2015年5月31日日曜日

F303の刃とF201のボディを組み合わせる(3)

 改造したF201ですが、上部にもZZ型のベアリングを奢りました。NSKのF698ZZ、もちろん国産です。

NSK F698ZZを追加しました

 ハンドルの感触はさらにスムースになり、軽く押すだけでハンドルが何回転もします。廻した時の滑らかさたるや、なんとも言葉にしがたく、もう何度も廻してしまいます。空廻しがスムースなのはもちろんですが、豆を挽いても実に滑らかなのです。F698ZZをつけて以来、この感触を味わいたいがために豆を挽いて、コーヒーを飲んでいます。

 手前味噌になりますが、当ブログの考える良い手動式ミルの第七条件「満足感の高いこと」を、これほど満たすものはないです。

外観。ほとんど変化はないのですが・・・。

 ミルを作る際には、この感触を皆さまにも味わっていただけるものを作りたいと思います。

2015年5月16日土曜日

HARIO セラミックスリム・MSS-1を研究する(2)

 前回は、形状の違いを写真で見てきました。今回は、形状と使い勝手の関係を明らかにしていきたいと思います。比較のため、他機種と同じ項目で追っていきます。使いやすいコーヒーミルの形状とはどんなものか(1)では、
  • 絶対値として、動作が軽いこと
  • 底面が固定されること
  • 押さえる手に無理な力がかからないこと
  • 本体を押さえながら、ハンドルを廻した時に、押さえた手と干渉しないこと
を満たす形状として
  • 廻した時に左手に当たらない高さに、ハンドルが配置されている
  • 左手で押さえる際、親指と人差し指を開いて握るような形状は押さえやすい
  • 角のない受け皿
  • 分解しやすく、場合によっては洗える本体
を考案しました。セラミックスリム・MSS-1は上記の条件を満たしているのか、検証することにします。
  • 廻した時に左手に当たらない高さに、ハンドルが配置されている
  セラミックスリム・MSS-1は、ちゃんと適切な高さにハンドルがあります。いろいろな姿勢で挽いてみましたが、どんな時でも干渉することはありません。というか、ディアボロ型のミルではこの項目は必要ないかもしれません。
  • 左手で押さえる際、親指と人差し指を開いて握るような形状は押さえやすい
  ホッパーの上部は若干膨らんでおり(逆富士山型)、豆が多く入るようになっていますが、上部を同じ太さの円筒にした方が良かったと思います。それは、膨らんだところを「握ることができる」ためです。力の弱い人に挽いてもらったところ、ハンドルと近いところに左手を移動させました。実際に試してみると、ハンドルと、本体を持つ手の距離が近いほうが挽きやすいことがわかります。ホッパー上部が握れないほど太ければ問題にならないのですが、実際に「握れる太さ」ため、握る部分の太さが問題となったわけです。形状設計の変数の多さ、難しさを感じさせます。
  • 角のない受け皿
  「角のない受け皿」の条件を満たすのはもちろん、プラスチック素材ですので気軽に洗うこともできます。粉もほとんど残らず、大変使い心地が良いです。
 内部は口の大きさが小さいので、若干洗いにくいかもしれません。また、構造的に「外壁」と「粉の受け部分」の間に水が残ります。ふき取るのも簡単というわけにはいきません。デザインのバランス上、あまり低いのも格好悪いので、ある程度高さを確保するため、末広がりにしたためだと思います。プラスチック素材はあまり肉厚にすると凹みますから、ソリッドで成形することもできません。細い形状は好感が持てるのですが、ホッパー上部の逆富士山型といい、細部には再考の余地があります。
「外壁」と「粉の受け部分」の間
挽いた粉には影響ありませんが、水滴はふき取りにくいです
  • 分解しやすく、場合によっては洗える本体
  私の知る限り、工具を使わずに分解できる唯一のミルです。純粋に手だけで、無理な力をかけずにすべて分解ができます。組み立ても、粒度を考慮せず、ただ組み上げるだけなら1分もかかりません。また、セラミックコーヒーミル・スケルトン・MSCS-2TB同様、すべての金属部品にステンレスを使用しており、水洗いができます。技術の進歩とはこういうものかと思います。今までに見てきたどのミルよりも、格段に優れた機構設計です。

