2016年9月27日火曜日

君の名は 時を渡りて 天伝ふ 誰そ彼ときに 関は消えたり ~ 「君の名は。」のパンケーキを作ってみました(1)

  タイトルと本文を改稿、比較写真を加えました。

 題の歌は、友人が私への返歌として、ある神社に献詠した歌です(少しだけ変えてあります)。

 君の名は 時を渡りて 天伝ふ 誰そ彼ときに 関は消えたり

 二人がはじめて会う、あの瞬間を詠んだ歌は、本当は私が詠みたかったものです。自分では詠みたくても詠めなかった、想像以上の歌を返してくれた友人に、深く感謝しています。

君の名は 時を渡りて 天伝ふ 誰そ彼ときに 関は消えたり ~ 「君の名は。」のパンケーキを作ってみました(2)
君の名は 時を渡りて 天伝ふ 誰そ彼ときに 関は消えたり ~ 「君の名は。」のパンケーキを作ってみました(3)

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 いい歳をして、「君の名は。」を観まして、映画に出てくるパンケーキなど作ってみました。

 今回、F201を改造した結果をレポートするにあたり、いっぱい豆を挽くことになったのですが、コーヒーだけ何杯も飲むのがキビシクなってきたので、お茶請けならぬ、「コーヒー請け」として作りました・・・。とイイワケなんぞしておりますが、単純に映画に感激して作ってしまったわけです。

(イチゴがしょぼくてすみません。この季節、どこにも売っていないので冷凍イチゴを買ってきました。あと、シロップのかけ方が下手だったり、コーヒーカップの柄が違ったりと、いろいろすみません)

君の名は パンケーキ
「君の名は。」のパンケーキ

元ネタ:Googleで画像検索したもの(「ページを表示」ボタンを押しても、元のページで画像が出てこないので、誰のものだかわからないのですが・・・。問題がありましたら削除いたします)

君の名は。パンケーキ 元画像


元ネタとの比較

「君の名は。」のパンケーキ 比較
「君の名は。」のパンケーキ 比較画像

息子からは「いい歳をして、いったい何をしているんだか・・・」とあきれられております。

次回は、ちゃんと、改造したミルのレポートを書くようにします・・・。

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 はじめて映画を見てから一か月以上経つというのに、未だに、この世界観から抜け切れず、いろいろと、書かれたものを読んでいるのですが、この作品は、和歌神話を巧みに取り入れただけでなく、とんでもない情熱や、新海監督の長年の思いが込められていることがわかってきました。

 新海監督とRADWIMPS野田洋次郎さんの対談の中に、「『こういう作品を作ってみよう』なんて思ったところで、やっぱりそれは自分が掲げたゴールで、自分たちの満足のためにやってもそこには絶対に行けない。否が応でもそこに向かっていかざるをえない引力を感じて、そこで自分のまだ知らない引き出しを全部使いたいって思った。純粋にそういう瞬間が好きなんでしょうね。自分の能力を自分のためじゃないところで使いたいと思った時に出てくる新しい自分――こんなことがまだできるんだっていう。それってすごく人間として僕は好きな行為です」」という一文がありました。

 以前、「この世の中のどこかにいらっしゃる、価値観を共有した人のための灯を照らしたいと思います。」といったことを書いたことがあります。

 私もまた、まだ会ったことのない人を探しています。世界のどこにいても必ず会いに行くと約束する人、忘れてはならない人。否が応でもそこに向かっていかざるをえない引力を持つ人のことを思って仕事をするとき、自分の持てる力以上のものが出てきて、必ずそれは実現するものと思います。

 私の目指していたものが、ここにもありました。

 タイトルから【番外】を外します。

 「君の名は。」は間違いなく、熱い情熱をもって作られた大傑作です。

2016年9月3日土曜日

ザッセンハウスの刃とF201のボディを組み合わせる(2)

