KONO F101相似形のオリジナル設計 外刃・内刃 |
先日、刃物の専門メーカーの技術者と話をする機会がありました。
①コーヒー豆を挽くのに適した刃の形状は、どのようなものか
②ミルは豆を切っているのか、砕いているのか
③この部品は刃なのか、歯なのか、臼なのか
について聞いてみました。私にとっては大変明快な答えが出たので、それを書きたいと思います。
①コーヒー豆を挽くのに適した刃の形状は、どのようなものか
「どのような形状にしたいのか」によって刃物の形は異なる
私としては「最適な形状」というものがあるのではないかと思ったのですが、それについては、「どのような形状にしたいのか」によって刃物の形は異なるという、極めて当たり前ですが、非常に難しい答えが返ってきました。
そういえば、私は今まで「挽いた豆をどのような形にしたいのか」については考えたことがありませんでした。いったん、「粒度を揃える」という質問でお茶を濁すことにしました。
固くて大きなものを細かくするには、二段階経る必要がある。第一段階である程度の大きさに砕く、第二段階で粒度を整えるという異なる機能が必要だ。この形状を見ると、上のほうで大まかに粉砕しており、下のほうで粒度を整えている。ちゃんと異なる機能を持つ形状になっているので、問題ないと思うとの回答を戴きました。
②ミルは豆を切っているのか、砕いているのか
どんなミルでも「砕いている」と即答されました。理由は「微粉が発生するから」です。「完全に切断」すると、微粉は発生せず、切断された物体だけになります(紙を例にとるとわかりやすいです。切れ味が良い刃物で紙を切ると紙粉は発生しませんが、だんだん切れ味が悪くなってくると、紙粉が発生するようになります)。微粉が発生するということは、ちゃんと切れていないので、砕かれているか、破断されているからです。微粉の発生しないコーヒーミルは存在しないので、砕いているというのが回答でした。
③刃なのか、歯なのか、臼なのか
刃だと思うとの回答です。歯は歯車など「噛み合うもの」に使うが、これは噛み合っていない。臼については、何とも言えないが、この形状は大きなものを砕き、粒度を整えるという二つの機能を異なる形状で行っているので、違うような気がする。それに臼は明確な形状の特徴(六分画・八分画・反時計回りなど)があるため、「臼機能」であっても、臼ではないだろうとのことでした。
言葉は悪いが「切れ味の悪い刃」というのが適当だと思う。というのが回答でした。
今までずっと疑問に思っていたことが、とてもすっきりしました。