させてくれます。


この世の中のどこかにいらっしゃる、価値観を共有した人のための灯の種火が、今ここに誕生しました。