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2019年5月18日土曜日

フレーバーコーヒーさま(愛知県西尾市)にお邪魔してきました

 先日、こちらのコメント欄でときどき読者様よりご紹介をいただきました「フレーバーコーヒー」さまにお邪魔をして参りました。

 事前にメールで自己紹介をしておいたのですが、実際にどのような反応を示されるか心配でした。だいたい、忙しいのに全く面識のない人間から、「ミルを作っている者ですが見て欲しい」などと言われたら、面喰うと思います。

 お店に伺うと、DirectFireRoast 環 代表 長屋さんが最初にいらっしゃいました。メールを差し上げたものなのですがと名乗りますと、奥から中川さんが出ていらっしゃり「ああ、ミルの方ですね。非常に興味深いものと思っていました。部品をお持ちになったのでしょう。早速試してみましょうよ!」と思ってもみない反応が返ってきました。私としては、ご挨拶から始まり、世間話をしながら様子を伺い、大丈夫そうだなと思ったら部品をおずおずと取り出して、良かったらお時間のある時に使ってみていただけませんでしょうか。もしも、お時間をいただけるようでしたら、今ではいかがでしょう・・・。まで行ければ嬉しいなと思っていたので、存外の好意的な反応に飛び上がりそうになりました。

 結論から申し上げますと、大変勇気づけられました。

①挽いたときの香りが非常に強い。業務用で使っているグラインダーと比べれても明らに違う(中川さん)。長屋さんも同意。
②昭和の味がする(長屋さん)。どうやら苦いようです。モデルとなっているKONOのミルは昭和のものだから、そういう味がするのは、ある意味当然だ(中川さん)とのコメントがあり、そうなのかなと思いました。
③挽くのに異常に時間がかかるのを何とかしてほしい。これでは億劫になり使わなくなってしまう。使われないのでは意味がない。挽くときの重さ、チャフの問題とトレードオフの関係にあるようだが、間違いなく挽く速度を上げるべきだ(中川さん、長屋さん おふたりとも強くコメント)

豆の種類や量を変えたり、刃の組み合わせを変えて挽く速度を上げて見たりしてテストをしていたところ、気が付いたら2時間以上も長居してしまいました。あまりに本題のことばかりで盛り上がったので、帰りの電車の中で、写真の一枚も撮らずに帰ってきたのに気が付きました。

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 ありがたいことに、資金が問題ならば、クラウドファンディングで資金を調達し、製作して欲しいとの力強い言葉を戴きました。

 今回は内刃、内刃の固定部品だけをクラウドファンディングで資金を調達し、製品化してほしいとの要望だったと理解しています。
セラミックスリムMSS-1の外刃(右奥)と互換性のあるF101相似内刃(左手前)内刃の固定部品(左奥)
右手前は、MSS-1に内刃の固定部品なしにダイレクトに組み立てることができる用に作った試作品

 実は、今まで私もクラウドファンディングによる製品化を検討してきました。しかし、私が世に問いたいのは、本体を含めたミルです。クラウドファンディングでそれは実現可能なのか。出資を仰ぐ以上は、もう少し知恵を絞らないといけないと思っています。

2019年5月3日金曜日

【副作用】チャフだけを残して挽くことができる刃ができました(2)

 前回、「F101相似形内刃」は条件はあるにせよ「チャフだけを残して挽くことができる」ことを書きました。今回は、その副作用を書きたいと思います。

副作用ですが、

私の考える良いコーヒーミルの条件第一条件である「古い豆、粉がミルの中に残らないこと」をまったく満たさなくなりました。

分解すると、ノーマルのHARIO セラミックスリム・MSS-1とは比較にならないほど、たくさんの挽き残しの粉が出てきます。この小さな個体のいったいどこに隠れていたのか?と思うような量です(周囲を汚さないのが救いですが)。

②挽くのに恐ろしく時間がかかります。一杯挽くのに150~200回転です。これはノーマルのHARIO セラミックスリム・MSS-1の2倍以上の数字です。動作が軽いので疲れはしませんが、まだ挽き終わらないのかという気持ちになります。

では、これらの副作用とチャフだけを残して挽けることと、どちらが重要なのか?

「チャフだけを残して挽ける刃の採用をやめる」という選択肢はあるのか?

F101相似形内刃 チャフだけを残して挽くことができます 

 私には、チャフだけを残して挽ける刃の採用をやめる判断は下せませんでした。

 古い粉は、掃除の頻度を上げることで取り除くことができますが、チャフだけを取り除いた状態で粉を得ることは、非常に困難です。他の機能を犠牲にしてありあまるメリットがあると考えます(そもそも高頻度で掃除すること自体、良いことです)。

 副次的に発生した現象ですが、もはやこちらのほうが、ずっと重要な要素となりました。

 以前考えた「良いコーヒーミルの条件」を考え直さないといけません。良い条件に「チャフだけを残して挽けること」がないのは、まさかチャフだけを残して挽けるミルが存在し得るとは、思ってもみなかったためです。しかし、第一条件との折り合いがつかないので、どうするのか考えたいと思います。

 どうしたら、安定してチャフだけを残すことができるようになるのか。本体のみならず、内刃と外刃の形状に工夫の余地はあるのか。
 古い豆、粉がミルの中に残らないことと、チャフだけを残して挽くことを両立させることはできるのか?
 挽き心地の軽さを維持しつつ、回転数を少なくすることはできるのか?

