2016年1月31日日曜日

貝印 THE COFFEE MILLを研究する(1)

 今回は貝印の現行モデル「貝印 THE COFFEE MILL」を取り上げることにします。まったく、お恥ずかしい話なのですが、KU-rubushiさまより、コメントを頂戴するまで、このミルの存在を知りませんでした。調べて見ると、大変好評なモデルのようで、一時期生産が追い付かず、販売を停止していた模様。アマゾンなどの販売サイトでも見つからなかったのは、そのせいでしょうか(いやいや、自分の不勉強を棚に上げてはいけませんね)。

 ホームページを拝見しますと、

“コーヒーハンター”川島氏との共同開発
 世界中のコーヒー農園を回り、コーヒーを知り尽くした川島氏の「コーヒー豆のおいしさを最大限に引き出し、自宅で最高のコーヒーを楽しんでほしい」という想いを実現するために開発された「TheCoffeeMill」。
 3年の歳月をかけて開発されたこの商品は、「家挽き」という自宅での一杯にこだわるコーヒーユーザーに向けて、雑味の元となる微粉が出にくい構造を新たに開発しながら、挽きやすさとインテリアとしての完成度も目指して製品化されました。

“新開発の「FIXグラインド機構」”

 雑味の元になる微粉を減らし、挽いたあとの粒を均等にするために新たに開発した新技術「FIXグラインド機構」。
 一般的なコーヒーミルは、上下に分かれた挽き臼の一方だけを固定しているものがほとんどで、
臼がブレやすく微粉が出やすい構造でしたが、「TheCoffeeMill」は、上下の臼を両方とも固定することににより、微粉が出にくく安定した大きさで豆を挽く事を可能にしました。

(引用ここまで)

とあります。当ブログとは異なり、味のわかる方が考えられたミルのようで、微粉を減らすことが主な目的のようです。

 構造を拝見しますと、なんと当ブログの考えていた上下ベアリング固定方式と相似形をなしています。

THE COFFEE MILLのシャフト固定構造



私の考えたシャフト固定構造(緑色の部品がベアリング)

 当ブログでは動作が軽く、スムースな動きを実現するためにベアリングを採用しました。最初はF301と同じような位置に配置しましたが、ベアリングをちゃんと固定すること、ミル内部の汚れを防ぐために、上部に配置しましたが、結果的に似たような構造になっています。

 当ブログの作るミルは、良いミルの条件として粒度を安定させることは考えていましたが、もしかしたら、微粉も減らすことができるのではないでしょうか。ということは、味が良くなるかもしれない・・・。非常に勇気づけられます。


以下、いつも通りのフォーマットに従い比較していきたいと思います。



  ディアボロ型の例にもれず、このモデルも、構造的に実によく考えられています。部品点数は、今までで最も少ない「セラミックコーヒーミル・スケルトン・MSS-1TB」よりもさらに少なく 10点(分解可能な部品)しかありません。

本体シャフト部分は分解できないのでこうなります

ホッパーの形状

 第一印象は「とても大きい」でした。写真ではあまり大きさが変わらないように見えますが、高さはともかく、幅というか太さが非常にあります。その割にはホッパーは非常に小さく、豆がいっぱい入るわけではありません。底面を付けて挽いたときに安定するような形状にしたと思われます。

インテリアとしても見栄するようとのことから、全体が鏡面加工されています。

写真ではほとんど伝わりませんが、非常に大きいです

    • ハンドル長
    110mmです。「セラミックコーヒーミル・スケルトン・MSS-1TB」(100mm)より若干長いです。握り玉の大きさは、ほぼ同じです。これも鏡面加工されています。
    打ち抜き面をみると、HARIOのMSS-1TB(下)の方が仕上げが良いです

    • 刃の形状
     内刃は、「セラミックコーヒーミル・スケルトン・MSS-1TB」にほぼ、相似の刃がついています。
     HARIOの刃に比べると、エッジがだいぶ甘いです。しかし、今までの研究から、必ずしもそれが悪い結果につながるわけではありません。


