2014年5月31日土曜日

KONO式(コーノ式)ミル F101を研究する(3)


今まで、全て使用感の違いを以下の6点になると思うと書いてきました。KONO式(コーノ式)ミル F101ではどうなのか、同じ項目について個別に見ていきます。
  1. 挽き心地が軽いか否か
  2. ホッパーに豆が残るか否か
  3. ホッパーの縁に挽いた粉が飛び散るか(汚れが激しいか) 
  4. 粒の大きさの調節機構が使いやすいか否か
  5. 分解がしやすいか 
  6. 豆の入れやすさ
  • 挽き心地が軽いか否か
  KONO式(コーノ式)ミル F101を研究する(1)でも書きましたが、通常はF205より若干重い程度でしょうか。ときどき重くなるようなことがありますが、ザッセンハウスのように、逆回転しなければらならないほどではありません。F205、F303ではベアリングが使われていましたが、この機種はベアリングが使われていないです。
  • ホッパーに豆が残るか否か
  KONO式(コーノ式)ミル F101を研究する(1)でも書きましたが、比較的プジョーの形状に近いです。ホッパーと外刃の間に段差があり、ここには豆が残ります。 F205でもそうでしたが、本体を振るなどして、刃の中に落とすことが必要です。残念ながら、挽いている時の振動だけで落ちるようなことはないです。

 段差があり、ホッパーの形状が浅いと、プジョーのミルと同じく、破片が飛び散る量が多そうですが、それほどでもありません。もちろん飛び出ますが、絶対量が少ないです。KONO式(コーノ式)ミル F205(共通刃 F201・F205)を研究する(2)でも書きましたが、F101では特に、内刃の上部が小 さく、上の部分で砕くこと自体が少なくなっているのが特徴でしょう。
F101:内刃の上部の径が小さい

プジョー:螺旋が強い

F101では刃の上部に螺旋がないことで、噛みこむ力を減らし、噛みこめなかった豆が上に弾かれる量を少なくしています。「砕くことに専念して、無理に引き込まないこと」で、砕けなかった豆、破片を飛び散りにくくしていると言えるでしょう。

  • ホッパーの縁に挽いた粉が飛び散るか(汚れが激しいか) 
  F101の最大の美点です。樹脂製ならではの特徴を生かし、薄くすることでしホッパーの縁に挽いた粉が飛び散るようなことをなくしています。また曲線に加工することで、無駄なく挽いた粉を入れることができます。実に使いやすく、これだけでも使用頻度が上がるものです。
左側がF101 右側がプジョー F101の有効面積の広さがわかります
こんなにも差があります

  • 粒の大きさの調節機構が使いやすいか否か
  調節機構は、F101独自のものです。ネジ式のように無段階に調節はできませんが、とても楽にできます。 丸いノブを引き上げ、5つある穴のどこかにはめます。この写真では、左側ネジが粒度が荒く、右側が細かくなります。構造部品は多くなりますが、大変使いやすいです。
F101 調節部

F101調節機構部品 取り外しできます

  • 分解がしやすいか 
F101は特筆すべき個所が多いので項目を分けます。

ハンドル

 F205・F303同様、ハンドルはネジ留めではないので、大変楽に組み立てができます。ここはぜひ、他社も見習ってほしいです。一番上の袋ナットは、残念ながら ザッセンハウス、プジョー同様、ネジの締まる回転方向と、ハンドルを回転させる方向が一緒なので、どんどん食い込んでいきます。ただ、F303よりも一回り大きく、かじることはありません。 プジョー、F205よりは材質は良いようです。
側面を落としているため、ハンドルが楽に取り外しできます
本体の分解方法
この状態ではじめて蓋を外せます

ホッパーと本体はネジ止めされています(写真はネジを外したところ)
前の所有者は取り扱いを間違えたようです。壊れていました


組み立て方法

樹脂のワッシャーから先に入れます
次に金属のワッシャーを入れます
内刃はこの部品で初めて固定できます

  • 豆の入れやすさ 
  F205と同程度の広さです。ただ、分解掃除ができないので、個人的にはこの構造は好きではありません。
 豆入れの位置が、管理人のF101は正面向って手前にあるのに対して、Thumb Under (サムアンダー)さま昌’sCoffee( Masa's Coffee )さま のミルは向って左にあるとの指摘がございました。 実は理由は単純で、前述、本体の分解方法でおわかりのように、管理人のミルは、ホッパーと本体のネジ止め部分が壊れているため、適当に置いたというのが真相です。向かって左にあるのが正しい組み立て方です。

