2015年10月25日日曜日

既存のミルの欠点を取り除いたコーヒーミルの形状

  軽快な挽き心地、粉が飛び散りにくいミルはどのような形になるのか。欠点を取り除いたコーヒーミルの形状はどのようなものになるのか(欠点を取り除いたものが、必ずしも理想の形状になるとは思いません)、ここでいったん、これまで考えてきた結論を出したいと思います。

 結論から言うと、ディアボロ型の形状が、原理的に優れています。

 廻す時に手が疲れるのは、豆を挽く際に引っかかった時、本体が引っ張られないように同じ場所に固定しようとするため、手首が無理な姿勢になるためだと判明しました。満員電車に乗った時、カーブやブレーキがかかった際、姿勢が崩れそうになりますが、その時、倒れないように踏ん張ると、無理な姿勢になると思います。あれと同じです。あの時、身体には無理な力が入っています。吊革につかまって、姿勢を崩してやり過ごすと、それほど疲れないはずです。コーヒーミルも同じで、引っかかった時、無理に床面に固定し続けようとしなければ、手首に大きな負担はかかりません。

 本体の大きさが大きなミルは、本体を支える面積が大きいため、あるいは押さえやすい形状のため、疲れないのでした。

 対して、箱型で縦廻し式のミルは、ディアボロ型に対して有利な点がありません。

 横廻し式のミルは、粉が残りすぎます。それに、ディアボロ型のミルで蓋をすれば、横廻しに近い姿勢でひくこともできるのです。

 ディアボロ型のミルは床面に固定しなくて済むため、無理な力がかかった際、やり過ごすことができるので疲れが少なくなります。ディアボロ型のミルは、置いて使うのではなく、持って使う方が楽です。持って使える形状は、疲れに対して原理的に優れています。

 欠点を取り除いたコーヒーミルの形状は構造的にMSS-1、材質的にMSCS-2TB、造形的にSPONG 80、刃の形状はF101・F303が最も近いです。

 中でもMSS-1には気づかされる点が多々ありました。MSS-1を使って感じたのは、粗引きの際でも粉度が安定することです。理由は、私の使い方にありました。今まで使ってきたミルは、ネジが固く締まりすぎるのを恐れて、ハンドルを固定する袋ナットを、きつく締めないようにしていました。その結果、ネジがゆるみ、粗い粉が出ていたのです。MSS-1はハンドルを固定する袋ナットがなく、こうしたことが起きません。つまり、ハンドルを固定するのに、同一方向に回転するナットを使わなければ、こうしたことは原理的に起こらないわけです。設計者の意図しない使われ方で、精度が落ちている例です。
 また、ホッパーの形状について、ホッパー上部が握れないほど太ければ問題にならないのですが、MSS-1では実際に「握ることのできる太さ」ため、握る手をハンドルに近い側に移動させると、かえって握りにくくなったことがありました。

 こういった想定外の使われ方を防ぐのも、良い設計です。


もっとも愛着のある3つのミル 右からSpong80、MSS-1、F201改

F201の袋ナットをHARIOセラミックスケルトン MSCS-2TBの部品に交換、ゆるみを減らして使っています


 既存のミルの欠点を取り除いたコーヒーミルの形状は、以下に集約されると考えました。
  • 手に持てるディアボロ型
  • 軽いこと
  • 握りやすい形状であること
  • 材質が良いこと
  • 想定外の使われ方をしないような形状にすること
遠回りしましたが、結論を出すことができました。

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