2014年3月3日月曜日

ザッセンハウスとプジョーを比較する(1)

タイトルに惹かれて見る方が多いようですが、内容が伴っていないので(1)~(3)を集約しました(2015/5/27)。

プジョー(Peugeot)のミルについて調べます。ネットにある意見をまとめると、以下に集約できました。
  • 現行品の最高級モデルは「ノスタルジー(Nostalgie)841-1」。ビンテージモデルの復刻版ということで、この名称がついた。
    ノスタルジー(Nostalgie)841-1
追記:先日YAHOOオークションで、オリジナルの「ノスタルジー(?)」の画像を見つけました。良く似ていますね。オリジナルはさらに線が細く、洗練されているという印象を持ちました。とても素敵です。説明文には1920年ごろの製造との記述がございました。(2014/4/1)
Yahoo! JAPAN ID:milk_antiques様


写真を見ると、前回意味がないと書いた横軸式(1855年頃の製品)が載っています。なぜ横軸式のモデルがなくなり、直接駆動方式だけになったのか、経緯を知りたいものです
  • 群を抜く、非常に軽快な挽き心地。
  • 挽いているときに豆が飛び散るため、蓋がついているモデルが良い。
  • 挽いた粉が受け皿からはみ出て、非常に汚れる。
ノスタルジーの他にもいくつかモデルがあります。
ブラジル(Brasil)

タンザニア(tanzania)
グアテマラ(Guatemala) 廃盤

コスタリカ(Costa Rica) 廃盤

などがありますが、どうやら、挽いているときに豆が飛び散るため、蓋のついたモデルが良いようです。結局、ノスタルジーを購入することにしました。

 プジョーのミルですが、実際に使ってみると、非常に軽快な挽き心地です。「群を抜く、非常に軽快な挽き心地」という言葉に偽りはありません。前回、横軸式のモデルがなくなった経緯を知りたいと書きましたが、その理由がわかったような気がします。横軸にしなくとも、十分に軽快なのです。ただ、「挽いた粉が受け皿からはみ出て、非常に汚れる」というのも本当です。
挽いた粉が受け皿からはみ出て、非常に汚れている

これは復刻版たるノスタルジーだからなのでしょうか。ここだけは、(もしも改善されているなら)最新モデルの良さを引き継いで欲しかったです。

追記:先日YAHOOオークションで、オリジナルの「ノスタルジー(?)」の画像を見つけました。受け皿の側面の板は薄く(ザッセンハウスとプジョーを比較する(4))、「挽いた粉が受け皿からはみ出て、非常に汚れる」状態は少なそうです。(2014/4/1)

Yahoo! JAPAN ID:milk_antiques様

しかし、いったい、なぜこんなに軽い挽き心地なのでしょう。ネットでは、
  • 「刃の形状が良い(二重螺旋臼刃)」
  • 「鋭い刃」
  • 「硬質な金属」
に理由があるように書かれています。果たしてそうなのでしょうか。というのもザッセンハウスのラパスも
  • 「鋭い刃、非常に切れ味が良い」
  • 「硬質特殊鋼製」(ステンレスと書く人もいます)
と似たようなことを書かれているからです。

 ケースの大きさ・ハンドルの動作半径・刃の大きさ・形状とも、それほど大きな違いがあるようには思えませんがどうなのでしょうか。ひとつひとつ見ていくことにします。

 最初に明記しますが、以下に書くことは、残念ながらすべて「印象」です。正確を期するよう調べるほど、「印象」でしか書けないことがわかりました。

 「形状が似ているから、近い値に思われる。したがって、大きな差があるとは思えない」というものです。せっかく読んでいただくのに、申し訳ないです。こうしてみると、書くことに意味があるのか、懐疑的になります。

 ケースの固定しやすさ(大きさ)

ザッセンハウスの改造モデルを検証したとき、挽き心地は本体の固定方法で、大きな差が出ると書きました。しかし、プジョーのミルは、強く固定しなくても、十分に挽けるのです。ケース本体の大きさ、固定しやすさが問題になる以前の段階だと思います。そしてプジョー とザッセンハウスの本体の大きさも、あまり変わりません。

ザッセンハウス138×138×H不明 (改造したので、既製品の高さが測れない) 

ザッセンハウスの大きさは、ネットでは公式データとして「195×150×H238mm」とありますが、箱の大きさなのでしょうか?