  • 結論・評価
さて、この機種はKONO式(コーノ式)ミルとして高い評価をすべきかですが、私としては、大変使いやすい機種だと思います。なによ り、受け皿の形状が良いです。粉が受け皿に残らないだけで、これだけ印象が良くなるとは思いませんでした。分解掃除も、蓋以外は分解できない個所もなく、苦に なりません。私のように、外蓋を本体に固定しなければ、さらに掃除が楽になります(笑)。
本体に固定できないので、すぐに掃除ができます(笑)
F101は、隠れた名機だと思います。

2014年5月28日水曜日

KONO式(コーノ式)ミル F101を研究する(2)


 前回書いたように、F101の外刃の形状について考えます。F101の刃は、内刃もさることながら外刃も衝撃的です。F303も凄いと思いましたが、F101は、また別の凄さがあります。なにしろ、内刃並みに雑な加工、見栄えを気にしない肌、コーヒーミルの刃の形状に必須と思われた螺旋がないのです。

F101 螺旋がまったくない 加工も「豆が引っ掛かれば良い」という考え方

F303の刃(下から内側を見たところ)
 ザッセンハウス・プジョー・F205・F303とも、曲がりなりにも豆を引き込もうという意図が見えました。しかし、F101では内刃上部、外刃上部では、「砕ければなんでもいい」と考えているように見えます。

 斜めの加工は非常にコストがかかります。これを直線加工にすれば、大幅にコストが削減できます。KONO式(コーノ式)ミルの設計者は、斜めでなくとも本当に機能するのか試したのでしょう。結果は、全く問題なく、しかも軽い挽き心地まで実現しました。しかも、残ったバリをそのまま豆をひっかけるために残すなど、コスト削減の努力には際限がありません。

 軽快な挽き心地を実現する刃の条件として、刃の鋭さは、内刃も(F205)、外刃も(F303)関係なく、形状についても、内刃・外刃上部は、豆が砕ければ適当でも良い(F101)という、恐るべき結論が出つつあります。今まで考えてきた「適切な刃の形状とは何か」という命題ですが、世間で考えられていることとは、大きく異なるものになってきました。

 次回は、ザッセンハウスとプジョーを比較する(4)KONO式(コーノ式)ミル F205(共通刃 F201・F205)を研究する(2)KONO式(コーノ式)ミル F303 (共通刃:F301・F303・F305・F307・F702・F703) を研究する(3)で書いたように、直接挽き心地に関係ないと思われる要素を書きたいと思います。

2014年5月26日月曜日

KONO式(コーノ式)ミル F101を研究する(1)

 KONO式(コーノ式)ミルのF101です。
KONO F101:管理人
Web上でもなかなかお目にかからない、大変珍しいモデルです。ナミキデザイン様のカタログにある標準モデルでありながら、Thumb Under (サムアンダー)さま昌’sCoffee( Masa's Coffee )さま画像が唯一と言ってよいほどで(2014/1月~5月頃)で、それも管理人所有のモデルと刃が違うなど、謎が多いモデルです。内刃はF303と形状が似ていますが、どうも小さいようですし、外刃の形状がF303のように「筋だけ」というわけでもありません。分解して比較したいものです。

追記:先日YAHOOオークションで、F101の画像を見つけま した。Thumb Under (サムアンダー)さま昌’sCoffee( Masa's Coffee )さまの刃と同じようです。管理人の個体が特殊なのでしょうか(2014/6/7)


F-101の刃:昌’sCoffee(Masa'sCoffee)さま

YAHOO JAPAN ID:i_am_ancients様

(以下の記述は、管理人の所有する個体についてです)

 実際に使ってみると、これまた非常に使いやすいモデルです。通常はF205より若干重い程度でしょうか。ときどき重くなるようなことがありますが、ザッセンハウスのように、逆回転しなければらならないほどではありません。

 このミルの挽き心地は何が要因となっているのでしょう。今まで比較して分かったことは、
  • ミル本体を固定すること
  • ホッパーの勾配を緩く、段差を作るなどして、引き込む豆の量を少なくすること
  • 螺旋を不均等にして、同時にかかる力を少なくすること
  • 外刃の鋭さをなくして、豆を滑らせること
が軽い挽き心地を決定する要因だということでした。