  • 刃の形状・鋭さ・材質・硬度
  セラミックコーヒーミル・スケルトン・MSCS-2TB同様、セラミックで作られており、内刃はザッセンハウス・プジョーに近い形状になっています。今回、比較撮影のためにMSCS-2TBを分解したところ、セラミックの刃が少し摩耗しているのに気が付きました。最初は手で触ると、とがった部分で手が切れそうだったのですが、「あたり」が柔らかくなっています。使用頻度は、毎月500gで、これを9か月程度。これをどう評価してよいのかわかりませんが、金属であれ、セラミックであれ、摩耗については、今後、考えていきたいと思います。


 今まで全てミルについて、使用感の違いを以下の6点になると思うと書いてきました。HARIOのセラミックコーヒーミル・スケルトン・MSCS-2TBではどうなのか、同じ項目について個別に見ていきます。
  1. 挽き心地が軽いか否か
  2. ホッパーに豆が残るか否か
  3. ホッパーの縁に挽いた粉が飛び散るか(汚れが激しいか)
  4. 粒の大きさの調節機構が使いやすいか否か
  5. 分解がしやすいか
  6. 豆の入れやすさ
  • 挽き心地が軽いか否か 
決して軽くはないです。ハンドルと近いところに左手を移動したくなります。また、(実際には抜けないのでしょうが)ハンドルが抜けそうで怖いので、ハンドルを下に押し付けながら挽きたくなります。セラミックコーヒーミル・スケルトン・MSCS-2TBのほうが、ブレが少なく安定するので、特別に手の小さい方でない限り、疲れは少ないと思います。
  • ホッパーに豆が残るか否か
  内部は構造的に外刃を固定するための平面段差があり、ここに豆がたまります。しかし、ディアボロ型のミルは本体を斜めにしたりして、すぐに豆を動かすことができるため、それほど問題になりません。また、今までの考察から、段差によって一度に噛みこむ量を減らす効果もあり、一概に段差があることは否定できません。しかし、せっかく内側の表面を平滑にして、滑りを良くしているのですから、砕いた際に飛び散ったカケラすら残らないようにしたいと考えれば、段差はないほうが良いようにも思えます。
    • ホッパーの縁に挽いた粉が飛び散るか(汚れが激しいか) 
      HARIO セラミックコーヒーミル・スケルトン・MSCS-2TBを研究する(2)でも書きましたが、ディアボロ形状のミルでは、本体上部に残った粉をしっかり落とさないと、受け皿を外したとたん、周囲に残った粉がこぼれ落ちます。しかし、セラミックコーヒーミル・スケルトン・MSCS-2TB同様、セラミックの刃は静電気を帯びにくいので、ほとんど粉がこぼれません。セラミックスリム・MSS-1はスカート部がないのもかかわらず、粉が外にこぼれ落ちることもなく、ネジ山に粉が入り込んで取れなくなることもありません。電動ミルしか使ったことのない人は、にわかには信じられないのではないでしょうか。細い本体を実現するのにも、セラミック製の刃は大きく貢献しています。

    挽いた直後にも関わらず、微粉の付着はほとんどありません
    • 粒の大きさの調節機構が使いやすいか否か
     調節機構は、内刃の下で行う方式です。今まではすべてシャフトの上で調節してきたので、ここは大きく異なります。ハンドルを装着して、「ミツバ型の部品」を廻すだけです。簡単に思ったところに移動させることができます。機構的に無理がなく、大変よく考えられています。
    • 分解がしやすいか 
     前述しましたが、工具を使わずに分解・組み立てができます。何度も書きますが、大変優れた設計思想です。特筆すべきはハンドルの固定方法です。今まで見てきたミルは、特にハンドルと、一番上の袋ナットは、ネジの締まる回転方向と、ハンドルを回転させる方向が一緒なので、どんどん食い込んでいきましたが、それが原理的に発生しません。
     しかし、ちゃんと固定されていないので廻す際にブレが発生し、ハンドルを下に押し付けながら挽きたくなるのもまた事実です。
     この問題をどう解決するのかが大きな課題です。

