前回取り上げた、KONO式(コーノ式)ミルF201があまりに合理的で使いやすかったので、すっかりこのディアボロ(≒中国独楽)形状の虜になってしまいました。他に何か存在しないか調べたところ、HARIOで作られているのを見つけました。
今まで廃番のKONO式(コーノ式)ミルばかり取り上げてきたので、今回は気軽に手に入るHARIOの現行モデル「
セラミックコーヒーミル・スケルトン・MSCS-2TB」を取り上げることにします。
気軽に手に入るモデルを取り上げるといいながら、いきなりですが、これには旧型が存在していることがわかりました。
このモデルは、構造的に実によく考えられています。良心的なコストダウンをしつつ、明らかな品質向上も実現しており、新型は高レベルで進化したと断言してよいでしょう。今までは、F201を除けば、どのミルも、ある意味「工作レベル」といっても許されると思いますが、これは工業製品として高度に完成されています。新旧でどこが変わったのかもあわせ、その違いを見ていきたいと思います。
今回は、形状の違いを写真で見ます。次回以降、形状と使い勝手の関係を明らかにしていく予定です。
ほとんど同じ形状です。新型は保存用のフタの取っ手がありませんが、実際に使うときはガラス本体を持つほうが使いやすいので、取っ手の有無は使いやすさには関係ないです。それよりも、取っ手がないことで、パッケージの箱を小さくすることができ、輸送費を削減することができます。こうした地味な取り組みが大事なんですよね。
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MSCS-2TB 左の黒が新型 右の水色が旧型 保存用の蓋を除けば、ほぼ旧型形状を踏襲 |
本体は、型を縦半分で作成しています(PPは接着が困難なので、一体加工だと思われます)。新型は若干薄くすることで材料の使用量を減らしていますが、握った感触が頼りないことなど、まったくありません。シャフトが通る穴もきれいに成型されており、加工精度の高さがわかります。新旧ともに内側は
ラップ加工(鏡面仕上げ)されており、
継ぎ目もなく、豆が引っ掛かりることもありません。大事なところはコストをかけています。(2015/6/27修正)
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同一形状のように見えるが、豆の通る穴を拡大している。また若干薄くなっている |
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新型の豆の飛び散り防止フタをつけると、厚みが違うのがわかる。ガラスの受け皿は完全互換。 |
若干長くなっており、軽い挽き心地を実現しようとした意図が見えます。握り玉は同じ形状に見えますが、中心の固定部分が若干低くなっており、洗った後の水の残り方が少なくなっています。地味な改良ですが、使い勝手は確実に良くなっています。実際に洗って乾かした時、実感しました。こういう細かい配慮は、日本製ならではですね。
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新型になりハンドルが長くなった。握り玉の固定部分も、若干ピンの長さが短くなっている |
形状はほとんど同じですが、全部品にステンレスを採用、水洗い後のフリーメンテナンスを実現しています。また、加工精度も向上し、面取りがされ感触が向上しています。
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右が新型 全部品にステンレスを採用 基本的に形状は踏襲しているが、面取りがされ感触が向上 |
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右が旧型 鉄製のためサビが発生 |
外刃と本体のネジ止め箇所は、あらかじめネジ穴は切らず、木ネジで締めることでタップを立てています。設計・生産工程ともに大変合理的です。
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ネジ止め部分の形状を見直し、ネジの短さ、規格に貢献 |
新旧モデルで最も異なる個所です。形状、大きさとも明らかに異なります。
旧型の刃は、今まで見たミルの中で最も小さいです。新型の刃はセラミックですが、原型は切削加工で作られています。かみ合わせ部を含め、今まで見た刃の中で最も精度が良いです。セラミックの形状の再現性、均一性は素晴らしいの一言に尽きます。
新旧ともに、シャフトのネジ部分は転造方式で作成されています。切りくずが出ず、強度もアップし、大量生産ならコスト的にも有利な製造方式です。7mmのシャフトを元に、ネジ部分を8mmで作成、これで穴径とも合うようになっており、何もかもが細かく考えられています。
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左が新型 明らかに大型化され、形状も見直されている。 |
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刃を上から見たところ。新型はザッセンハウス・プジョーに酷似。旧型は四条。 |
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左が新型 内刃以上に大きさが異なることが分かる。旧型は「ホッパー」と一体化されており分解できない |
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右が旧型 粉を細かくする部分がない・・・。これでも機能することに驚愕。 |
次回は、形状と使い勝手の関係を明らかにしていきたいと思います。
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