 しかし、このミルの刃を見た時は衝撃的でした。その度合いは、F205のさらに上を行きます。なにしろ、互換性のある均質な品質を維持することが近代の工業製品という概念を、完全に無視したとしか思えない形状だったからです。逆に、この形状を再現するほうが難しいのではないでしょうか。

ザッセンハウス・プジョー
  • 刃の形状が良い(二重螺旋臼刃)
  • 鋭い刃
  • 硬質な金属
F205(F201)
  • 均等な螺旋形状ではなく、不揃いな「斜面」(二重螺旋臼刃ではあります)
  • ほとんどエッジが立っていないと言い切れる、なだらかな刃
  • ネットでは、切れ味が悪いとされる鋳物製
F303 (共通刃:F301・F303・F305・F307・F702・F703) 

  • 打ち抜いた板を重ねた形状(二重螺旋臼刃)
  • ほとんどエッジが立っていないと言い切れる刃
  • 硬質な金属
F101
  • 均等な螺旋形状ではなく、不揃いな「斜面」
  • 刃の上部は砕くのみ、下部を螺旋構造にして、豆を引き込む「三重」螺旋臼刃
  • 鋭い刃
  • 均質な品質こそが近代の工業製品という概念を無視したとしか思えない加工精度
KONO F101の刃
KONO F101の刃 別角度
KONO F101の刃 別角度
  加工精度について散々書いてきましたが、形状は実に良く考えられています。刃の上部は砕くのみ、下部で初めて螺旋構造にして、豆を引き込むようにしています。最初から噛みこまないことで、軽さと、挽く速度を両立させているのです。
 粗さを最終的に調整する部分も、ザッセンハウスとの比較画像でもわかる通り、ここまで少なくて済むのかと思うくらいの長さです。

左がザッセンハウス 右がF101
考え抜かれた形状と、「いいかげん」な加工。優れた機能を持たせながら、必要のないところは大胆にコストを削減する。このメリハリは、考えに考え抜き、実際に検証しなければ、できる形状ではありません。よほどの自信がなければ、この刃を世に問えるものではないでしょう。KONO式(コーノ式)ミルの設計者の熱意には、本当に頭が下がります。

 以下、いつも通り、他の項目について、大きさなどを、ひとつひとつ見ていくことにします。


ケースの固定しやすさ(大きさ)

 本体の大きさは、F303を除いてあまり変わりません。F101は、一回り小さいですが、樹脂の加工容易性にあると思います。これは、後述しますが、受け皿の形状を見て思いました。樹脂のほうが薄くできるのです。

ザッセンハウス  138×138×H不明 (改造したので、既製品の高さが測れない) 
プジョー            133×133×H210 (公式データは130×130×210)
コーノF205        127×127×H183
コーノF303        162×160×H260
コーノF101        109×110×H205

ハンドルの動作半径

 動作半径も、F303を除いて、それほど変わらないです。こうしてみると、改めてF303が大きいことがわかります。

ザッセンハウス  113mm
プジョー             85mm
コーノF205    108mm
コーノF303    120mm
コーノF101    110mm

刃の形状・鋭さ

 高さは、22mmありますが、機能していると思われる部分は(下の台を含まないと)15mm程度です。底でのシャフトの固定は雑で、立てると斜めになります。

ザッセンハウス   高さ(22mm程度)・径(30mm程度)・螺旋形状(五条)
プジョー              高さ(22mm程度)・径(30mm程度)・螺旋形状(五条)
コーノF205     高さ(20mm)・径(40mm)・螺旋形状(11条不均等)
コーノF303     高さ(18.5mm)・径(45mm)・螺旋形状(五条)
コーノF101          高さ(22mm程度)・径(33mm程度)・螺旋形状(五条不均等)


F101 底の固定部分 左下側、溶接した金属がはみ出て、盛り上がっている

刃の材質・硬度

 不明です。ザッセンハウスとプジョーを比較する(2)でも書きましたが、磁石の付き具合から、「鉄系の材質という「印象」です。硬さについては、どの程度なのかは、よくわかりません。

