2016年12月31日土曜日

存在するだけで、気持ちを豊かにするものでありたいと思います

 今年こそ、ミルを完成させるつもりでしたが、F201を使用した各社の比較から予想外の結果が出たり、様々な事情から完成させることができませんでした。期待して下さった皆様に、お詫びいたします。申し訳ありませんでした。

 今年は、自身のモチベーションに大きく関連した出来事がありました。

 9月初旬に観た「君の名は。」の衝撃が、いまだに収まっていません。内容もさることながら、真に愛されるものの大躍進を、私は目の当たりにしました。ニコニコ大百科に書かれた「君の名は。」がもっとも、的確に物語っていると思います。以下に一部を引用します。

********** 引用 ********** 

公開後の項で記載する興行収入から日本で上映された他の興行収入100億円超えの作品と比較すると、

宣伝の少なさ

完成披露試写会や各地の放送局での特番放送は行われたが、製作委員会に二大広告代理店(電通・博報堂)や在京キー局といった強い影響力を持つ会社が加わっておらず、まして大きな興行収入が見込めるわけでもないため、BSのミニ番組出演や過去作品の再放映はあったものの一般的邦画程度の宣伝しか行えなかった。

制作費の少なさ

関係者の発言から推測するにどう見積もっても10億円以下という、日本のアニメ映画としては常識的範疇としても、他の100億超え作品と比べれば明らかに劣り、下手をすると一般的邦画よりも劣る制作費しかかけられていない。

作品自体の認知度の低さ

2015年12月ごろより公式サイトは開設され、5月よりコミック版の連載はスタートしていたものの、ジブリやディズニーといったブランド、人気ドラマの劇場版、海外人気作、有名な実話等ではなく完全オリジナルアニメであるため作品自体の認知度が低かった。特に、この時期はディズニー、ジブリ共に興行期間が競合していた。

新海誠監督自身の認知度の低さ

ネット界隈では「秒速5センチメートル」などである程度認知されているぐらいで、世間一般的認知度の低さが否めない。前作『言の葉の庭』はDVDの売上が主目的の短い興行期間だっとはいえ上映館数23館、興行収入1.5億である。

上映館数が少ない

初の大規模公開で約300館の大博打(興行収入40億円を記録した「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」でさえ約120館)とはいえ、他の100億作品と比較すると上映館数が100~150館は少ない。
集客が見込みづらい公開日 一番集客が見込める夏休みの終わりであり、かつブーストが見込める次の長期休暇期間まで一番長い8月26日という最悪な公開日。

上映特典一切なし

前売り券ではA4のクリアファイルがあったものの、初動のかさ上げに行われる上映特典が一切なかった。

また比較以外の不安点として、

人を選ぶ新海監督の作風

 「秒速5センチメートル」で顕著だが本人としてはあれでもハッピーエンドだったというファンと監督以外との世間一般とは大きく乖離した部分があった。

俳優起用の配役

本作は著名声優や人気のあるタレントによるゲスト出演がほぼ無く、ベテラン女優や演技派俳優などが多く声を充てている。一見問題ないようだが、この演技次第では全くの不発で終わる可能性も少なくなかった。

RADWIMPSと新海誠作品との相性が未知数

監督が好きだと評する「ふたりごと」や、瀧や三葉のキャラ設定の参考になったという「君と羊と青」からはじまり、「おしゃかしゃま」「五月の蝿」といった聴き手を選ぶような曲も手がける野田洋次郎。良く言えば作風が広いとはいえるが、情報が解禁された当初はどのような化学反応を示すのかが全くの未知数だった。要するに両極端になりうることが十二分に想定されたのである。

以上のように、大作映画としてどころか普通のアニメ映画としてみても、興行が不安視されていたことが伺える。ネットの反応にしても、公式サイトこそ週一ペースで頻繁に情報が更新されていたものの、Twitterでは後から見れば反応があったことが伺える程度、2ちゃんねるの「君の名は。」の本スレが公開日でせいぜい2スレ目であったことからも、一般的アニメ映画程度かそれ以下の期待値でしかなかったことがわかるだろう。

