KONO式(コーノ式)ミルのF101です。
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KONO F101:管理人 |
Web上でもなかなかお目にかからない、大変珍しいモデルです。ナミキデザイン様のカタログにある標準モデルでありながら、
Thumb Under (サムアンダー)さま、
昌’sCoffee( Masa's Coffee )さま画像が唯一と言ってよいほどで(2014/1月~5月頃)で、それも管理人所有のモデルと刃が違うなど、謎が多いモデルです。内刃はF303と形状が似ていますが、どうも小さいようですし、外刃の形状がF303のように「筋だけ」というわけでもありません。分解して比較したいものです。
追記:先日YAHOOオークションで、F101の画像を見つけま
した。
Thumb Under (サムアンダー)さま、
昌’sCoffee( Masa's Coffee )さまの刃と同じようです。管理人の個体が特殊なのでしょうか(2014/6/7)
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F-101の刃:昌’sCoffee(Masa'sCoffee)さま |
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YAHOO JAPAN ID:i_am_ancients様 |
(以下の記述は、管理人の所有する個体についてです)
実際に使ってみると、これまた非常に使いやすいモデルです。通常はF205より若干重い程度でしょうか。ときどき重くなるようなことがありますが、ザッセンハウスのように、逆回転しなければらならないほどではありません。
このミルの挽き心地は何が要因となっているのでしょう。今まで比較して分かったことは、
- ミル本体を固定すること
- ホッパーの勾配を緩く、段差を作るなどして、引き込む豆の量を少なくすること
- 螺旋を不均等にして、同時にかかる力を少なくすること
- 外刃の鋭さをなくして、豆を滑らせること
が軽い挽き心地を決定する要因だということでした。
しかし、このミルの刃を見た時は衝撃的でした。その度合いは、F205のさらに上を行きます。なにしろ、互換性のある均質な品質を維持することが近代の工業製品という概念を、完全に無視したとしか思えない形状だったからです。逆に、この形状を再現するほうが難しいのではないでしょうか。
ザッセンハウス・プジョー
- 刃の形状が良い(二重螺旋臼刃)
- 鋭い刃
- 硬質な金属
F205(F201)
- 均等な螺旋形状ではなく、不揃いな「斜面」(二重螺旋臼刃ではあります)
- ほとんどエッジが立っていないと言い切れる、なだらかな刃
- ネットでは、切れ味が悪いとされる鋳物製
F303 (共通刃:F301・F303・F305・F307・F702・F703)
- 打ち抜いた板を重ねた形状(二重螺旋臼刃)
- ほとんどエッジが立っていないと言い切れる刃
- 硬質な金属
F101
- 均等な螺旋形状ではなく、不揃いな「斜面」
- 刃の上部は砕くのみ、下部を螺旋構造にして、豆を引き込む「三重」螺旋臼刃
- 鋭い刃
- 均質な品質こそが近代の工業製品という概念を無視したとしか思えない加工精度
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KONO F101の刃 |
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KONO F101の刃 別角度 |
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KONO F101の刃 別角度 |
加工精度について散々書いてきましたが、形状は実に良く考えられています。刃の上部は砕くのみ、下部で初めて螺旋構造にして、豆を引き込むようにしています。最初から噛みこまないことで、軽さと、挽く速度を両立させているのです。
粗さを最終的に調整する部分も、ザッセンハウスとの比較画像でもわかる通り、ここまで少なくて済むのかと思うくらいの長さです。
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左がザッセンハウス 右がF101 |
考え抜かれた形状と、「いいかげん」な加工。優れた機能を持たせながら、必要のないところは大胆にコストを削減する。このメリハリは、考えに考え抜き、実際に検証しなければ、できる形状ではありません。よほどの自信がなければ、この刃を世に問えるものではないでしょう。KONO式(コーノ式)ミルの設計者の熱意には、本当に頭が下がります。
以下、いつも通り、他の項目について、大きさなどを、ひとつひとつ見ていくことにします。
ケースの固定しやすさ(大きさ)
本体の大きさは、F303を除いてあまり変わりません。F101は、一回り小さいですが、樹脂の加工容易性にあると思います。これは、後述しますが、受け皿の形状を見て思いました。樹脂のほうが薄くできるのです。
ザッセンハウス 138×138×H不明 (改造したので、既製品の高さが測れない)
プジョー 133×133×H210 (公式データは130×130×210)
コーノF205 127×127×H183
コーノF303 162×160×H260
コーノF101 109×110×H205
ハンドルの動作半径
動作半径も、F303を除いて、それほど変わらないです。こうしてみると、改めてF303が大きいことがわかります。
ザッセンハウス 113mm
プジョー 85mm
コーノF205 108mm
コーノF303 120mm
コーノF101 110mm
刃の形状・鋭さ
高さは、22mmありますが、機能していると思われる部分は(下の台を含まないと)15mm程度です。底でのシャフトの固定は雑で、立てると斜めになります。
ザッセンハウス 高さ(22mm程度)・径(30mm程度)・螺旋形状(五条)
プジョー 高さ(22mm程度)・径(30mm程度)・螺旋形状(五条)
コーノF205 高さ(20mm)・径(40mm)・螺旋形状(11条不均等)
コーノF303 高さ(18.5mm)・径(45mm)・螺旋形状(五条)
コーノF101 高さ(22mm程度)・径(33mm程度)・螺旋形状(五条不均等)
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F101 底の固定部分 左下側、溶接した金属がはみ出て、盛り上がっている |
刃の材質・硬度
不明です。
ザッセンハウスとプジョーを比較する(2)でも書きましたが、磁石の付き具合から、「鉄系の材質という「印象」です。硬さについては、どの程度なのかは、よくわかりません。
ザッセンハウス 鉄系・硬度不明
プジョー 鉄系・硬度不明
コーノF205 鉄系(鋳物)・硬度不明
コーノF101 鉄系・硬度不明
ホッパーの形状
比較的プジョーの形状に近いです。段差があり、一度に引き込む豆の量は少ないです。
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F101 ホッパーは均質な勾配、外刃の間に段差がある |
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プジョー ホッパーの下半分の勾配が緩く、外刃の間に段差がある |
今回は、刃の上部は砕くのみ、下部で初めて螺旋構造にして豆を引き込むようにし、最初から噛みこまないことで、軽さと、挽く速度を両立させることがわかりました。しかし、細部の形状については、多少の個体差があっても気にする必要がないと結論付けてもおかしくないような、衝撃的な結果が出ました。このミルには、まだ驚かされることがあります。
次回は、
KONO式(コーノ式)ミル F303 (共通刃:F301・F303・F305・F307・F702・F703) を研究する(2)と同じく外刃の形状について考えます。