     セラミックコーヒーミル・スケルトン・MSCS-2TB同様、シャフトのネジ部分は転造方式で作成されています。切りくずが出ず、強度もアップし、大量生産ならコスト的にも有利な製造方式です。6mmのシャフトを元に、ネジ部分をあらかじめ細く5mmで作成しておく、ハンドルの取り付け部分も、一体鍛造加工など、このシャフトはかなりコストがかかっています。ハンドル部分との接触跡を見ると、焼き入れはなされていないようですが、焼き入れは、この製品の価格では、大変多くのコストを占めることになるので、これ以上のコストアップは避けたかったのでしょう。
      
      赤丸部分が、あらかじめ細くしてから転造加工したネジ部分
      青丸部分が、ハンドルを取り付けるための六角加工
    • 豆の入れやすさ
     投入口は細い本体にもかかわらず、ハンドルを取り外しできることもあり、とても使いやすいです。絶対的に容量が小さいので、豆の飛び散り防止フタは必須です。フタの開け閉めは、ハンドルの取り外し、装着が非常に楽なので、まったく苦になりません。
    • 結論・評価
     最後に評価です。セラミックコーヒーミル・スケルトン・MSCS-2TBと並ぶ、ディアボロ形状の最新機種として、どう評価をすべきかですが、MSCS-2TBと並ぶ、高い評価を下したいと思います。

     どちらを選ぶかは、握って廻した時(ほぼ無理ですが、できれば豆が入った状態)の好みで選ぶので良いのではないでしょうか。確実にハンドルを固定し、挽き心地が安定するMSCS-2TBを選ぶか、よりコンパクトで握りやすく置き場所を選ばないMSS-1を選ぶか。MCSC-2TBの太さが問題にならなければ、そのほうが使いやすいと思います。

     細かく見れば、欠点がないわけではありません。より握りやすく、優れたデザインのミルの形状はどのようなものか。水洗いの後、確実にふき取りやすい形状にできないか。そして、このミルの一番の問題点である「ハンドルを確実に固定し、かつ取り外しが容易で、しかも安いコストでそれを実現する構造」はどんなものか。どれも、簡単には答えが見つからないであろう問題が残ります。

    2015年5月3日日曜日

    HARIO セラミックスリム・MSS-1を研究する(1)

     今回は気軽に手に入るHARIOの現行モデル「HARIOセラミックスリム・MSS-1」を取り上げることにします。KONO式(コーノ式)ミルF201、HARIOの「セラミックコーヒーミル・スケルトン・MSCS-2TB」は非常に合理的で使いやすかったので、またディアボロ(≒中国独楽)形状のミルを研究してみます。

      ディアボロ型の例にもれず、このモデルも、構造的に実によく考えられています。部品点数は「セラミックコーヒーミル・スケルトン・MSCS-2TB」よりもさらに少なく 12点(分解可能な部品)しかありません。

     今回は、セラミックスケルトン・MSCS-2TBと セラミックスリム・MSS-1形状の違いを写真で見ます。次回以降、形状と使い勝手の関係を明らかにしていく予定です。
    • ホッパーの形状
    非常に細い形状です。実際問題として、手回し式のミルでは一度に大量の豆を挽くわけではないので、持ちやすさを優先した現実的な形状は、とても好感が持てます。両機種とも一度挽いただけで、周囲が汚れたり、掃除をするの必要があるわけではないので、高頻度で挽くことも苦になりません。毎回、挽きたての粉を得るのが苦にならないことは、結果的においしいコーヒーを飲むことにつながることがわかります。


      • ハンドル長
      100mmです。「セラミックコーヒーミル・スケルトン・MSCS-2TB」(112mm)より若干短いです。握り玉はほぼ同じ形状です。
      左がセラミックスケルトンMSCS-2TB、右がセラミックスリムMSS-1

      • 刃の形状

      内刃は、「セラミックコーヒーミル・スケルトン・MSCS-2TB」にほぼ、相似の刃がついています。内刃はほんの少し、外刃ははっきりわかるほど背が低いです。

      左がMSS-1 シャフトを取り外しできます

      左がMSS-1 高さが低いです。細かくする部分の長さは変わりません。砕く部分の長さが短くなっています

      細かくする部分の形状は、それほど変わりません

      砕く部分の長さ、刃の数が異なります

      次回は、形状と使い勝手の関係を明らかにしていきたいと思います。

      2015年4月19日日曜日

      カリタ ダイヤカットミルを研究する(2)