どれも簡単ではない問題について、模索が続きます。

2019年4月28日日曜日

【条件付き】チャフだけを残して挽くことができる刃ができました

 設計した「F101相似形内刃」ですが、実はHARIO セラミックスケルトン・セラミックスリムMSS-1の刃に組み合わせることができるよう作っています。

 先日、3Dプリンターで作った刃が使えることが分かったので、セラミックスリムMSS-1に組み込んで使ったところ、思ってもみなかった現象が発生したので別記事にします。

その効果は「条件が整えばチャフだけを残して挽くことができる」というものです。その条件とは、以下の3点です。

1.チャフの残りやすい豆で挽く
2.一度にホッパーに入れる豆の量は一杯分(10g程度)
3.チャフに逃げ場ができるよう、ホッパーに豆のない空間を残して挽く




奥の豆がKALDIマイルドブレンド、手前の大きな豆がパカマラ チャフはパカマラを挽いたときのもの
チャフは下の写真のホッパーから取り出したそのままの状態です。撮影のため、特別にチャフがキレイに取れたものを選んでいるわけではなく、上記の3条件を満たせば、ほぼ毎回このようになります。


セラミックスリムMSS-1のホッパーに残ったチャフ
今まで「toho coffee アラビカリッチブレンド」でテストしているので気が付かなかったのですが(この豆はチャフがほとんど出ません)、セラミックスリムMSS-1の改造パーツの使用感を試してもらうために、作ったパーツ群とセラミックスリムMSS-1を持って、妹夫婦の家に遊びに行った時、「深煎りスペシャルブレンド(丸山珈琲 ザ・ガーデン自由が丘用オリジナルブレンド)」を挽いた際に判明しました。本ブログの読者でもあります、柚子蜜柑さまが第一発見者です。
 今までこのようなことはなかったので、最初は、何かの間違いかなと思ったのですが、何度挽いても再現するので間違いないと確信しました。
 帰宅後、他にもいくつかチャフが多そうな豆で試したところ「KALDIマイルドブレンド」で再現、ばんじろ様よりご紹介いただいた「パカマラ」でも、効果が大きいことがわかりました(写真上)。これが発生条件1.「チャフの残りやすい豆で挽く」です。

 チャフが混じらなくなった結果、受皿を開けたときの香りが素晴らしくなりました(逆にチャフが残ったホッパーの中は、思わず顔をしかめるほど、ひどい臭いがします)。

 なぜチャフが混じらなくなったのか考えてみました。

  ①形状の違い-引き込む力が弱いこと
 形状から考えた視点です。螺旋状の刃は、粉を引き込む動きをしますが、この「F101相似形内刃」は上部で砕き、下部で粒度を整えるだけで「引き込む」働きがありません。粉は「自然落下」するだけです。このため上部で豆を砕く際、軽いチャフは弾かれ、挽き込まれずに残ったのだと思います。また、セラミックスリムMSS-1の外刃の高さが15mmしかないことも関係していると思います。
 
 ②素材の違いーPA(ナイロン)で作成したため
 にわかには信じられない話かもしれません。実際に挽かないとわからないのですが、質量が軽い素材のせいか、挽いているときになんというか「豆が弾かれている」という感触を強く感じるのです。素材が無関係とは、とても思えないほどの違いです。
 似たような形状でも、金属とセラミックでは、挽き心地は大きく異なります。今回の現象も、PA(ナイロン)からセラミックの刃にしたら、再現しなくなる可能性は十分にあります。①形状の違いに比べ、説得力に欠けるように思えますが、形状の違いだけでは説明が点かないところがあるというのが印象です。

 ここまで考え、ブログにアップしようと思った所で、問題が発生しました。

 チャフがホッパーに残らず、豆と一緒に挽かれてしまうようになりました。

 理由は、豆を「一度に大量に」挽いたことです。今まではテストのために、一度に挽く豆はごく少量でした。砕かれた豆から飛び出したチャフは周囲のホッパーに付着し、そのまま挽かれずに残りました。しかし、大量に豆を入れると、チャフはまだ挽かれずに上に覆いかぶさっている豆に付着してしまい、一緒に挽かれてしまったのです。これがチャフがホッパーに残らず、豆と一緒に挽かれてしまうようになった原因でした。

 この現象を避けるためには、ホッパーの豆を片寄して、チャフの逃げ場を作ることが必要です。これが、残りの条件

2.一度にホッパーに入れる豆の量は一杯分(10g程度)
3.チャフに逃げ場ができるよう、ホッパーに豆のない空間を残して挽く

です。本体を手に持って、自由な姿勢で挽くことのできる小型軽量のディアボロ型ミルならではの利点です。ここでもディアボロ型ミルの優位性が明らかになりました。
ホッパー内部の豆は片寄せした状態で挽きます。上の方に弾かれたチャフが残ります

 どうしたら、安定してチャフを残すことができるようになるのか。本体のみならず、内刃と外刃の形状に工夫の余地はあるのか。作った部品の組み合わせを変えながら、ずっと検証し続けています。

2019年1月14日月曜日

HARIO セラミックスリム・MSS-1を研究する(4)

前回、HARIO セラミックスリム・MSS-1について、改造した部品をつけるとどうなるのか、挽いた粉の品質を比較すると書きました。早速挽いてみたので、結果をレポートします。
HARIO セラミックスリム MSS-1 改造部品群(白)
細挽き

 改造部品を使用しても、ほとんど変わりません。よく最近のミルの売り文句に「ここまで細かく挽けます」といった性能のアピールがありますが、あまり意味がないものと思うようになりました。というのも、ほとんどの最近のディアボロ型のミルに採用されているHARIO社、ポーレックス社のセラミック刃を使ったミルであれば、ギリギリまで隙間をなくせば(空廻しすると刃のこすれる音はしますが)、このくらいの細かい粉は挽けるからです。両社の刃を使用するミルであれば、すべてこのレベルを満たすと考えて良いでしょう。



MSS-1 細挽き比較 左オリジナル 右改造
中挽き

 改造部品の使用で明らかに変わります。改造後のモデルの方がずっと粒度が揃います。
 写真で見ると、右(改造モデル)の方が細かい粉が多いように見えますが、実際には左(オリジナル)の方が(求める粒度より)細かい粒度の粉の割合が多くなっています。右(改造モデル)のほうが、「中挽きの大きさの粉」が占める割合がずっと多いのです。粉を揺さぶると粒度の粗いものが上の方に浮き出してきますが、左のオリジナルの方は、そのような状態です。
MSS-1 中挽き比較 左オリジナル 右改造
右の方が細かい粉が多いように見えますが、実際には左の方が細かい粒度の粉の割合が多くなっています
今回、粒度の設定は刃の隙間をどうするかではなく、挽いた粉の粒度から判断するようにしました。狙った粒度の粉が最も多い割合の設定が「求める粗さの設定」とした訳です。
 オリジナル(左)では、粒度を粗めに設定すると、すぐに大きな粒が混じります。そのため、大きな粒が混じらず、中挽きの粉が多くなるようにするために、ずいぶん細かい粒度に設定しています。
 写真で見ると、つい大きな粒に目が行きますが、実際にはそれほど多い割合を占めるわけではありません。中挽きに挽いたように見える粉でも、均してみるとそうでもないのです。設定はどうであれ、求める粒度の粉が得られれば良いのですが、オリジナルで中挽きの粒度を求めると、細かい粒度の粉が多く含まれてしまいます。