 前回の投稿からだいぶ経ってしまいましたが、部品群ができましたので、報告いたします。
シャフトは自作野郎さまに作成していただきました。実はザッセンハウスのみならず、プジョー、FISCO、F101、F201用のシャフトも作成しておりました。まったく情けない話なのですが、すべての部品で図面に不備があり、うまく機能しなかったのを、何度も作り直して、ちゃんと組み合わさるようにしてくださいました。このミルが機能するのは間違いなく、自作野郎様のおかげです。改めて感謝申し上げます。
左からF303、F202、F101、FISCO、プジョー、ザッセンハウスの改造部品

 早速、組み合わせて動かそうと思ったところで、下側からシャフトを支えるスタビライザーを作るのを忘れていたのを思い出しました。このスタビライザーは、ザッセンハウス、プジョー、FISCO、F101の刃で共通で使えるよう考えていたのですが、度重なる設計不備のご連絡をいただく間に、自身の設計に不安を覚え、全ての部品が届いてから、寸法に間違いないのを確認した上で、作ろうと思っていたのでした・・・。
 先ほど問題ないことを確認したので、発注をすることにしました。本当は、これも自作野郎さまにお願いをしていたのですが、HDPE・PP・POMなどの素材による、この形状の部品は難しいとのことで、プロの試作業者に頼むことにしました。

 このミルで比較する内容ですが、以前、「KONO式(コーノ式)ミル F101とF303の刃を比較する」で、宇宙の旅人さまより、「(F101とF303の刃で)同じ豆の同じ量、同じ粗さで、挽き時間、挽き心地、粒度のバラツキ比較などして頂けたら幸いです」との要望をいただいておりました。

今後の比較項目を考えてみました。

・ザッセンハウスの刃(スタビライザー有無)
・プジョーの刃(スタビライザー有無)
・F101の刃(スタビライザー有無)
・F303の刃(スタビライザー有無)
・F201の刃(スタビライザー有無、スタビライザーを作っていないので、先になる可能性があります)
・FISCOの刃(スタビライザー有無、変換アダプターを作っていないので先になる可能性があります)

の機種について、それぞれ、空回ししたときの感触の違いと、同じ豆、同じ量で

・同じ粗さ(粗挽き・中挽き・細挽き)で、それぞれ挽き時間(ハンドルの回転回数)
・同じ粗さ(粗挽き・中挽き・細挽き)で、それぞれ挽き心地
・同じ粗さ(粗挽き・中挽き・細挽き)で、それぞれ粒度のバラツキ

を試してみたいと思います。比較項目にリクエストなどございましたら、コメント欄などでご連絡ください。

 ただ、粒度(粗挽き・中挽き・細挽きの粗さ)については、個人差があるのと、それが本当に狙った粒度なのかわからないところもあるので、時間、バラツキは厳密な比較にならないことをお断りしておきます。特に粗挽きは、今までの経験から大きな粒度の粉が多くなるほどバラつきが目立ち、自分が挽いている粗さが、何なのかわからなくなることがありました。

2016年5月8日日曜日

ザッセンハウスの刃とF201のボディを組み合わせる(1)

 以前、F303の刃とF201の本体を組み込んだことがございました。この記事は大変な好評を博しました(といっても、このブログ自体、読者が非常に少ないので、実は数人かもしれないのですが・・・)。

 今回は、ザッセンハウスの刃をF201に組み込んでしまうという、これまた皆さんの心の叫びを実現する企画です。

 KONO式ミルのファンのみならず、コーヒーミルをお好きな方なら、誰もが一度は考えたであろう、ザッセンハウスの刃とF201の本体という「ミルの理想形」を作ってみることにします。

 まず、組み込むことが可能かを確かめます。
  • 外刃の大きさは問題ありません。F303が外刃が組み込めるのですから、大丈夫です。
  • シャフトは、最初のザッセンハウスの改造の段階で切っていますので、新たに作ることにします。
 さらに、F303同様、刃の下にもシャフトをつけ、上下から固定する構造に変更しました。これで、オリジナルのザッセンハウスよりも、精度良く豆を挽くことができます。

