2016年10月30日日曜日

F101の刃とF201のボディを組み合わせる(1)

 今回は、F201にF101の刃を組み込んでみました。前回、挽いている時にも、The Coffee Millを上回る滑らかさを得ることのできる刃は存在するか検証すると書きました。F101がどのような評価を得るのか、検証したいと思います。

 比較項目は、ザッセンハウス同様、スタビライザーの有無で、挽き時間(ハンドルの回転回数)、挽き心地、粒度のバラツキについて粗挽き・中挽き・細挽きを、同じ豆、同じ量で検証します。

豆の種類 : アラビカブレンド深煎り
豆の量   : 約10g カリタコーヒーメジャーカップ#44059 すり切りいっぱい

①スタビライザーなし
                           回転数       挽き心地                                       バラツキ     
 ①-1 粗挽き:  25回  最後まで滑らか。非常に軽い。              ほぼ、粒度が揃う 
 ①-2 中挽き:  37回  最後まで滑らか。                                ほぼ、粒度が揃う
 ①-3 細挽き:  47回  最後まで非常に滑らか                         粒度は揃うが、若干粗い

②スタビライザーあり
                           回転数       挽き心地                                       バラツキ     
 ②-1 粗挽き:  25回  最後まで滑らか。非常に軽い。              非常に粒度が揃う
 ②-2 中挽き:  38回  最後まで滑らか                                  非常に粒度が揃う
 ②-3 細挽き:  48回  最後まで非常に滑らか                         粒度は揃うが、若干粗い

★粗挽きの評価

 スタビライザーをつけたF101の粗挽きは、非常に粒が揃います。極端に大きな粒があったり、細かい粉が混じったりするわけではなく、受け皿を開けた瞬間、「粗挽きの粉が揃っている」という印象を受けました。ザッセンハウスの細挽きの粉は、受皿を開けた時の印象がすばらしいと書きましたが、F101の粗挽きでも同じことが言えます。

 スタビライザー無しでは、ザッセンハウス、The Coffee Millほどではないにせよ、やはり大きな粒が混じりました。スタビライザーの効果はここでも明確に現れます。

 ザッセンハウスの刃とF201のボディを組み合わせる(4)で、どういった粗さの粉を「粗挽き」として認識しているのか、大きな破片も、細かい粒もあり、いったい何を持って粗挽きとするのか?という疑問が浮かび上がると書きました。しかし、スタビライザー付きのF101で挽いた粉は、「粗挽き」という印象を与えてくれます。

 挽き心地は、スタビライザーの有無にかかわらず、最後まで非常に軽く滑らかに挽けます。挽くスピードは、ほとんど変わりません。重さもザッセンハウス、The Coffee Mill同様、粗い粉を挽くときは軽くなります。

F101の刃で挽いた粗挽き比較
F101の刃で挽いた粗挽き比較 左がスタビライザーなし 右がスタビライザーあり


★中挽きの評価

  もう、なんといってよいのかわからないくらい、スタビライザーをつけたF101の中挽きは、粒が揃います。粗挽きの際も、受け皿を開けた瞬間、「粗挽きの粉が揃っている」という印象を受けたと書きましたが、さらにその上を行きます。見た瞬間に「キレイな粉が挽けた」と思いました。

 挽き心地は、The Coffee Mill同様、一回も豆を噛みこむ感覚なしに、最後まで同じトルクでひっくことができます。オリジナルモデルでも、滑らかな挽き心地を感じましたが、持ちやすさもあり、さらに滑らかさが増しているように感じます。

 特筆すべきは、ざらつき感がないことです。粗挽きでは、若干あったざらつき感が、中挽きではほとんどなくなります。固いものをガリガリと削っているのではなく、無理なく挽いているという感覚があり、掌に伝わってくる感触が、実に心地良いです。

F101の刃で挽いた中挽き比較
F101の刃で挽いた中挽き比較 左がスタビライザーなし 右がスタビライザーあり

★細挽きの評価

 今回も刃がガリガリとかみ合わないギリギリの隙間、刃の限界点です。

 粗挽き、中挽きであれほどの揃った粉を挽けるのですから、細挽きも品質が良いのではないかと大いに期待したのですが、残念なことに、ザッセンハウス、The Coffee Millの細かさには到底及びませんでした。

 挽く速度が圧倒的に早かったこと(ザッセンハウス・The coffee MIllは70~80回、F101は47~48回)で、「これは粗いかな」と思って受け皿を開けたのですが、やはりそうでした。ザッセンハウスにある「ふわっとした粉」という印象は全くなく「ぺたっとした粉」の印象です。

 ただ、挽き心地は、さらに滑らかになります。ざらつき感は完全になくなり、ハンドルを握る右手には、細かい粉を挽いているなぁと思わせる、心地よい感触だけが伝わってきます。

 この感触はスタビライザーの有無にかかわらず、得られます。
F101の刃で挽いた細挽き比較
F101の刃で挽いた細挽き比較 左がスタビライザーなし 右がスタビライザーあり

 

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 今回の検証結果ですが、粗挽き、中挽きは挽き心地、粉の品質とも明らかに、The Coffee Mill・ザッセンハウスを上回ります。

 粗挽き・中挽きに適した形状の刃と、細挽きに適した形状の刃があるのではないかと思うほどです。それほどまでに、違いがありました。もしも、粗挽き・中挽きに適した形状の刃があり、この挽き心地を実現するために、細挽きを犠牲にしなければならないとしても、私は無条件に、この形状を選択します。それほどまでに品質が良く、心地良いです。

 粗挽き・中挽きに関する限り、理想のミルのようですが、決して良いことばかりではありません。F101の刃は、分解掃除の手間がかかりすぎます。他の刃は内刃は1つのパーツでできていますが、分解してしまったこともあり、10個もの錆びやすいパーツを洗う必要があります。組立の順序などは慣れればそれほどでもありませんが、それでも1回で正確に順番通り組み上げるのは、まず無理です。間違いなく高頻度な清掃は億劫になります。また、板と板の間にわずかな隙間があることも、古い粉が残り続ける要因です。

 分解掃除の頻度が少なくなること、古い粉が残り続けること、これは、下記の当ブログの考える「良い手動式ミルの条件」の2点を満たしません。

 第一条件:古い豆、粉がミルの中に残らないこと。
 第二条件:(分解・)掃除(・組立)がしやすいこと。

 現在、私が設計している内刃は一体型ですので、上記条件を満たしますが、それ以前に、粗挽き、中挽きを優先するのか、細挽きを優先するのか、もしかしたら万能の形状があるのか、それを見つけなければならなくなりました。

 とりあえず、次回は似たような形状を持つF303はどうなのか、再度分析、比較したいと思います。

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