2014年4月13日日曜日

KONO式(コーノ式)ミル F205(共通刃 F201・F205)を研究する(2)

 プジョーのミルとザッセンハウスのミルの挽いた時の使用感の違いは、挽いた粉の品質は別にすると、以下の6点になると思うと書きました。KONO式(コーノ式)ミル F205ではどうなのか、同じ項目について個別に見ていきます。
  1. 挽き心地が軽いか否か
  2. ホッパーに豆が残るか否か
  3. ホッパーの縁に挽いた粉が飛び散るか(汚れが激しいか) 
  4. 粒の大きさの調節機構が使いやすいか否か
  5. 分解がしやすいか 
  6. 豆の入れやすさ
  • 挽き心地が軽いか否か
  ザッセンハウスの様に、ときどき重くなるようなこともありませんし、プジョー程ではありませんが、十分に軽快な挽き心地です。両者にない特徴としては、F205は軸にベアリング機構を持っています。ただ、これが軽い挽き心地に、どの程度寄与しているかはわかりません。なお、軸は上側だけの片軸保持です。
F205 上部ベアリング
  • ホッパーに豆が残るか否か
  ほとんど平面に近い勾配ですが、板部分に豆が残ることはほとんどありません。これには驚かされました。ホッパーと外刃に段差がありますが、ここには豆が残ります。 本体を振るなどして、刃の中に落とすことが必要です。残念ながら、挽いている時の振動だけで落ちるようなことはないです。
ほとんど平面に近いホッパー 外刃との間に段差がある

 段差があり、ホッパーの形状が浅いと、プジョーのミルと同じく、破片が飛び散る量が多そうですが、それほどでもありません。もちろん飛び出ますが、絶対量が少ないです。

 なぜでしょう。理由を考察してみます。

 破片が飛び散りにくいのは、蓋の形状も関係すると思いますが、大きな理由は外刃と内刃の高低差、内刃の上部の小ささにあるように思えます。F205外刃を上から見ると、入口がすぼまっており、引き込んだ豆が、上から飛び出しにくくなっています。また、内刃が外刃に対してかなり下にあること、内刃の上部が小さいので、上の部分で砕くこと自体が少なくなっています。

F205の刃 上がすぼまっている
F205:外刃の入口より、内刃が下にある。また内刃の上部の径が小さい
プジョー:外刃の入口より、内刃が上にある
 

 プジョーのミルは、内刃の上の部分で砕き、砕けなかった豆は、上に弾いていましたが、F205では内刃が下にあること、内刃の上部の径を小さくし上部で砕く量を少なくすることで、上に弾く量を少なくしています。
     ・ 外刃上部の入り口をすぼめること
     ・ 内刃の上部を小さくすること
     ・ 内刃を外刃に対して下に配置すること

この3点で、F205は浅いホッパーにもかかわらず、破片の飛び散る量を減らしているのでした。

  • ホッパーの縁に挽いた粉が飛び散るか(汚れが激しいか) 
  ホッパーの縁に挽いた粉が飛び散るようなことはありません。また形状も、F205の受け皿のほうが、側面の板が薄く、内側の幅が大きく取れています。ただ、材質は悪く、表面がザラザラなため、挽いた粉が付着します。掃除もしにくいです。
左側がF205 右側がプジョー 全体の大きさはそれほど変わりありません

ザッセンハウスと同じく、プジョーの側板の厚さ分だけ差があります

  • 粒の大きさの調節機構が使いやすいか否か
  調節機構は、側面を落とした形状になっています。これにより、ハンドルを楽に取り外すことができます。この機構は大変優れモノです。ネジを緩めることなく、粗さの調節ができます。ザッセンハウス、プジョーのように、使っていくうちにネジが締まって行くことがなく、大変使いやすいです。

側面を落としているため、ハンドルが楽に取り外しできます
ハンドルとバネを外したところ

  • 分解がしやすいか 
  上記の通り、ハンドルはネジ留めではないので、大変楽に組み立てができます。ここはぜひ、他社も見習ってほしいです。
 一番上の袋ナットは、残念ながらザッセンハウス、プジョー同様、ネジの締まる回転方向と、ハンドルを回転させる方向が一緒なので、どんどん食い込んでいきます。今回の撮影に当たり、分解したのですが、袋ナッ トは養生したにも関わらず、かじってしまいました。 材質は柔らかく、お世辞にも良い材質を使っているとは言い難いです。

F205 袋ナットかじり・・・。

  • 豆の入れやすさ 
  ザッセンハウス、プジョーほどではありませんが、豆を入れる開口部は比較的広いほうです。ただ、分解掃除ができないので、個人的にはこの構造は好きではありません。


  • 結論・評価
さて、この機種はKONO式(コーノ式)ミルとして高い評価をすべきかですが、私としては、大変バランスが取れた機種だと思います。使いやすく、無理がありません。周囲もほとんど汚れません。外刃とホッパーの接合部などに残る豆の破片だけは結構なものですが、定期的に分解掃除をすることは、どの機種でも必要です。その際も、蓋以外は分解できない個所もなく、分解組み立ても苦になりません。オークションの落札価格も割安です。ザッセンハウス、プジョーのミルと十分比較対象になります。コンディションにもよりますが、よほど悪いものでなければ、同じだけの金額をかけても、落札する価値は十分にあると思います。

 F205は、十分にKONO式(コーノ式)ミルの評価を高めていると言って良いと思います。

0 件のコメント:

コメントを投稿