       今まで、全て使用感の違いを以下の6点になると思うと書いてきました。ダイヤカットミルではどうなのか、同じ項目について個別に見ていきます。
      1. 挽き心地が軽いか否か
      2. ホッパーに豆が残るか否か
      3. ホッパーの縁に挽いた粉が飛び散るか(汚れが激しいか) 
      4. 粒の大きさの調節機構が使いやすいか否か
      5. 分解がしやすいか 
      6. 豆の入れやすさ
      • 挽き心地が軽いか否か
        カリタダイヤカットミルを研究する(1)でも書きましたが、まったく違うレベルで挽きやすいモデルです。ただし、挽く時間はF303よりもさらにかかります。
       重さに関係なく、長時間ハンドルを廻し続けるほど、横廻しの良さがよくわかります。長時間、高頻度で廻す場合、腕の動きが自然な方が疲れないのは明白です。それは過去の業務用のミルがそうであったことからも明らかです。横廻しであることは明らかに「楽な挽き心地」に関係があります。
      • ホッパーに豆が残るか否か
        非常に急こう配です。カリタダイヤカットミルを研究する(1)で、豆が残ることは、まったくないと書きましたが、それは「挽き切れば」の話で、なかなか噛みこまれず残る豆が必ずあります。そうした点ではホッパーではなく、刃の中に豆が残ることは多々あります。

       横型のミルでは原理的にすべての粉を排出できないので、刃の部分にかなりの量の粉が残り続けます。
      • ホッパーの縁に挽いた粉が飛び散るか(汚れが激しいか) 
        それほどでもありません。側板が薄いこと、粉が円周状に排出されないので、飛び散ることが少なくなっています。ただ、挽き残した粉が本体にかなりの量で残っているので、それがいつまでも落ち続け、粉が本体の奥に散らばり続けます。
      • 粒の大きさの調節機構が使いやすいか否か

        調節機構は、非常に使いやすいです。ネジ式で簡単に調節できます。ただ、細かく挽くことはできません。
      • 分解がしやすいか 
      ダイヤカットミルは組み立てに方向があるので、項目を分けます。

      本体の分解方法

      ハンドルのネジを取ります

      本体右側のネジを取ります
      反対側の粗さ調節ネジを外します
      回転刃・固定刃などの部品を抜き取り、反対側の「フタ」も外します。分解できるのはここまでです。

       分解すると、本体内部にあまりに大量の粉が残ってることに驚かれると思います。部品はすべて水洗いできますが、錆を防止するため、すぐに水をふき取ります。タワシや歯ブラシなどを使うのが良いと思います。油などを差す必要はありません。



      本体の組み立て方法

      (写真の組み立て案内は、右利きの人がハンドルを手前から奥に廻す際の組み立て順序です)
      部品一覧 組み上がった時の順番に並べてあります

       1.受け皿の取っ手を手前にして、左側の蓋を固定します。
      最初に左側の蓋をネジ止めしておきます。この方が組立方法がはっきりします。
      2.回転刃をシャフトにはめます。

        回転刃はどちらでも構いません。本来ならば、回転刃の突起部分の垂直面が回転方向に対して来るほうが良いのですが(みるっこの刃は、そのような組み方になっています)、反対側の刃も同じ形状なので、どちらかが必ず逆になってしまいます。ですので、組み合わせはないです。
      赤丸の組み合わせが良いが、反対側は必ず青丸になるので、どちらを組み合わせても同じ

       3.固定刃「2」をはめます

      鋭く切られていない側が右にある方の刃を先に組み込みます
      4.固定刃「1」、反対側の回転刃をはめ、バネを入れます


       5.反対側の「固定部品?」をはめます

      最初の回転刃が奥まで入っていないと、上手く組み上がりません
      6.本体に組み込む。右利きの人が、手前から奥にハンドルを回す場合、この方向で入れます。


      赤丸の鋭くない側が奥。
      青丸の部品は外した状態で組み込む(バラバラになるので、写真撮影のためにつけただけ)