ザッセンハウス 鉄系・硬度不明
プジョー      鉄系・硬度不明
コーノF205     鉄系(鋳物)・硬度不明
コーノF101     鉄系・硬度不明


ホッパーの形状

 比較的プジョーの形状に近いです。段差があり、一度に引き込む豆の量は少ないです。
F101 ホッパーは均質な勾配、外刃の間に段差がある

プジョー ホッパーの下半分の勾配が緩く、外刃の間に段差がある

 今回は、刃の上部は砕くのみ、下部で初めて螺旋構造にして豆を引き込むようにし、最初から噛みこまないことで、軽さと、挽く速度を両立させることがわかりました。しかし、細部の形状については、多少の個体差があっても気にする必要がないと結論付けてもおかしくないような、衝撃的な結果が出ました。このミルには、まだ驚かされることがあります。

 次回は、KONO式(コーノ式)ミル F303 (共通刃:F301・F303・F305・F307・F702・F703) を研究する(2)と同じく外刃の形状について考えます。

2014年5月17日土曜日

KONO式(コーノ式)ミル F303 (共通刃:F301・F303・F305・F307・F702・F703) を研究する(4)

 前回からの続きです。
  1. 挽き心地が軽いか否か
  2. ホッパーに豆が残るか否か
  3. ホッパーの縁に挽いた粉が飛び散るか(汚れが激しいか)  <==今回はここから
  4. 粒の大きさの調節機構が使いやすいか否か
  5. 分解がしやすいか 
  6. 豆の入れやすさ
  • ホッパーの縁に挽いた粉が飛び散るか(汚れが激しいか) 
本体は大きく、安定感があります。受け皿も大きく、粉が飛び散ることはありません。
左側がF303 右側がプジョー 幅、深さともF303がかなり大きいことが分かります
プジョーの側板の厚さ以上の差があります
  • 粒の大きさの調節機構が使いやすいか否か
調節機構はKONOのモデルに採用されている、側面を落としたものです。これにより、ハンドルを楽に取り外すことができます。何度も書きますが、この機構は大変優れモノです。
  • 分解がしやすいか 
F303は分解個所が多いので項目を分けます。

ハンドル

 F205同様、ハンドルはネジ留めではないので、大変楽に組み立てができます。ここはぜひ、他社も見習ってほしいです。一番上の袋ナットは、残念ながらザッセンハウス、プジョー同様、ネジの締まる回転方向と、ハンドルを回転させる方向が一緒なので、どんどん食い込んでいきます。ただ、かじることはなく、プジョー、F205よりは材質は良いようです。

側面を落としているため、ハンドルが楽に取り外しできます
本体
 
 他のモデルと比較して、多くのネジが使われています。 本体から外すだけで7個所あります。頻繁に分解掃除をするには、少しばかり多いです。最初はいいですが、だんだん億劫になってきます。

・ 青丸のネジ(3個所 写真では奥の1本がシャフトに隠れて見えません) がホッパー上部と本体を
 固定するネジ。
・ 赤丸のネジ(4個所)が ホッパーと本体を固定するネジ。
・ 緑丸のネジ(2個所)が刃の機構部を固定しているネジ。本体とは固定されていません。写真の状
 態(青丸・赤丸のネジが外れた状態)で、刃の機構部を引き抜くことが可能です。 後述しますが、
 固定されているので、無理に廻すとねじ山が壊れます。この状態で、引き抜いてください。





刃の機構部

 F303最大の特徴である両側保持機構ですが、分解の際は大きな問題点となります。1つしか実物を見ていないので何とも言えないのですが、緩み防止のためか、ボルトが固定されています。私の個体も固定されていました(写真はありません)。ここが分解できないと、古い豆のカスがいつまでも残り続けます。本当に掃除をするなら、固定されている個体は、分解できるように改造しないといけません。私も今回ブログを書くにあたり、はずして部品を交換しました。

緩み防止のためか、固定されている個体がある

F303の刃を分解
  • 豆の入れやすさ 
このモデルには蓋がなく、開口部も大きく、豆を入れにくいことはありません。しかも、蓋がなくとも豆が飛び散ることはありません。しかし、長期間使わないと埃が入ったりします。できれば蓋はあったほうが良いと思います。

  • 結論・評価
この機種はKONO式(コーノ式)ミルとして高い評価をすべきかですが、私としては、なかなか難しい機種だと思います。

 コーヒーを挽くなら、大変使いやすいモデルであることは間違いありません。軽快な挽き心地、蓋がないのもかかわらず豆も飛び散らず、周囲もほとんど汚れないホッパー、数々のコーヒー通をうならせる高い品質の粉(残念ながら、私にはよくわからないのですが)、なにより所有する喜びがあります。