プジョー 133×133×H210 (公式データは130×130×210)





ハンドルの動作半径

ハンドルの動作半径が大きければ、てこの原理で少ない力で動かすことができます。しかし、実測でザッセンハウス(113mm)、プジョー(85mm)、と動作の軽いプジョーのほうが小さいのです。

刃の形状・鋭さ
左がザッセンハウス 右がプジョーの刃
   高さ(22mm程度)・径(30mm程度)・螺旋形状(五条)など、大きさ、形とも大変よく似ています。螺旋が上部、下部で異なっています。プジョーの刃の特徴とされる二重螺旋臼刃の意味がわかりました。そうなるとザッセンハウスも二重螺旋臼刃です。以下の写真で見てもわかる通り、細かい違いはありますが、やはり大きな差を生むとは思えない程度の差です。

ザッセンハウスの刃を上から見たところ

プジョーの刃を上から見たところ

ザッセンハウスの外刃を下から見たところ

プジョーの外刃を下から見たところ


刃の材質・硬度

 不明です。材質の調査は、端のほうを少し削ってというわけにはいかず、刃を完全に破壊するような試片がないとできません。磁石の付き具合から両方とも、鉄系の材料という「印象」です。ザッセンハウスの刃はステンレスといったことも書かれていますが、一般に(刃物向きの特殊なものを除いて)ステンレスは柔らかく刃に向かないこと、非磁性のオーステナイト系を使うので、ステンレスではなく、まず鉄系といっていいと思います。

 硬度についても、硬度を測定するには、完全に近い平面を作ることが必要です(測定機種によるのでしょうか?)。特にビッカースでは鏡面に近いほどの平面が要求されます。HRCではそこまで要求されることはありませんが、とても刃の形状のまま、測定できるようなものではありません。試しに計測して見ましたが「0.1」の値が出て(エラー同然)、測定できませんでした。

したがって、「鉄系の材質で、両者とも大きな違いがあるとは思えないような硬さ」という「印象」です。

 では、プジョーのミルとザッセンハウスのミルは、一体何が違うのでしょう。

 プジョーのミルとザッセンハウスのミルの挽いた時の使用感の違いは、挽いた粉の品質は別にすると、以下の6点になると思います。

    1. 挽き心地が軽いか否か
    2. ホッパーに豆が残るか否か
    3. ホッパーの縁に挽いた粉が飛び散るか(汚れが激しいか) 
    4. 粒の大きさの調節機構が使いやすいか否か
    5. 分解がしやすいか 
    6. 豆の入れやすさ 

       プジョーのミルがコーヒー豆を砕く様子を観察すると、回転側の刃の比較的上部と外側の刃の突起部分で豆を引っ掛け、砕き、噛み込めない豆は上に弾いているのがわかります。そのため、蓋のないモデルでは弾かれた豆、破片が多く飛び散ります。そして、ホッパーと外刃に段差があり、一度に豆や破片が落ちにくくなっています。


        それに対して、ザッセンハウスのミルは、プジョーと同じように回転側の刃の上部と、外側の刃の突起部分で豆を引っ掛けていますが、ホッパーの口が狭く急勾配なので、噛み込めない豆が上に弾かれにくくなっています。しかも外刃と面一(ツライチ)なので、豆が落ちやすくなっており、一度に嚙み込む量が多くなる傾向にあります。
      ザッセンハウス ホッパーと外刃の直前部分が急勾配かつ、面一になっている

      プジョー ホッパーの下半分の勾配が緩く、外刃の間に段差がある

       豆が残りにくく、汚れにくいということは、豆も破片も一緒に嚙み込むことでもあります。それは、一度に多くの豆や小さな破片が、刃に密着する事ともいえます。大きな豆は刃の先端で砕かれるので、あまり問題になりませんが、螺旋の中に入り込んだ小さな破片は、砕かれることなく、隙間に入りこんでいきます。砕かれるとしたら、外刃の突起部分と圧着するときです。螺旋の中の面と、必ずしも鋭いとは言い切れない外刃の突起とで、入り込んだ多数の固いコーヒー豆を砕かなければならないのです。この時、ザッセンハウスの鋭い刃は何も機能していません。少しならともかく、多くの破片が一度に圧着したら、どうなるのか。砕くには、非常に大きな力を必要とするでしょう。それが、時々ある、重い動作の原因なのです。刃を逆回転させ、隙間を作り、一度に挽く量を少なくしてやると、また動きやすくなることからも、原因は明らかです。
        
       ザッセンハウスのミルは、豆や破片を一度にたくさん噛み込み、刃の先端以外で砕くことがあること。それが挽いてるとき時々重くなり、軽く挽けない理由です。対してプジョーのミルは豆を弾いたり、段差に残すことで嚙み込む量を少なくし、一度にかかる力を少なくしています。だから軽く挽けるのです。
       ザッセンハウスのミルが、豆をあまり弾かず、きれいに引き込むが、時々挽くのに力がいることと、プジョーのミルが、豆を弾き汚れるが、軽い挽き心地なのは、多いに相関関係があったのでした。

       では、ミル本体を固定すること、ホッパーの勾配を緩く、段差を作るなどして、引き込む豆の量を少なくすること以外、他に挽き心地を軽くする要素はないのか。軽い挽き心地を実現しながら、汚れが少ないミルはないのか。次は、過去に存在した評判の良い、KONO式(コーノ式)のミルはどうなのか、検証してみることにします。

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