      赤丸の側に鋭くない部分が入るように入れます
      7.右側の蓋を締め、ハンドルをつけて完成です。
      ねじを留めます。ハンドルをつけて組み立て完了。

      組み上がり完成状態(市販品の写真です)

      • 豆の入れやすさ 
        それほど大きくないように見えますが、真ん中にシャフトがなく、径をフルに使えるため、大変入れやすいです。
      • 結論・評価
        さて、ダイヤカットミルの評価ですが、F303同様、評価に困る機種です。大変使いやすい機種であることは間違いありません。挽いていて嫌になることがなく、もう一杯飲みたくなっても、まったく苦になりません。一番、「使わなくなった」と言われないのはこれです。ご夫婦ともにコーヒー好きで、ご家庭のスペースに余裕があれば、これ以上のものはありません。年配のご家庭でも楽に挽けます。ただ、周囲が汚れるのと、考えられないほど挽き残しの粉が溜まるのもまた事実で、こまめな掃除は必須です。

       横廻しのミルは、明らかに楽に弾けます。当ブログの考える良いミルの第三の条件「挽き心地が軽いこと」を、これほど満たすミルは他にありません。しかし、ダイヤカットミルは考えられないほど、本体に粉が残ります。これは、第一条件「古い豆、粉がミルの中に残らないこと」に明らかに反します。結果、第四の条件「周囲を汚さないこと」も満たしません。しかし、それを凌駕する第七の条件、「満足感の高い」ことも、また事実なのです(2015/4/25 第六から第七に変更)。

       これらの問題をどう解決するのか、横廻しの軽さと、粉が残らないことをどう両立させるのか、そのうえで、持つ喜びを満たすミル形状はどのようなものか。試行錯誤が続きます。

      2015年4月11日土曜日

      カリタ ダイヤカットミルを研究する(1)

      今回はカリタ ダイヤカットミルを研究します。電動ミルやHARIO セラミックコーヒーミル・スケルトン・MCSC-2TBを買う前から使っていたのですが、書きそびれてしまいました。しかし、刃の試作や他のミルを買ってからわかったことも多く、半分以上書きなおすほど、情報量が増えました。
      カリタ ダイヤカットミル
      大変ポピュラーなモデルです。コーヒーミルと言えばこれをイメージする人が多いのではないでしょうか。京都ではイノダコーヒスマート珈琲太秦店など、お店のシンボル的な存在になっていますね。電動ミルができる前、業務用に使われていたミルはこのような形状だったようです。
      ELGIN(アメリカ製)のMILL 華やかですね

       このブログを始めた時、ザッセンハウスを改造する際に、横廻しなので調査の候補から外れたと書きました。そして、ザッセンハウス、プジョー、KONO(コーノ式)のモデルをいろいろ研究した結果、軽い挽き心地を決めるのは横廻し方式ではなく、適度に豆を弾くこと、小さな破片が螺旋の中など、内外の刃が届かない場所に入り込まないこと、面で砕くのではなく、点・線で砕くことにあると書きました。HARIOのMSCS-2TBの新旧モデルを検証した結果は、それを裏付けるものでしたが、同時に重い挽き心地の時は、形状によって大きな差が出ること=挽きやすい形状はあるという結果が出ました。

       改めて、そうした目でELGIN・ダイヤカットミルを見ると、挽く側が嫌にならない形状(疲れにくい形状)は、横廻しなのかなと思います。ずいぶん遠回りをしてきました。

      長所

      非常に軽い挽き心地。
      分解が楽。あえて言うならネジまわしが必要な事くらい。

      管理人は掃除が苦にならないから、そんなことが書けるのだとお叱りを頂戴するかもしれませんが、プジョーやF303の分解組み立ては苦になるので、やはり楽なのだと思います。

      短所

      重く、大型。
      内部の汚れ方が凄く、考えられないほど、粉がたまる。頻繁な掃除は必須。
      挽くのに時間がかかる(これは挽き心地と大きな関係があります)。