粗挽き

 中挽きよりもさらに改造部品の効果があります。写真で見ると、右(改造モデル)も左(オリジナル)も変わらないように見えますが、左(オリジナル)は、想定以上の大きさの粒(赤丸)が混じるようになり「制御範囲を超えた」という印象を受けます。先ほど中挽きの説明で、「オリジナル(左)では、粒度を粗めに設定すると、すぐに大きな粒が混じります」と書きましたが、粗挽きの設定は非常に難しいです。右下のあたりに細かい粉(青丸)が多く含まれていますが、これは中挽きの設定と大して変わらないためです。わかりやすくするために今以上に粗くすると、あまりに大きな粒ばかりになり、「悪意」を感じさせる写真になってしまいます。それは私の本意ではありません。
 右の改造モデルにも、もちろん細かい粉は含まれますが、割合が異なります。大きな粒も混じっているのですが、狙った大きさ以上の「制御範囲を超えた」粒は出ていません。粗挽きの粉が挽けているという印象を受けます。
MSS-1 粗挽き比較 左オリジナル 右改造
青丸部分の粉が最も多いにもかかわらず、想定以上の大きな粒(赤丸)が混じる


評価
 改造部品を使用することで、実用範囲の粒度についてコントロールできる範囲が広くなり、かつ、求める大きさの粒が多くなる粉を簡便に得られるようになりました。
 こうしてみると、限界点を超えた途端、突然大きな粒が混じり始めるオリジナルモデルは、粗挽きの側で制御できる粒度の範囲が狭いことがわかります。これでは、得られたベストポジションを失わないため、分解掃除をためらってしまいます。洗った後に、また時間をかけて何度も調整することになるのかと思うと、分解掃除が億劫になるのも無理もないと思います。せっかく分解掃除がしやすく、簡便な構造を持つ本機の長所を生かすことができません。
 改造部品は、分解掃除のハードルを下げます。この部品は、当ブログの考える良いミルの第六条件「意図した粒度で挽けること」を得るという直接的な効果だけでなく、HARIO セラミックスリム・MSS-1を研究する(3)で明らかになった第三条件の「挽き心地が軽いこと」、このミルの圧倒的に素晴らしい長所である第二条件「分解・掃除・組立がしやすいこと」をさらに推し進めると言えると思います。

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 しかし、粉の比較写真は非常に難しいです。言葉による説明がないと理解が及ばないのでは失格ですね。また、何度も挽いていると大きな粒をなくそうとする意識が働くようで、気が付くと細かい設定になっています。その結果、比較と言いながら、あまり変わらない写真になってしまいました。
「わかりやすい絵」にすることも可能ですが、悪意が感じられたり、どうにも嘘っぽくて、私の性分に合いません。挽けばわかりますが、「制御できる範囲が広くなり、求める大きさの粒が多くなる」という効果で、わかりやすい絵などほとんどないのです。

2018年12月28日金曜日

HARIO セラミックスリム・MSS-1を研究する(3)

先日、codgetさまより,「ハリオコーヒーミル用 粒度均一化プレート CMMU-H1」のご案内をコメントよりいただきました。

私からは「素晴らしい製品ですね。効果の大きさと、品質の高さ、そしてなにより手軽さが良いです。私も手軽な製品を考えたいと思います」という返信をいたしました。

codgetさまがセラミックスケルトン用に作られたので、私もセラミックスリム用に高性能化部品を作ることにしました。

もともと私はセラミックスリムMSS-1こそ、メンテナンスしやすいミルの極致と思うほど素晴らしい構造だと思っておりますので、ちょうど良い機会でした。
改造するつもりでよく見ると、これはシャフトを上下二点で支える構造と相似であることに気づかされます。
セラミックスリム カットモデル

私の考えるモデルのカット図 緑色部分がベアリング

THE COFFEE MILL カット図
そこで、ブレをなくすことを目的に、いくつかの部品を改造することにしました。

①上下二点のシャフトを固定する樹脂部品の精度を良くすること 
セラミックスリム 改造部品(白)
穴をきつくすること、シャフトと接する範囲を広くすることで、シャフトのブレを少なくしました。下の写真が、実際に本体にシャフトを組み込んで置いた状態です。左のTB(透明ブラック)は既製品、右のB(ブラック)は改造品です。既製品ではシャフトが上に押され、浮き上がっているのがわかります。改造品では、シャフトがきつく締められているため、浮き上がりません。これにより、動作は固くなっています

右が改造部品を組み込んだセラミックスリム シャフトがきつく締められているのがわかる

②内刃のぶれをなくすこと
 既存のミルの欠点を取り除いた軽快な挽き心地、粉が飛び散りにくいミルを考案する(7)でも書きましたが、取り外しを容易にするために、シャフトと内刃の間に隙間を設ける必要があり、ガタが発生しています。
 シャフトの固定部品について、シャフトの固定部をきつくすることでガタつきを少なくし内刃の動作を安定させました。いくらシャフトを固定しても、肝心の内刃にガタが発生しているのでは意味がありません。そもそもシャフトを固定するのは内刃のブレをなくすためです。
 そのため、使いやすさに問題が発生しました。MSS-1のオリジナル部品では、バネの力で押し出されますので簡単に粒度調節ができますが、今回の部品交換で、最初は内刃が「粒度調節方向にほとんど動かなくなる」状態になります。最初は粒度調節はできません。しばらく使うと、なじんで調整ができるようになります。何種類か違う寸法で作ったのですが、ある程度きつく固定しないとガタがなくならないので、きつめにしました。

