2019年4月28日日曜日

【条件付き】チャフだけを残して挽くことができる刃ができました

 設計した「F101相似形内刃」ですが、実はHARIO セラミックスケルトン・セラミックスリムMSS-1の刃に組み合わせることができるよう作っています。

 先日、3Dプリンターで作った刃が使えることが分かったので、セラミックスリムMSS-1に組み込んで使ったところ、思ってもみなかった現象が発生したので別記事にします。

その効果は「条件が整えばチャフだけを残して挽くことができる」というものです。その条件とは、以下の3点です。

1.チャフの残りやすい豆で挽く
2.一度にホッパーに入れる豆の量は一杯分(10g程度)
3.チャフに逃げ場ができるよう、ホッパーに豆のない空間を残して挽く




奥の豆がKALDIマイルドブレンド、手前の大きな豆がパカマラ チャフはパカマラを挽いたときのもの
チャフは下の写真のホッパーから取り出したそのままの状態です。撮影のため、特別にチャフがキレイに取れたものを選んでいるわけではなく、上記の3条件を満たせば、ほぼ毎回このようになります。


セラミックスリムMSS-1のホッパーに残ったチャフ
今まで「toho coffee アラビカリッチブレンド」でテストしているので気が付かなかったのですが(この豆はチャフがほとんど出ません)、セラミックスリムMSS-1の改造パーツの使用感を試してもらうために、作ったパーツ群とセラミックスリムMSS-1を持って、妹夫婦の家に遊びに行った時、「深煎りスペシャルブレンド(丸山珈琲 ザ・ガーデン自由が丘用オリジナルブレンド)」を挽いた際に判明しました。本ブログの読者でもあります、柚子蜜柑さまが第一発見者です。
 今までこのようなことはなかったので、最初は、何かの間違いかなと思ったのですが、何度挽いても再現するので間違いないと確信しました。
 帰宅後、他にもいくつかチャフが多そうな豆で試したところ「KALDIマイルドブレンド」で再現、ばんじろ様よりご紹介いただいた「パカマラ」でも、効果が大きいことがわかりました(写真上)。これが発生条件1.「チャフの残りやすい豆で挽く」です。

 チャフが混じらなくなった結果、受皿を開けたときの香りが素晴らしくなりました(逆にチャフが残ったホッパーの中は、思わず顔をしかめるほど、ひどい臭いがします)。

 なぜチャフが混じらなくなったのか考えてみました。

  ①形状の違い-引き込む力が弱いこと
 形状から考えた視点です。螺旋状の刃は、粉を引き込む動きをしますが、この「F101相似形内刃」は上部で砕き、下部で粒度を整えるだけで「引き込む」働きがありません。粉は「自然落下」するだけです。このため上部で豆を砕く際、軽いチャフは弾かれ、挽き込まれずに残ったのだと思います。また、セラミックスリムMSS-1の外刃の高さが15mmしかないことも関係していると思います。
 
 ②素材の違いーPA(ナイロン)で作成したため
 にわかには信じられない話かもしれません。実際に挽かないとわからないのですが、質量が軽い素材のせいか、挽いているときになんというか「豆が弾かれている」という感触を強く感じるのです。素材が無関係とは、とても思えないほどの違いです。
 似たような形状でも、金属とセラミックでは、挽き心地は大きく異なります。今回の現象も、PA(ナイロン)からセラミックの刃にしたら、再現しなくなる可能性は十分にあります。①形状の違いに比べ、説得力に欠けるように思えますが、形状の違いだけでは説明が点かないところがあるというのが印象です。

 ここまで考え、ブログにアップしようと思った所で、問題が発生しました。

 チャフがホッパーに残らず、豆と一緒に挽かれてしまうようになりました。

 理由は、豆を「一度に大量に」挽いたことです。今まではテストのために、一度に挽く豆はごく少量でした。砕かれた豆から飛び出したチャフは周囲のホッパーに付着し、そのまま挽かれずに残りました。しかし、大量に豆を入れると、チャフはまだ挽かれずに上に覆いかぶさっている豆に付着してしまい、一緒に挽かれてしまったのです。これがチャフがホッパーに残らず、豆と一緒に挽かれてしまうようになった原因でした。

 この現象を避けるためには、ホッパーの豆を片寄して、チャフの逃げ場を作ることが必要です。これが、残りの条件

2.一度にホッパーに入れる豆の量は一杯分(10g程度)
3.チャフに逃げ場ができるよう、ホッパーに豆のない空間を残して挽く

です。本体を手に持って、自由な姿勢で挽くことのできる小型軽量のディアボロ型ミルならではの利点です。ここでもディアボロ型ミルの優位性が明らかになりました。
ホッパー内部の豆は片寄せした状態で挽きます。上の方に弾かれたチャフが残ります

 どうしたら、安定してチャフを残すことができるようになるのか。本体のみならず、内刃と外刃の形状に工夫の余地はあるのか。作った部品の組み合わせを変えながら、ずっと検証し続けています。