 図面を描いて、HDPEで作成しました。F303の時はPPでしたが、これは素材による違いを検証したかったためです。

ザッセンハウス用 F201アダプター(左)とスタビライザー用の下シャフト(右)


 シャフトは自作野郎さまに作成していただきました。図面通りに作っただけでは、うまく機能しなかったであろう状態を、ちゃんと組み合わせてくださいました。私のような素人に、毎回、大変親切で丁寧なアドバイスを下さいました。このミルが機能するのは間違いなく、自作野郎様のおかげです。改めて感謝申し上げます。

 部品作成に当たり、本体の部品群をお渡ししているので、帰ってきたら、組み合わせた写真の記事を書きます。

2016年2月14日日曜日

貝印 THE COFFEE MILLを研究する(2)

 前回は、形状の違いを写真で見てきました。今回は、形状と使い勝手の関係を明らかにしていきたいと思います。比較のため、他機種と同じ項目で追っていきます。使いやすいコーヒーミルの形状とはどんなものか(1)では、
  • 絶対値として、動作が軽いこと
  • 底面が固定されること
  • 押さえる手に無理な力がかからないこと
  • 本体を押さえながら、ハンドルを廻した時に、押さえた手と干渉しないこと
を満たす形状として
  • 廻した時に左手に当たらない高さに、ハンドルが配置されている
  • 左手で押さえる際、親指と人差し指を開いて握るような形状は押さえやすい
  • 角のない受け皿
  • 分解しやすく、場合によっては洗える本体
を考案しました。貝印 THE COFFEE MILLは上記の条件を満たしているのか、検証することにします。
  • 廻した時に左手に当たらない高さに、ハンドルが配置されている
  貝印 THE COFFEE MILLは、ちゃんと適切な高さにハンドルがあります。いろいろな姿勢で挽いてみましたが、どんな時でも干渉することはありません。後述しますが、このミルは、手に持って挽くのではなく、底面を付けて挽くことを前提に作られています。底面には有効に機能する滑り止めが付いています。

底面には有効に機能する滑り止めが付いています

  • 左手で押さえる際、親指と人差し指を開いて握るような形状は押さえやすい
  このミルは握る場所を間違えることがありません。迷うところがないのは、良いデザインです。しかし、全体的に太いです。握るより、掌の面で支えた方が力が入るという検証がなされたと思いますが、それでも力の弱い人の手は小さいことが多く、そうした人たちが握りやすい太さより、若干太いと思います。
  • 角のない受け皿
「角のない受け皿」の条件を満たすのはもちろん、AS(アクリロニトリルスチレン共重合体 SAN)ですので気軽に洗うこともできます。本体との固定方法はネジではなく、バヨネット式です。必要以上にピッチが細かくなく、微粉に強い構造になっています。ただし、静電気が凄いです。 

左がTHE COFFEE MILLの受け皿、若干青みががっており、材質が異なることがわかります

  • 分解しやすく、場合によっては洗える本体
  シャフトを本体にがっちりと固定するため、シャフト部分は分解できません。古い粉を残したくない私としては、掃除のしやすさを優先したいのですが、シャフトのブレを防ぐのは、このミルの最大のポイントなので、設計変更の余地はないのでしょう。これは思想的な問題です。

 外刃の固定方法は、下から「外刃が落ちないように固定するための固定具」を本体にはめ込んでいます。昔ならネジ留めするところを、柔らかい素材(POM)で圧入しているのが現代的です。設計の進歩を感じさせます。
  • 刃の形状・鋭さ・材質・硬度
  ryota sawakiさまよりご教示いただいた通り、ほぼ間違いなくポーレックス社製の刃を使っています。今回、自分で設計した内刃・外刃を作るに当たり、ずいぶん工場をまわったのですが、自社開発するには、多額の費用がかかります。金型を作るだけでなく、1個1個のパーツとしても、かなりの単価になるのです。既成の刃を流用するのは、価格を抑えるためにも良い選択と思います。しかも、この刃には実績があるのです。