 粒度調節のしやすさと、ガタつきの解消は相反しています。粒度調節のしやすさという点ではMSS-1のオリジナル部品がすでに存在していますので、本品は粒度調節のしやすさより、ガタつきの解消を目的としました。
HARIOセラミックスリム 改造後比較 隙間がありません
③副次的に得られた効果
 シャフトの固定部をきつくすることで、動作感触が変わりました。ハンドルの動作については、過去の研究でも「しかし、ちゃんと固定されていないので廻す際にブレが発生し、ハンドルを下に押し付けながら挽きたくなるのもまた事実です。」と書いています。
 内刃のブレをなくすためにシャフトの固定部品の精度を良くした結果、ハンドルの動作角の遊びが小さくなりブレが少なくなりました。
 ハンドルの動作角の遊びは、挽く負担を大きくします。「動作角の遊び」なんて大したことはない、影響があるのは動作の最初だけで、ハンドルを回しはじめたら関係ないだろうと思えますが、必要以上に遊びの多いハンドルは動作を不安定にし、動作負荷を高めます。アルミ削り出しの試作品を使ってからは、その違いがはっきりと分かりようになりました。固定されたハンドルは、当ブログの考える良いミルの「第三条件:挽き心地が軽いこと。」の必須条件です。

 次回は挽いた粉の品質を比較します。

2018年11月25日日曜日

既存のミルの欠点を取り除いた軽快な挽き心地、粉が飛び散りにくいミルを考案する(7)

オリジナル設計のボディでの、試作品第2号の本体ができました。

右が第2号機 若干くびれを細くしています。これでだいぶ持ちやすくなりました

外観はあまり変わりません。第1号では3D-CADの画面上ではわからない本体の質感、まわした時の感触、豆の飛び散り具合などを検証するために、既存のF101の刃を組み込んで作成してみたのですが、やはり変更したい箇所がいっぱいありました。特に握った時の感触があまり良くなかったので、くびれを少し細くしました。
 実物がなかなかできなかったのは、受皿のガラスと本体をはめるための、バヨネット構造の樹脂部品が高額だったためです。
 
 樹脂部品については、3Dプリンターでの作成が良いのではないかとのアドバイスをいただいていたのですが、過去に見た3Dプリンターによる生成物は、かなり積層面が荒いものでした。以来、3Dプリンターの品質をまったく信用していなかったこと、私のCADではSTLによる出力ができないことから検討もしていなかったのですが、私の勉強不足でした。igesデータで作ってくれるメーカーが見つかったこと、安価でかなりの精度で作成される方法があったので、作ってみました。結果は素晴らしい精度でした。品質、強度については、これからいろいろな方に使ってみていただき、検証していきたいと思います。
3Dプリンター ナイロン粉末造形(PA粉末造形・粉体造形・SLS)による作成 精度はいいです

 
せっかくなので、以前設計した内刃と外刃も実物を作ってみました。3D-CADの画面上では、それなりに凹みをつくったつもりですが、実際に見て見ると浅いので、現在再設計、作成し直しています。実物での確認は重要ですね。
F101の形状を参考に一体型で作成 第1号


 れがーと様からコメントをいただきましたが、シャフトと内刃をどうやって組み立てるかが課題です。このミルを作るにあたっては、可能な限りメンテナンスを楽にしたいという目標がありました。そのためには部品点数を少なくし、道具を使わなくとも、分解組み立てを可能にする必要があります。これについては、HARIOのMSS-1の構造が真っ先に浮かびました。しかし、これはブレが大きくなるという問題がありました。コーヒーミル本来の目的である「挽いた粉を均質にすること」を実現するためには、内刃と外刃のブレを極力小さくする必要があります。内刃のブレをなくすためには、シャフトと内刃を固定することが一番確実です。多くのミルはこの構造を採用しています。ではどうしたらよいのか。実際のモデルから考えて見たいと思います。

 1.シャフトから内刃を簡単に取り外すことのできる構造です。HARIO MSS-1の構造では、下から内刃を取り外すことができます。しかも道具を使わずに分解組み立てが可能です。しかし、取り外しを容易にするために、シャフトと内刃の間に隙間を設ける必要があり、ガタが発生しています。これではコーヒーミル本来の目的である「挽いた粉を均質にすること」を満たしません。


取り外しを容易にするには、シャフトと内刃の間に隙間が必要です

 2.シャフトと内刃を固定する方法です。内刃とシャフトが一体化しているため粒度が均質になります。SPONGが完全一体でこの方法が最も確実ですが、この方式では分解の際、内刃を下から取り外すため、ハンドルとシャフトが分離することが前提となります。私の考えているモデルでは、ハンドル部分を一体化しているので、固定すると上からシャフトを抜くことができず、分解ができなくなってしまいます。内刃だけをシャフトから取り外せるようにすればよいのですが、これが難題です。一番確実でコストがかからないのは、ネジを使って固定する方法ですが、道具を使う必要があります。

写真左  SPONG:完全一体
写真中央 KONO F303:組立式だが、分解を前提としていない
写真左  HARIO セラミックスリム:ネジで固定、分解を前提としていない
シャフトと内刃を固定する方式


 

 1の方法はどうやらダメそうなので、シャフトと内刃を固定する方法で、道具を使わずに分解できる部品を考えてみました。着脱を容易にするため、内刃との固定はヘクサロビュラ形状(カムアウトが発生しません)を採用、ノブの形状は人間の手になじむ理想的なかたちとされるセブンロブノブを採用しました。実際に使ってみないと、使い勝手がわからないのですが、現在の私に知るうる限りの最良のものを組み合わせて作成してみました。左ネジで作ってみたのですが、内刃と一体で動くためネジ部分には荷がかからないので、通常のネジで作り直したいと思います。