しかしこの最悪としか言いようがない条件から、日本映画史に新海誠の名を刻む大躍進が始まる。

********** 引用ここまで ********** 

 真に愛されるものが、正当な評価を得る瞬間を私は見ました。巨大な影響力を持つ、在京キー局・大手広告代理店の宣伝がなくとも、本当に人々が共感して人に伝えたものが、どれほど人を動かすかを、私はリアルタイムで目にしてきました。

 ズルをしない。うそをつかない。人の話を聞くこと。観客が何を望んでいるんだろう、何を観てもらうことが皆さんに楽しんでもらえることにつながるんだろうと、耳を澄ませて、目を開いて、感じていくこと。

 これほどの大ヒット作を作りながら、本当に謙虚な方です。

 ヒットする要件は、本当にわからないと思います。キャッチーな要素を組み合わせればヒットするなどという単純な話ではありません。

 私のつくるミルは、決して爆発的なヒットにはならないことはわかっています。製造にかかるコストから販売価格を考えると、そもそも、売れるかどうかも怪しいです。それでも、必ず作りたいと思っています。

 先日、今の私に出来ることは、ズルをせず、真正面から向き合うことだけだと書きました。

 今まで、皆さんわかっていたけれどやらなかった。やりたかったけれど、コスト面から非現実的だった、ということを思いつく限り行います。

 こうしたものは、実際に存在することが重要です。お金を出しても存在しないのと、たとえ非現実的な金額であっても、実際に存在するのとでは、大きく違うものと思います。

 世の中には、実際に見たこともないけれど、「あること」だけは知っているというものがあります。一生、自分には縁のないものでも、「あるだけ」で大事なものです。

一生、直接見ることも、触ることもないけれど、知っているもの。

朝香宮邸 庭園美術館 ~ 存在するだけで、豊かな気持ちになります


あるだけで豊かな気持ちになれるもの。

あるだけで満足するもの。

あるだけで安心するもの

あるだけで誇らしい気持ちになるもの。

このミルは、存在するだけで、皆さまの気持ちを豊かにするものでありたいと思います。

2016年12月24日土曜日

F101の刃を元に設計してみました

 F201のボディにいろいろな刃を組み合わせ検証してきましたが、その中で一番良い感触だったのはF101でした(まだF201にスタビライザーを組み込んだもの・Fiscoが残っていますが)。

 今まで、ずっとF303の刃をベースに作成してきましたが、とりあえずF101の刃も作成することにしました。

 F101の、どの形状が具体的にどう作用しているのかは、まだわからないことが多いのですが、F101の刃をベースにすると、メリットがいっぱいあるためです。

・加工費が安い

 小さくなることで、加工費が安くなります。極小部品にならない限り、一般的に小さくなると、いろいろな費用が安くなります。

・本体のスペースに余裕ができるので、設計の自由度が増す

 F303の外刃をベースにした部品をSpongの形状に組み込むため、それこそ1mm、0.5mmの寸法を、どう削るか、薄くするかといったことをしてきましたが、一気に余裕ができ、設計の自由度が増しました。外観形状を変えるわけではありませんが、強度、加工上の余裕が増したため、より品質向上を望めるようになりました。

KONO F101 内刃
F101の内刃を設計してみました

・挽く速度は変わらない

 比較の結果、挽く速度に影響があるのは、粒度の大きさで、必ずしも大きな刃を使うから、挽く速度が速くなるわけではないことがわかっています。今回F101の相似形を設計したのは、加工費が安くなるから、設計の自由度が増すからといった「こちらの都合」で変更したわけではありません。純粋に感触が良かったから、挽かれた粉の品質が良かったから、この形状を選んだのだと言い切れます。

 材質・形状が少しでも異なれば、違ったものになることはわかっています。私が設計したものは、別物かもしれません。しかし、それでも感触の良かったF101をベースに作ることは意味のあることだと思っています。