       実際に使ってみると、まったく違うレベルで挽きやすいモデルでした。縦廻し式のミルの重い軽いといったレベルではなく、何杯分でも挽くことができるものでした。 挽いていて嫌になることがないです。「挽くだけ」なら、これが一番です。

       このミルの挽き心地は何が要因となっているのでしょう。今まで比較して分かったことは、
      • ミル本体を固定すること
      • ホッパーの勾配を緩く、段差を作るなどして、引き込む豆の量を少なくすること
      • 螺旋を不均等にして、同時にかかる力を少なくすること
      • 外刃の鋭さをなくして、豆を滑らせること
      が軽い挽き心地を決定する要因だということでした。

       横型の刃でも、上記の条件は合致するのでしょうか。

       以下、いつも通り、他の項目について、大きさなどを、ひとつひとつ見ていくことにします。

      ケースの固定しやすさ(大きさ)

       幅190×奥行180×高さ250 大きさもさることながら、非常に重いです。3.3kgもあります。電動のナイスカットミル2.3kgより重いです。本体が重いことは、本体の固定に有利に働いています。

      ハンドルの動作半径 

       大きく見えますが、80mmしかありません。横廻し式のミルが軒並み100㎜をこえながら、動作が重いことを考えると、このミルがいかに軽く動作するかがわかります。

       注目すべきは、シャフトです。今まで最も太かったシャフトは、ザッセンハウスの8mmでした(HARIO セラミックコーヒーミル・スケルトン・MCSC-2TB新形は7mm、他のモデルは軒並み6mm)。ところがダイヤカットミルは16mmもあります。材質もザッセンハウスはアルミですが、ダイヤカットミルは鋼鉄製です。しかも、長さも短い上に、両側で保持しています。このことによって、よりトルクが伝わりやすくなっています。シャフトの形状・材質、保持方法は、動作の軽さに大きく関係があります。

      刃の形状・鋭さ

      回転側 高さ(5mm 真ん中の四角枠を除く)・径(48mm)・三重突起(2mm)
      固定側 高さ(15mm程度)・径(30mm程度)・三重突起(2mm)

      横型であることに目を奪われますが、向きを変えれば縦型のミルと基本原理が変わらないことがわかります。

      固定側の刃を外刃、シャフトを内刃、回転・固定刃の突起部分を細かく砕く部分と考えれば原理は同じ
      シャフト・固定刃ともに螺旋はなく、鋭さも全くない

      刃の形状を個々に見れば
      • 螺旋はなく、引き込む力を少なくすること
      • 外刃の鋭さをなくして、豆を滑らせること
      など、挽き心地を構成する要素は、横型でもまったく同じだということがわかります。

      刃の材質・硬度

       不明です。ザッセンハウスとプジョーを比較する(2)でも書きましたが、磁石の付き具合から、「鉄系の材質という「印象」です。硬さについては、どの程度なのかは、よくわかりません。鋳物であることは確かです。

      ホッパーの形状

       非常に急こう配です。豆が残ることは、まったくありません。軽い挽き心地の要因である 「ホッパーの勾配を緩く、段差を作るなどして、引き込む豆の量を少なくすること」が、当てはまらないことは事実です。ただ、刃に螺旋がなく、引き込む力がないに等しいので、その分、急な勾配のホッパーが必要になります。
       挽いてみると良くわかるのですが、ダイヤカットミルは実によく豆を弾きます。固定刃の切り込まれた部分に豆が入ってからも、なかなか噛みこまれない豆が必ずあります。あまりに長時間弾かれ続けるので豆に傷がつき、余計な微粉が出るのではないかと気になるほどです。螺旋が全くないのも考えものという気がします。
      急な勾配です。首の部分はザッセンハウスのように垂直に近く、豆が残ることはありません。
      この形状は非常に使い心地が良いです。
      ダイヤカットミルは、その形状から、横廻しであることが、軽い挽き心地を実現するものとして認識されていますが、刃の形状から見れば、
      1. F101の研究で明らかになった、「螺旋は必ずしも必要な形状ではない」こと
      2. 引き込む力を自然落下にとどめ、豆を弾き、一度に噛みこむ量を少なくすること
      3. 刃の鋭さをなくし、豆を滑らせること