ヘキサロビュラ形状で固定するネジ(左) オリジナルで設計しました

内刃とネジを組み合わせたところ 3Dプリンタの精度は非常に高く、ピッタリ合います
あとは、内刃と外刃の実物を作成するだけです。問題は費用です。お金さえあれば、今すぐ実物を作ることができます。刃などは2016年に基本設計は終わっています。今回、設計変更がありましたが、それも試作品を1個つくればわかることです。
 初期投資を抑えて作成する方法について、この2年間ずっと探し続けてきました。かなり有力な方法も見つかり、解決したかに思えたこともあります。しかし、残念ながらこの形状を作ることができませんでした。
 費用をどうやって工面するかが解決すれば、製品化が可能なところまで、あと一歩です。

2016年1月31日日曜日

貝印 THE COFFEE MILLを研究する(1)

 今回は貝印の現行モデル「貝印 THE COFFEE MILL」を取り上げることにします。まったく、お恥ずかしい話なのですが、KU-rubushiさまより、コメントを頂戴するまで、このミルの存在を知りませんでした。調べて見ると、大変好評なモデルのようで、一時期生産が追い付かず、販売を停止していた模様。アマゾンなどの販売サイトでも見つからなかったのは、そのせいでしょうか(いやいや、自分の不勉強を棚に上げてはいけませんね)。

 ホームページを拝見しますと、

“コーヒーハンター”川島氏との共同開発
 世界中のコーヒー農園を回り、コーヒーを知り尽くした川島氏の「コーヒー豆のおいしさを最大限に引き出し、自宅で最高のコーヒーを楽しんでほしい」という想いを実現するために開発された「TheCoffeeMill」。
 3年の歳月をかけて開発されたこの商品は、「家挽き」という自宅での一杯にこだわるコーヒーユーザーに向けて、雑味の元となる微粉が出にくい構造を新たに開発しながら、挽きやすさとインテリアとしての完成度も目指して製品化されました。

“新開発の「FIXグラインド機構」”

 雑味の元になる微粉を減らし、挽いたあとの粒を均等にするために新たに開発した新技術「FIXグラインド機構」。
 一般的なコーヒーミルは、上下に分かれた挽き臼の一方だけを固定しているものがほとんどで、
臼がブレやすく微粉が出やすい構造でしたが、「TheCoffeeMill」は、上下の臼を両方とも固定することににより、微粉が出にくく安定した大きさで豆を挽く事を可能にしました。

(引用ここまで)

とあります。当ブログとは異なり、味のわかる方が考えられたミルのようで、微粉を減らすことが主な目的のようです。

 構造を拝見しますと、なんと当ブログの考えていた上下ベアリング固定方式と相似形をなしています。

THE COFFEE MILLのシャフト固定構造



私の考えたシャフト固定構造(緑色の部品がベアリング)

 当ブログでは動作が軽く、スムースな動きを実現するためにベアリングを採用しました。最初はF301と同じような位置に配置しましたが、ベアリングをちゃんと固定すること、ミル内部の汚れを防ぐために、上部に配置しましたが、結果的に似たような構造になっています。

 当ブログの作るミルは、良いミルの条件として粒度を安定させることは考えていましたが、もしかしたら、微粉も減らすことができるのではないでしょうか。ということは、味が良くなるかもしれない・・・。非常に勇気づけられます。


以下、いつも通りのフォーマットに従い比較していきたいと思います。



  ディアボロ型の例にもれず、このモデルも、構造的に実によく考えられています。部品点数は、今までで最も少ない「セラミックコーヒーミル・スケルトン・MSS-1TB」よりもさらに少なく 10点(分解可能な部品)しかありません。

本体シャフト部分は分解できないのでこうなります

ホッパーの形状

 第一印象は「とても大きい」でした。写真ではあまり大きさが変わらないように見えますが、高さはともかく、幅というか太さが非常にあります。その割にはホッパーは非常に小さく、豆がいっぱい入るわけではありません。底面を付けて挽いたときに安定するような形状にしたと思われます。

インテリアとしても見栄するようとのことから、全体が鏡面加工されています。

写真ではほとんど伝わりませんが、非常に大きいです

    • ハンドル長
    110mmです。「セラミックコーヒーミル・スケルトン・MSS-1TB」(100mm)より若干長いです。握り玉の大きさは、ほぼ同じです。これも鏡面加工されています。
    打ち抜き面をみると、HARIOのMSS-1TB(下)の方が仕上げが良いです

    • 刃の形状
     内刃は、「セラミックコーヒーミル・スケルトン・MSS-1TB」にほぼ、相似の刃がついています。
     HARIOの刃に比べると、エッジがだいぶ甘いです。しかし、今までの研究から、必ずしもそれが悪い結果につながるわけではありません。


    右の白いほうがTHE COFFEE MILL エッジが甘いです

    右の白いほうがTHE COFFEE MILL 外刃もエッジが甘いです

    共周りを防ぐために、ヘクサロビュラ形状を採用したようです。
    ヘクサロビュラは、面で支えないとあまり意味がないようなのですが、大丈夫でしょうか。

    原則、分解はできません。今回は先端部を削って無理やり分解しました。
    なぜそこまで固定にこだわったのかは不明です。

     このミルを探した際に、非常によく似た刃のミルを見つけました。ポーレックス社製です(ただし、廻り止めの構造が異なり、HARIOの廻り止めに似ています)。貝印はポーレックスから刃の供給を受けているのでしょうか?


    分解組み立てなど、とてもきれいな写真で紹介されています


    そこで、なんと内刃が500円で売られていることを発見


    どうやら国産の模様。

    今まで散々、いろいろな業者に頼んできて、とんでもなく高額か、技術的にできないと断られてきたのが、いったいなんだったのか・・・・。


    次回は、形状と使い勝手の関係を明らかにしていきたいと思います。

    2015年10月25日日曜日

    既存のミルの欠点を取り除いたコーヒーミルの形状

      軽快な挽き心地、粉が飛び散りにくいミルはどのような形になるのか。欠点を取り除いたコーヒーミルの形状はどのようなものになるのか(欠点を取り除いたものが、必ずしも理想の形状になるとは思いません)、ここでいったん、これまで考えてきた結論を出したいと思います。