 セラミックの会社に、この刃を見てもらった所、この金型はだいぶ「ダレて」いるとのことでした。ずいぶん使ったわけで、それだけ売れているようです。現在交換パーツは、1個500円(ポーレックス社の自社部品、OEMは不明)で販売されているようですが、型を作り直しても、この金額でできるのでしょうか。なんとか、今後も供給され続けることを祈っています。


赤丸部分が、ダレている部分 機能には影響はないと言って良いと思います


 今まで全てミルについて、使用感の違いを以下の6点になると思うと書いてきました。貝印 THE COFFEE MILLではどうなのか、同じ項目について個別に見ていきます。
  1. 挽き心地が軽いか否か
  2. ホッパーに豆が残るか否か
  3. ホッパーの縁に挽いた粉が飛び散るか(汚れが激しいか)
  4. 粒の大きさの調節機構が使いやすいか否か
  5. 分解がしやすいか
  6. 豆の入れやすさ
  • 挽き心地が軽いか否か 
かなり軽快な挽き心地です。しかし、ディアボロ型のミルは、手に持って挽くほうが、さらに楽なのです。このミルは、底面をつけて挽くことを前提に考えられているため、若干無理があります。
  • ホッパーに豆が残るか否か
  傾斜角度は、ザッセンハウスではなく、プジョーのホッパーに近いです。底面をつけて、軽く挽くことを前提にしているため、一度に噛みこむ量を減らすようにしたのでしょう。ABS樹脂成形のため、段差などはなく、豆が残ることはありません。
 ryota sawakiさまより、豆の形状が大きく、浅煎りの固い豆だと、よく空すべりし、なかなか挽けないとの指摘がありました。
 良く観察すると、外刃の内径が小さいため、大きな豆をなかなか噛みこまないようです。しかし、一度に噛みこむ量を少なくするためと考えれば、両者はトレードオフの関係にあるのかと思います。
 


底面に使い部分の傾斜がなだらかになっており、一度に噛みこむ量が少なくなっている


  • ホッパーの縁に挽いた粉が飛び散るか(汚れが激しいか) 
  セラミックの刃は静電気を帯びにくいので、ほとんど粉がこぼれないと思っていたのですが、外刃
残った微粉が受け皿と本体スカート部の内側に付着します。受け皿内部に付着するのは仕方ないとして、スカート内部に付着した粉が、周囲を汚すのは困りものです。その場で粉を落としたと思っても、時間がたつと落ちてくるので、収納場所が汚れます。これは想定外でした。
 今まで、セラミックの刃を使いさえすれば、かなり静電気を防げると思っていたのですが、そうでもないようです。私の考えるミルでは、受け皿はガラスを使っているため、少しは静電気の影響は少ないのかも知れませんが、本体の材質も影響が考えられるわけで、試作した際にはどうなったか、報告しようと思います。


  • 粒の大きさの調節機構が使いやすいか否か
 調節機構は、セラミックスリム・MSS-1同様、内刃の下で行う方式です。この方式は、ハンドルの組立構造に無理がないので、とても優れています。特に形状は大型の蝶ナットで、底から奥まったところにありますが、全く問題なく廻せます。これについては、セラミックスリム・MSS-1より使いやすいです。

THE COFFEE MILLの蝶ナット 大きくて操作性が良いです
  • 分解がしやすいか 
 分解を前提にしているところは、工具を使わずに分解・組み立てができます。しかし、シャフト固定部以外にも、内刃と内刃のシャフト伝達部品が分解できません。ここは非常に汚れる箇所なので、分解できた方が良いと思うのですが、なぜか分解できない構造になっています。今回、形状を見るため、先端部を削り無理やり分解しましたが、こんなことはしたくなかったです。
内刃と、内刃のシャフト伝達部品 そのままでは分解できないため、先端を削りました・・・。


