- ベアリングというのは、ちゃんとした寸法の穴に、ちゃんと固定しないと意味がない。
- 下のベアリングを固定しているのは、樹脂製の部品ということだが、これでは動いてしまう。
- 本体に2個所はめれば、樹脂製の部品についたベアリングは、機械的に意味がない。
機械を扱う方には、あたりまえの話のようなのですが、今まで見てきた部品は、もっと自由度が高かったので 気が付きませんでした。いただいたアドバイスの通り、青丸部分のベアリングをなくし、赤丸の部分にベアリングを固定することにしました。
ベアリングが機能するように設計を変更 |
しかし、ベアリングが「固定されていない」にも関わらず、F201改があれほどスムースに動くということは、今までどれほど軸がぶれていたのか、考えさせられるものがあります。
なお、スタビライザー(薄茶色の部品)を廃止すれば第二条件も満たすことが可能になりますが、外刃(黄色の部品)を本体に固定しないといけないのと、本体の材質をアルミの削り出しで考えているので、廃止すると本体と受け皿の間にコーヒーの微粉が入り込んだ際、本体に「カジリ」が発生してしまう可能性があるため、残すこととします。
++ 会長のこと ++++++++
今日はお世話になっている方のことを書きます。
今まで何度か職人の方と書いてきましたが、ご自身が、職人ではないとおっしゃるので、会長と書かせていただきます。
機械修理からキャリアをスタートし、キサゲの名人でもある会長は、手動のフライス盤・旋盤・ボール盤を使って、目の前で試作品を作って下さいます。刃物も使いやすいように、自由自在に加工し、作り上げます。今時、こうしたことをして下さる工場は少ないのではないでしょうか。
会長は大変温厚な方です。職人というと気難しいイメージがありますが、決してそんなことはありません。段取りの時など、素人の私が「これは何をしていらっしゃるのですか」といった不躾な質問に対しても、丁寧に教えて下さいます。
「バリを取ったり、穴をあけるだけといった、大した作業はしていないけれど、段取りに時間がかかるんだよ」
作業1に対して、段取り8~9といった感じでしょうか。特に測定にかける時間、測定機器の豊富さは目を見張るほどです。
「段取りに時間がかかるというけれど、結果的には、それが一番早いんだよ。手を抜くと、製品の不具合で戻ってきたりして、結果的に時間もかかるし、信用もなくなっていく。」
会長はいつも、重みのある言葉をおっしゃいます。
会長のお話は、いつもとても楽しく、ついつい長居をしてしまいます。経験豊富な会長は、どんな加工上、設計上の疑問を聞いても、即座に解決策を示して下さいます。しかも、機械修理の経験がおありなので、壊れやすい箇所や、その補強方法まで示してくださるのです。
仕事の姿勢も、日本企業かくあるべしといったものです。
「同じ図面の製品があっても、うちで作ったものは、見るだけですぐわかるよ」
「納品先に持って行っても、『ここの製品は丁寧にできているから、ちゃんと扱わないといけないよ』と、相手も注意して大事に扱ってくれるものだよ」
そうやって、似たような仲間でお仕事をして、それがさらに良い製品を作ることにつながっていく・・・。会長と接していると、私にはそれがよくわかります。
私の作るミルは、間違いなく、そうした方々のネットワークの上で作られています。