    右の白いほうがTHE COFFEE MILL エッジが甘いです

    右の白いほうがTHE COFFEE MILL 外刃もエッジが甘いです

    共周りを防ぐために、ヘクサロビュラ形状を採用したようです。
    ヘクサロビュラは、面で支えないとあまり意味がないようなのですが、大丈夫でしょうか。

    原則、分解はできません。今回は先端部を削って無理やり分解しました。
    なぜそこまで固定にこだわったのかは不明です。

     このミルを探した際に、非常によく似た刃のミルを見つけました。ポーレックス社製です(ただし、廻り止めの構造が異なり、HARIOの廻り止めに似ています)。貝印はポーレックスから刃の供給を受けているのでしょうか?


    分解組み立てなど、とてもきれいな写真で紹介されています


    そこで、なんと内刃が500円で売られていることを発見


    どうやら国産の模様。

    今まで散々、いろいろな業者に頼んできて、とんでもなく高額か、技術的にできないと断られてきたのが、いったいなんだったのか・・・・。


    次回は、形状と使い勝手の関係を明らかにしていきたいと思います。

    6 件のコメント:

    1. ポーレックスの替刃が500円で手に入るのは
      初めて知りました!
      姉宅に預けているポーレックスの内刃が欠けているので
      さっそく交換したいと思います。


      セラミックの白い刃がついているミルは、
      ほとんどがポーレックス製のものではないかと思います。

      というのも、ポーレックスのミルが
      あまりにも売れて、入手が困難な時期がつづいた後
      ポーレックスそっくりなミルが、どんどん出てきたからです。

      フレックスコーヒーミル 約5000円
      E-PRANCE コーヒーミル 約2000円
      MILLU   コーヒーミル 約5000円
      milco(みるこ) 約16000円〜24000円

      類似品から、
      ポーレックスを進化させたような使いやすいモデル、
      素材を天然木やホーローなど高級にしたもの、
      実機をミルとほとんど同じ刃の形をしています。

      ただ、どこにもOEMなどの情報がないので
      分解して並べてみないとなんとも言えないのが
      歯がゆいです。


      次回のTHE COFFEE MILLのレビュー楽しみにしております。

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      1. ryota sawakiさま

        返事が遅れ、すみません。
        セラミックの白い刃のついているミルが、ほとんどポーレックス製らしいとのこと、写真を見ると確かにそう見えますね。「類似品」も、本体まで良く似ているのに驚きました。レビューを書く対象が増えて、困ってしまいます(笑)

        >次回のTHE COFFEE MILLのレビュー楽しみにしております。

        ありがとうございます。大変励みになります。このところ忙しく、遅れて申し訳ないです。

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    2. ポーレックス、外歯の固定が甘かったはずです
      The Coffee millはそこを考えて分解不可能にしたんでしょうか

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      1. Slime Moldさま

        はじめまして。ポーレックスのミルは外歯の固定が甘いのですか。The Coffee millは、外歯は取り外しができます。横に回転しないよう、溝の寸法は、かなりきっちりと作っています。上下の運動も、「外刃が落ちないように固定するための固定具」が下から圧迫しています。シャフトのブレを嫌って、分解不可能にしたものと思います。

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    3. コーヒー趣味人

      楽しいブログをありがとうございます。

      少し有名かもしれませんが
      やはりコーヒー趣味人さまと同じ志の商品があったりします。
      自分も構造分析してみますが 参考にどうぞ
      https://www.youtube.com/watch?v=MDi1X9i40nQ

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      1. ku- rubsuhiさま

        動画、拝見しました。有名な動画なのですね。勉強不足、お恥ずかしい限りです。両端を固定しようとするところなど、考えることは大体誰でも同じなのですね。粒度をより精密にコントロールしようとしているのが興味深いです。
        ありがとうございました。

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