  • 豆の入れやすさ
 投入口は、本体の大きさに比べれば驚くほど浅いですが、これは握りやすい形状を優先しているためです。絶対的に浅いため、豆の飛び散り防止フタは必須です。フタの開け閉めは、ハンドルの取り外し、装着が楽な個体の場合は苦にならないのでしょうが、私の個体では、毎回ハンドルを外すのが面倒です。また、フタが本体に密着しないため、手に持って挽くとカタカタと動きます。フタを指で抑えながら挽くと持ちにくくなります。先ほど、このミルは底面をつけて挽くことを前提としていると書いたのは、このためです。
  • 結論・評価
 最後に評価です。このミルは、判断に迷います。ここ数日間の印象は、「ディアボロ型の最新設計のミルにもかかわらず周囲を汚すミル」です。挽いた粉の品質を考えれば間違いなく、このミルは素晴らしいです。しかし、構造的に私の考えるミルとは方向が違います。

 第一に、分解掃除できない個所の多さです。道具を使えば分解できるのならともかく、道具を使っても分解できないことが問題です。ズレを防ぐために、がっちり固定することが目的なのは良くわかりました。しかし、古い粉を取り除くことができない構造には、疑問が残ります。
 これは、私の考える、良いコーヒーミルの条件、第二条件 、分解・掃除・組立がしやすいことを満たしません。
 第二に、形状の問題です。ディアボロ型にも関わらず底面をつけて挽くことを前提に考えているため、手に持った際はいろいろ不都合があります。かなり大型で、圧迫感もあり、手の小さな人が握るのには太いのも気にかかります。
 これは、私の考える、良いコーヒーミルの条件、第三条件、挽き心地が軽いこと、第五条件、収納しやすい事を満たしません。

 第三に、材質、仕上げの問題です。本体をピアノブラックや蒔絵にする割には、ハンドルの打ち抜き面が雑だったりします。また、受け皿にASを採用したことなのか、静電気が凄いです。スカートの裏面に付着した粉が後から落ちてくる構造は、いただけません。あとは、これは私の好みの問題ですが、ABSのピアノブラックや、多面体(本体・握り玉)に高級感を感じないので、どうも好きになれません。セラミックスリム・MSS-1のシンプルさの方が好きです。
 これは、私の考える、良いコーヒーミルの条件、第四条件、周囲を汚さないことを満たしません。第七条件の満足感の問題は、好きではありませんが、好みの問題でもあるので、あえて条件から外します。

 私がこのミルを好きになれないのは、自分の理想とするミルと相違があるためです。最新型なので、ずいぶんと辛口になりましたが、あらゆる点で、ザッセンハウス、プジョー、ダイヤカットミルとは、比べ物にならないのは事実です。はじめてディアボロ型のミルを使った後に評価をしたら、あまりの素晴らしさに興奮して、ほめちぎっていると思います。

2016年1月31日日曜日

貝印 THE COFFEE MILLを研究する(1)

 今回は貝印の現行モデル「貝印 THE COFFEE MILL」を取り上げることにします。まったく、お恥ずかしい話なのですが、KU-rubushiさまより、コメントを頂戴するまで、このミルの存在を知りませんでした。調べて見ると、大変好評なモデルのようで、一時期生産が追い付かず、販売を停止していた模様。アマゾンなどの販売サイトでも見つからなかったのは、そのせいでしょうか(いやいや、自分の不勉強を棚に上げてはいけませんね)。

 ホームページを拝見しますと、

“コーヒーハンター”川島氏との共同開発
 世界中のコーヒー農園を回り、コーヒーを知り尽くした川島氏の「コーヒー豆のおいしさを最大限に引き出し、自宅で最高のコーヒーを楽しんでほしい」という想いを実現するために開発された「TheCoffeeMill」。
 3年の歳月をかけて開発されたこの商品は、「家挽き」という自宅での一杯にこだわるコーヒーユーザーに向けて、雑味の元となる微粉が出にくい構造を新たに開発しながら、挽きやすさとインテリアとしての完成度も目指して製品化されました。