     結論から言うと、ディアボロ型の形状が、原理的に優れています。

     廻す時に手が疲れるのは、豆を挽く際に引っかかった時、本体が引っ張られないように同じ場所に固定しようとするため、手首が無理な姿勢になるためだと判明しました。満員電車に乗った時、カーブやブレーキがかかった際、姿勢が崩れそうになりますが、その時、倒れないように踏ん張ると、無理な姿勢になると思います。あれと同じです。あの時、身体には無理な力が入っています。吊革につかまって、姿勢を崩してやり過ごすと、それほど疲れないはずです。コーヒーミルも同じで、引っかかった時、無理に床面に固定し続けようとしなければ、手首に大きな負担はかかりません。

     本体の大きさが大きなミルは、本体を支える面積が大きいため、あるいは押さえやすい形状のため、疲れないのでした。

     対して、箱型で縦廻し式のミルは、ディアボロ型に対して有利な点がありません。

     横廻し式のミルは、粉が残りすぎます。それに、ディアボロ型のミルで蓋をすれば、横廻しに近い姿勢でひくこともできるのです。

     ディアボロ型のミルは床面に固定しなくて済むため、無理な力がかかった際、やり過ごすことができるので疲れが少なくなります。ディアボロ型のミルは、置いて使うのではなく、持って使う方が楽です。持って使える形状は、疲れに対して原理的に優れています。

     欠点を取り除いたコーヒーミルの形状は構造的にMSS-1、材質的にMSCS-2TB、造形的にSPONG 80、刃の形状はF101・F303が最も近いです。

     中でもMSS-1には気づかされる点が多々ありました。MSS-1を使って感じたのは、粗引きの際でも粉度が安定することです。理由は、私の使い方にありました。今まで使ってきたミルは、ネジが固く締まりすぎるのを恐れて、ハンドルを固定する袋ナットを、きつく締めないようにしていました。その結果、ネジがゆるみ、粗い粉が出ていたのです。MSS-1はハンドルを固定する袋ナットがなく、こうしたことが起きません。つまり、ハンドルを固定するのに、同一方向に回転するナットを使わなければ、こうしたことは原理的に起こらないわけです。設計者の意図しない使われ方で、精度が落ちている例です。
     また、ホッパーの形状について、ホッパー上部が握れないほど太ければ問題にならないのですが、MSS-1では実際に「握ることのできる太さ」ため、握る手をハンドルに近い側に移動させると、かえって握りにくくなったことがありました。

     こういった想定外の使われ方を防ぐのも、良い設計です。


    もっとも愛着のある3つのミル 右からSpong80、MSS-1、F201改

    F201の袋ナットをHARIOセラミックスケルトン MSCS-2TBの部品に交換、ゆるみを減らして使っています


     既存のミルの欠点を取り除いたコーヒーミルの形状は、以下に集約されると考えました。
    • 手に持てるディアボロ型
    • 軽いこと
    • 握りやすい形状であること
    • 材質が良いこと
    • 想定外の使われ方をしないような形状にすること
    遠回りしましたが、結論を出すことができました。

    2015年10月17日土曜日

    Spong 80を研究する(2)

     前回は、形状の違いを写真で見てきました。今回は、形状と使い勝手の関係を明らかにしていきたいと思います。比較のため、他機種と同じ項目で追っていきます。使いやすいコーヒーミルの形状とはどんなものか(1)では、
    • 絶対値として、動作が軽いこと
    • 底面が固定されること
    • 押さえる手に無理な力がかからないこと
    • 本体を押さえながら、ハンドルを廻した時に、押さえた手と干渉しないこと
    を満たす形状として
    • 廻した時に左手に当たらない高さに、ハンドルが配置されている
    • 左手で押さえる際、親指と人差し指を開いて握るような形状は押さえやすい
    • 角のない受け皿
    • 分解しやすく、場合によっては洗える本体
    を考案しました。Spong80は上記の条件を満たしているのか、検証することにします。
    • 廻した時に左手に当たらない高さに、ハンドルが配置されている
      Spong80も、ちゃんと適切な高さにハンドルがあります。ディアボロ型のミルでは、この項目は必要ないので、記述はこれだけにします。
    • 左手で押さえる際、親指と人差し指を開いて握るような形状は押さえやすい
      大変押さえやすい(握りやすい)形状です。今まで、F201・セラミックスケルトン・セラミックスリムを使ってみて、F201が最もしっくりきましたが、その上を行きます。押さえたとき、手の気持ちの良いところだけに触れます。太さといい、高さといい、大変心地良い形状です。ただ、全体が鋳物なので、非常に重たく、手に持って挽きたいとは思わないです。
    • 角のない受け皿
      「角のない受け皿」ですが、金属製のため、静電気で粉が残ります。
    • 分解しやすく、場合によっては洗える本体
      後述しますが、設計が古いため分解は若干手間がかかります。受け皿には、本体と組み合わせるため、ゴムがついているのと、底にフェルトが張られているので、気軽に洗うわけにはいかないようです。

    • 刃の形状・鋭さ・材質・硬度
      大変、大きな内刃です。今まで見たどの刃とも形状が似ていません。鋭さがまったくない形状です。作られてから長い年月を経たせいで、鋭さがなくなったというものではなさそうです。

    大変大きな内刃です

     今まで全てミルについて、使用感の違いを以下の6点になると思うと書いてきました。Sopng80ではどうなのか、同じ項目について個別に見ていきます。
    1. 挽き心地が軽いか否か
    2. ホッパーに豆が残るか否か
    3. ホッパーの縁に挽いた粉が飛び散るか(汚れが激しいか)
    4. 粒の大きさの調節機構が使いやすいか否か
    5. 分解がしやすいか
    6. 豆の入れやすさ
    • 挽き心地が軽いか否か 
       決して軽くはないです。本体とシャフト触れる部分の精度が悪いので、特に粒度が粗いときに安定して挽けません。ボールベアリングが下のシャフトの接点に使われていますが、粒度の調節機構との摩擦を軽減させているだけで、シャフトのブレを防ぐ機能はまったく持っていません。せっかく外刃がブレる要素がないのに、大変残念です。
    ベアリングとベアリングが収まる穴