 しかし、この機種はコーヒーミルは分解掃除が必須にも関わらず、分解しにくい個所が多すぎます。
  • ホッパーの隙間に豆がたくさん残ること
  • 分解組み立ての際、ネジを使う個所が多いこと
  • 一番掃除をしたい刃の機構が分解掃除できないこと
  • ホッパーに蓋がなく、埃が入ること

 ヘビーユーザーの方が、毎日使うのには良いと思います。しかし、長期間放っておくことが多い方にはお勧めできません。その意味では、持つ人を選ぶモデルだと思います。掃除の好きな方、できる方には最高の機種です。手に入れたら、ぜひ最良の部分を生かして使ってほしいものです。

2014年5月10日土曜日

KONO式(コーノ式)ミル F303 (共通刃:F301・F303・F305・F307・F702・F703) を研究する(3)

 今まで、使用感の違いを以下の6点になると思うと書いてきました。当初の予定通り、KONO式(コーノ式)ミル F303ではどうなのか、同じ項目について個別に見ていきます。
  1. 挽き心地が軽いか否か
  2. ホッパーに豆が残るか否か
  3. ホッパーの縁に挽いた粉が飛び散るか(汚れが激しいか) 
  4. 粒の大きさの調節機構が使いやすいか否か
  5. 分解がしやすいか 
  6. 豆の入れやすさ
  • 挽き心地が軽いか否か
何度も書きますが、大変軽快な挽き心地です。プジョーの上を行きます。ほとんど抵抗らしい抵抗がないと言って良いほどです。ただ、これも何度も書きますが、挽くのには、非常に時間がかかります。

 本機には大きな特徴である、両受けシャフトが使われています。実際、内刃と外刃が当たらないところまで緩めてハンドルを廻すと、驚くほど良く回ります。片側だけの保持機構のモデルは軸がブレて蛇行するため、緩めてもきれいに回りません。ここは明らかに差があります。ザッセンハウスの「ラパス(La Paz MJ-0801)」も、上下で保持していますが、シャフトの保持ではありませんから、ここまで軽くは回りません。実際、下のブッシュは固定金具と接触する部分が若干削れており、ブレの大きさ、かかる力の大きさを感じさせます。そういえば、ザッセンハウスの保持機構も削れていました。

 上はF205同様ベアリング機構を持っています。下はベアリング機構なしのブッシュですが、粉塵にさらされることを考えると、至極妥当な選択です。ボールベアリングでも両側鋼板シールドシールドタイプ(ZZ型)を使えば、粉塵環境でも大丈夫なのかなと思いますが、コストの問題でしょうか。10倍以上の価格差がある部品が2個、シャフトの保持のために使うだけで、しかも挽いた時の軽さに、ほとんど寄与しないとなれば、仕方ないと思います。そもそも、下側の保持機構すらないものが圧倒的に多いのです。
F303上部 ベアリングが使用されている


F303下部 固定金具と接触、若干削れている
ザッセンハウス下側 保持機構 削れている

  • ホッパーに豆が残るか否か
  ほとんど平面に近い勾配です。板部分に豆が残ることはほとんどありません。また、ホッパーと外刃にも段差がなく豆は残りません。 ただし、ホッパーの上部形状に問題があり、豆がいっぱい残ります。
F303のホッパー形状 写真では段差に見えますが、溝はないので豆は残りません
F205のホッパー形状


 このホッパー(上部)は本体の間に隙間があり、豆が残ります。写真は、さかさまに振ったりして、極力豆や粉を取り除いた後、分解した様子です。カラカラと音がしなくなるまで取り除きましたが、それにも関らず、ここまで豆が残っていました。このホッパーはいただけません。
F303ホッパー 本体との間に隙間がある


さかさまに振ったりして取り除いても、こんなに豆が残ります
  外周部は手を切らないよう丸く丸めてあり、水洗いすると、水が残ります。つなぎ目もあり、ここはさらに問題ありです。今回の撮影に当たり、水洗い後にエアーダスターで吹き飛ばしましたが、かなり丁寧に飛ばさないと錆びてしまいます。
水洗いすると、水が残ります


つなぎ目に水が入ると、なかなか乾かせません

 最近、ひとつの記事が長くなっているので、「3.ホッパーの縁に挽いた粉が飛び散るか(汚れが激しいか) 」以降は、次回に分けます。