      という考え方が、さらに推し進められたものと言えるでしょう。
       
       次回は、今までと同じく、直接挽き心地に関係ないと「思われる」要素を書きたいと思います。

      2015年2月1日日曜日

      F303の刃とF201のボディを組み合わせる(2)

       F303の刃とF201のボディを組み合わせる(1)で、はじめて、コメントを頂戴しましたので、作り方というか、部品形状を載せたいと思います。
       F201の外刃をひとまわり大きくした感じの形状です。材料はPP(ポリプロピレン)を選択しました。適度に柔軟性があり、本体、刃の両方に傷がつくこともありません。コスト的にも有利です。

      アダプター F201の外刃によく似ています

      アダプター 下から見たところ、供回りを防ぐため、突起があります

      ベアリングを組み込むためのものです。不具合があればブッシュに変えるかもしれません
       
       
        ベアリングはNSKのF688ZZを奢りました。粉じんのことを考えると、ブッシュを採用するのが良いのでしょうが、ベアリングのスムースさは、抗しがたい魅力があります。それにZZ型(両側鋼板シールド形)のベアリングがどこまで実用に耐えられるか、テストしてみたいという気持ちもありました。

       さて、このアダプターとスタビライザーの2つの部品だけで、みるっこDXが買える費用がかかります。25セットでやっと2/3程度です(それでも、格安です)。

       皆さんが、不満ながらも納得できる価格(2個で1000円程度でしょうか)にするためには、5000個は作らないとできないでしょう。量産のことを考え、射出成形用の抜き勾配も付けてありますが、どうやら無駄な配慮だったようです。

       精密さ、コストのかかり方では、ベアリングが最も高価な部品であることは間違いありませんが、規格品の量産効果というものは、すごいもので、200円も出せば、この精密な部品が手に入ります。
       少量生産を採算ベースに乗せるのは、想像以上に大変です。

      2015年1月25日日曜日

      F303の刃とF201のボディを組み合わせる(1)

      ナイスカットミル用の替刃の試作には少々時間がかかりそうなので、今回は、(試作の割には)比較的安価で面白そうな試みをしたいと思います。

      F303の研究では、刃の評判が良いが、本体の構造に問題があると書きました。
      • 本体のいたるところに豆や粉が溜まる
      • 豆や粉が溜まるにも関わらず、本体の分解掃除が面倒
      • 刃に至っては、そもそも分解掃除ができない(分解できるよう改造すれば可)
      F201の研究では、本体に魅力が多いと書きました。
      • 挽きやすく疲れない形状
      • コンパクトな本体
      • 分解せずとも楽に掃除ができる構造
      • 所有欲を満たす魅力的なデザイン
       今回は、F303の刃をF201の本体に組み込むことができないかという試みです。F201は色も青に塗り替えてしまいましたし、どうせ改造するなら、思い切っていろいろやってしまえ!という、ある意味、皆さんの心の叫びを実現してしまう企画です。
       
       KONO式ミルのファンなら、誰もが一度は考えたであろう、F303の刃とF201の本体という「KONO式ミルの理想形」を作ってみることにします。
       まず、組み込むことが可能かを確かめます。改造の可否の判断は、既存の部品に手を加えずに組み込めるかにしました。これは、いつで元に戻せるようにするためです。すでに生産が完了したF303・F201は貴重なものであり、不可逆的な改造は望ましくないと考えたからです。
      • 外刃の大きさは問題ありません
      • シャフトの径は同じです。
      • シャフトの長さもそれほど違いません。
      どうやら、大丈夫そうです。

      図面を描いて、PPで作成しました。スタビライザー側の部品も極力細くし、粉がたまらないようにします。
      F201にF303の刃を組み込むアダプター



       ブッシュではなく、ベアリングを組み込んでいます。ベアリングは、もちろん国産です。オリジナルのF303よりも、はるかにスムースに動きます。F303(共通刃:F301・F303・F305・F307・F702・F703)をお持ちの方は、おわかりになると思いますが、それ以上に、軽くハンドルが回転します。

       この感触は、なんともいえずなめらかで、うれしくなって、何度もまわしています。