    • ホッパーに豆が残るか否か
    豆の挽き込み口が、ホッパー下部の一部しかなく、外刃の上ではなく、横に来るような高さに開いているので、豆が残ります。本体を傾けるなどして、豆を穴の中に入れてやる必要があります。
      • ホッパーの縁に挽いた粉が飛び散るか(汚れが激しいか) 
        静電気で粉が残るため、本体内側についた粉がこぼれ落ちます。HARIO セラミックコーヒーミル・スケルトン・MSCS-2TBを研究する(2)で、ディアボロ形状のミルでは、本体上部に残った粉をしっかり落とさないと、受け皿を外したとたん、周囲に残った粉がこぼれ落ちると書きましたが、Spong80は、ボロボロこぼれ落ちます。周囲が汚れるので、受け皿を取り外す際には気を使います。セラミックコーヒーミル・スケルトン・MSCS-2TB、セラミックスリム・MSS-1は、静電気を帯びにくい材質だったので問題ありませんでしたので、材質の影響が、かなりあることがわかります。

      • 粒の大きさの調節機構が使いやすいか否か
       調節機構は、内刃の下で行う方式です。2つのネジを両端から進め、両者が接し動かなくなる点で固定させる方式です。思ったところにネジを固定するのには慣れが必要です。セラミックスリムが、非常に使いやすい設計でしたので、余計に使いにくいと感じるのかもしれません。
        調整にはちょっとしたコツがいります
      • 分解がしやすいか 
       粒度の調節機構にマイナスドライバー、ハンドルの取り外し「コイン」が必要ですが、それだけで分解ができます。ハンドルには大きく力がかかるので、固くなりますが、コインなど大きな工具を使えるので、それほど大きな問題にはならないと思います。ベアリングだけは、小さな部品なのと、転がりやすい部品なので、なくさないよう注意が必要です。
       組み立ての際、粒度の調節機構の調整がしにくいので、分解掃除のたびに調節するのは、少々面倒ですが、箱型のミルに比べれば大したことはありません。ディアボロ型ミルの使いやすさに、相当慣れてしまったようです。
      • 豆の入れやすさ
       投入口は広く、とても使いやすいです。ハンドルが非常に太いので、使いにくいかなと思いましたが、そのようなことはないです。
      • 結論・評価
       最後に評価です。
       大変持ちやすい握りやすい形状です。今まで使ってきたミルの中で最もしっくりきます。高さ、太さなど、作るなら外形は、この形状を元に考えます。重さだけは、非常に重たいため、女性の方は億劫になるかもしれません。また、設計が古いため、豆の粒度を調節する機構は使いにくいです。セラミックスリムの使いやすさを知った後では、この機構には良さを感じられません。

       しかし、このミルには所有する満足感があります。蒸気機関車のようなどっしりとした存在感は、なんともいえないものです(英国製なのに、華麗な英国の蒸気機関車とは、だいぶ雰囲気が違いますが。どちらかといえば、日本の蒸気機関車に似ていますね)。薄っぺらさとは無縁の重厚な存在感、いかにも濃そうなコーヒーを淹れられるような雰囲気は、捨てがたいものがあります。このミルも当ブログの考える良い手動式ミルの第七条件「満足感の高いこと」を、大きく兼ね備えています。

       コーヒーを淹れるという行為が、きわめて趣味性が高いことを、ここでも再認識させられます。

      2015年10月10日土曜日

      Spong 80 を研究する(1)

       今回はSpong 80を研究します。KONO式(コーノ式)ミルF201、HARIOの「セラミックコーヒーミル・スケルトン・MSCS-2TB」は非常に合理的で使いやすかったので、またディアボロ(≒中国独楽)形状のミルを研究してみます。

        ディアボロ型の例にもれず、このモデルも、構造的に実によく考えられています。本体が外刃を兼ねるなど、部品点数は非常に少なく、11点(分解可能な部品)しかありません。セラミックスリムと並ぶ、ミニマムな構造です。

      Spong本体 重厚感あふれる質感とシンプルな形状
      • ホッパーの形状
        直線を基調とした、シンプルなデザインです。内部は底の部分が斜めになっており、スムースに引き込もうとする意図が見受けられます。挽き込み口は、ホッパー下部の一部しかなく、外刃の上ではなく、横に来るような高さに開いています。

      本体の一部が引き込み口になっています

      • ハンドル長
      95mmです。握り玉は木製です。

      • 金属部品群
      多くの部品が鋳鉄で作られており、大変重いです。ハンドルを留めるネジはアルミ、ベアリングは、おそらく鋼鉄製です。アルミもアルマイト処理をしたとは思えません。ですので、保存状態が悪いと、すべての部品が錆びます。私が手に入れた個体も錆びだらけでした。ベアリングは、磨いた後も錆が残っています。コストのため(切削加工はとんでもない値段になります)に鋳物で作ったのだと思いますが、材料の選定には、必ずしも同意できかねます。



      わずか11点しかない部品群

      • 刃の形状
      外刃はなんと、本体が兼ねています。外刃に原理的にブレが発生しないという点では、この構造が最も優れているでしょう。内刃は、F303以上の大きさの刃がついています。「上部で砕こう」と考えた形状ではなく、細断する部分まで、ほぼ同じ形状になっています。

      外刃は本体が兼ねる。砕く部分はなく、全体的に均一な形状

      左からSpong80 F303 HARIO 
      Spongは内刃上部に「砕く」個所がある

      左からSpong80 F303 HARIO 下から見ると良くわかります



      次回は、形状と使い勝手の関係を明らかにしていきたいと思います。

      2015年8月15日土曜日

      HARIO(旧)を研究する(3)

      今まで全てミルについて、使用感の違いを以下の6点になると思うと書いてきました。HARIOのコーヒーミルではどうなのか、同じ項目について個別に見ていきます。

      F201と並べて見ると、ひと回り大きいことがわかります


      挽き心地が軽いか否か
      1. ホッパーに豆が残るか否か
      2. ホッパーの縁に挽いた粉が飛び散るか(汚れが激しいか)
      3. 粒の大きさの調節機構が使いやすいか否か
      4. 分解がしやすいか
      5. 豆の入れやすさ 

      挽き心地が軽いか否か

       いろいろな姿勢で挽いてみたと書きましたが、椅子に座ってテーブルの上で挽いても、キッチンに立ってキッチンテーブルに置いて挽いても、また、この小型軽量のモデルならではだと思うのですが、立って宙に浮かせたまま使っても大丈夫です。このモデルに限らず、ディアボロ形状のミルは持った方が使いやすいです。というか、ディアボロ型のミルではこの項目は必要ないかもしれません。

      ホッパーに豆が残るか否か

       本体と刃の間に継ぎ目があり、どうしても細かい破片が残ります。F201よりも隙間は大きいような気がしますが、透明で目立つからかもしれません。

      ホッパーの縁に挽いた粉が飛び散るか(汚れが激しいか)

        特にディアボロ形状のミルでは仕方がないのですが、受け皿を外したとたん、周囲に残った粉がこぼれ落ちます。F201では本体上部のスカート部が大きく深く、すぐに横にすれば、粉が外にこぼれ落ちることはなかったのですが、残念ながら、HARIOのモデルではスカート部がないため、本体上部に残った粉がこぼれ落ちます。また、アクリルの本体は静電気を帯びやすいようで、この影響もかなりあるようです。
       このモデルの後に発売されたHARIO セラミックコーヒーミル・スケルトン・MCSC-2TBもスカート部が浅いのですが、セラミックのため、刃に付着する粉の量が圧倒的に少ないので、こぼれ落ちる量が問題になりません。形状もさることながら、材質は予想以上に影響があるようです。

      粒の大きさの調節機構が使いやすいか否か

       調節機構は、今まで見たことのない形式です。本体・シャフトに固定されない、独立した調節部品が隙間を調節します。本体とは「キー」で共周りを防止しています。どんな時でも粒度を調節できます。粒度の調節としては非常に優れていますが、後述しましうが構造的には分解の際、少々気を使います。また滑り止めにゴムを使用していますが、劣化した場合など、交換部品が供給されているのかが気になります。
      本体・シャフトに固定されない調節部品

      反対側から見た調節部品 ネジの位置もずらしています

      粒度を細かくした場合

      粗くした場合

      本体にギザギザがあり、ゴムで滑りを止めています

      分解がしやすいか

       一番上の袋ナットを外した時点で、内刃を留めるものがなくなるので、内刃がいきなり下に落ちます。ガラス瓶をつけたままでは、傷が付きそうなので、気を使います。今まで見てきたモデルは、調節機構にネジがあり、そのまま落ちることはありませんでした。分解の際には、事前にガラス瓶を外すことが必要です。
       また本体と外刃の間に細かい粉がいっぱいたまります。長く使うと細かい粉で本体が傷つけそうですが、いかがでしょう。
       ただ、前述しましたが、ハンドルを除くと2箇所のネジを外せばすべて分解ができます。部品点数の少なさという点で、F201よりも分解しやすいです。

      豆の入れやすさ

       F201同様、投入口と、飛び散り防止のための蓋を兼ねた構造になっています。形状から想像すると、穴が小さく、豆があふれそうに思えるのですが、ホッパー開口部の大きさが広いので、計量スプーンで入れる際も、豆がこぼれることはありません。ふちの高さが足りないと思うかもしれませんが、そのようなこともありません。また、挽く際には、豆はすべて穴に落としてから挽き始めるので、残った豆がこぼれることもないです。見た目からは想像できないほどに、この形状は使いやすいです。
       しかし、アクリルは豆が滑らないことがわかりました。HARIO(旧)を研究する(2)で、ryota sawaki様より戴いた写真を見てもわかる通り、このモデルは豆がなかなか滑らず、すぎに下に落ちません。金属製のF201は豆が滑って、スルスルとすぐに穴に落ちるのですが、材質も大きな要素なのだということがわかりました。

      F201に良く似た豆の投入口

      F201の方が穴が大きいですね


      結論・評価

       最後に評価です。F201の影響を大きく受けているモデルですが、細かい点を見ていくと、だいぶ異なったものだと思います。機能的には残念ながらあまり高い評価を下すことができません。理由は、手に持ちにくいこと、袋ナットを外しただけで内刃が落ちること、本体と受け皿を外したとき、粉が周囲にこぼれやすいこと、ガラスの受け皿の口が大きすぎるためです。

       F201、セラミックスケルトン、セラミックスリムという、大変優れたモデルの後に使ったためか、どんどん評価が厳しくなってしまいました。しかし、それでもボックス型のミルに比べれば、圧倒的に使いやすく優れています。
       また、キッチュとも言えるデザインは、他にない魅力を放っています。なんというか、周囲の雰囲気が明るくなるのです。セラミックスケルトンが、良くできたキッチンツールにしか見えないのに対し、このモデルは明らかに楽しさがあります。赤だけでなく、白のモデルでもそうです。

       楽しい食卓を彩るミル。人に見せたくなるコーヒーミル。挽かせてと言われて、渡した時、使いにくくて嫌になって返されないミル。そんな使い方をしている方には、代わりがないものと言えるでしょう。

       セラミックスケルトン、セラミックスリムは、このミルの使いにくさをほぼ解消し、機能の極致に達しました。しかし、失ったものも大きいようです。

       何が良いミルなのか、またわからないことが増えました。

      2015年8月8日土曜日

      HARIO(旧)を研究する(2)

       こちらによくコメントをくださる、ryota sawaki様より、HARIOディアボロ型ミルの、色違いモデルの写真を頂戴しました。

       御両親の結婚祝いに頂いたサイフォンセットの中に含まれていたものということです。38年前とのことですが、今でも現役で活躍とは、ミルもさぞかし、幸せなことでしょう。

      豆がいっぱい、はいっていますね。
      F201ではすぐに穴から落ちてしまいますが、留まっているのが興味深いです


      握り玉まで白ですっきりしています。

       こうしてみると、すっきりしていて白もいいですね。白はコーヒーミルにらしからぬと思っていましたが、コーヒー豆のこげ茶色と、良いコントラストをなしています。

       まさか、このミルの記事で、これほどのやり取りが発生するとは思ってもいませんでした。何が、どう関係するか、わからないものですね。