“新開発の「FIXグラインド機構」”

 雑味の元になる微粉を減らし、挽いたあとの粒を均等にするために新たに開発した新技術「FIXグラインド機構」。
 一般的なコーヒーミルは、上下に分かれた挽き臼の一方だけを固定しているものがほとんどで、
臼がブレやすく微粉が出やすい構造でしたが、「TheCoffeeMill」は、上下の臼を両方とも固定することににより、微粉が出にくく安定した大きさで豆を挽く事を可能にしました。

(引用ここまで)

とあります。当ブログとは異なり、味のわかる方が考えられたミルのようで、微粉を減らすことが主な目的のようです。

 構造を拝見しますと、なんと当ブログの考えていた上下ベアリング固定方式と相似形をなしています。

THE COFFEE MILLのシャフト固定構造



私の考えたシャフト固定構造(緑色の部品がベアリング)

 当ブログでは動作が軽く、スムースな動きを実現するためにベアリングを採用しました。最初はF301と同じような位置に配置しましたが、ベアリングをちゃんと固定すること、ミル内部の汚れを防ぐために、上部に配置しましたが、結果的に似たような構造になっています。

 当ブログの作るミルは、良いミルの条件として粒度を安定させることは考えていましたが、もしかしたら、微粉も減らすことができるのではないでしょうか。ということは、味が良くなるかもしれない・・・。非常に勇気づけられます。


以下、いつも通りのフォーマットに従い比較していきたいと思います。



  ディアボロ型の例にもれず、このモデルも、構造的に実によく考えられています。部品点数は、今までで最も少ない「セラミックコーヒーミル・スケルトン・MSS-1TB」よりもさらに少なく 10点(分解可能な部品)しかありません。

本体シャフト部分は分解できないのでこうなります

ホッパーの形状

 第一印象は「とても大きい」でした。写真ではあまり大きさが変わらないように見えますが、高さはともかく、幅というか太さが非常にあります。その割にはホッパーは非常に小さく、豆がいっぱい入るわけではありません。底面を付けて挽いたときに安定するような形状にしたと思われます。

インテリアとしても見栄するようとのことから、全体が鏡面加工されています。

写真ではほとんど伝わりませんが、非常に大きいです

    • ハンドル長
    110mmです。「セラミックコーヒーミル・スケルトン・MSS-1TB」(100mm)より若干長いです。握り玉の大きさは、ほぼ同じです。これも鏡面加工されています。
    打ち抜き面をみると、HARIOのMSS-1TB(下)の方が仕上げが良いです

    • 刃の形状
     内刃は、「セラミックコーヒーミル・スケルトン・MSS-1TB」にほぼ、相似の刃がついています。
     HARIOの刃に比べると、エッジがだいぶ甘いです。しかし、今までの研究から、必ずしもそれが悪い結果につながるわけではありません。


    右の白いほうがTHE COFFEE MILL エッジが甘いです

    右の白いほうがTHE COFFEE MILL 外刃もエッジが甘いです

    共周りを防ぐために、ヘクサロビュラ形状を採用したようです。
    ヘクサロビュラは、面で支えないとあまり意味がないようなのですが、大丈夫でしょうか。

    原則、分解はできません。今回は先端部を削って無理やり分解しました。
    なぜそこまで固定にこだわったのかは不明です。

     このミルを探した際に、非常によく似た刃のミルを見つけました。ポーレックス社製です(ただし、廻り止めの構造が異なり、HARIOの廻り止めに似ています)。貝印はポーレックスから刃の供給を受けているのでしょうか?


    分解組み立てなど、とてもきれいな写真で紹介されています


    そこで、なんと内刃が500円で売られていることを発見


    どうやら国産の模様。

    今まで散々、いろいろな業者に頼んできて、とんでもなく高額か、技術的にできないと断られてきたのが、いったいなんだったのか・・・・。


    次回は、形状と使い勝手の関係を明らかにしていきたいと思います。

    2016年1月17日日曜日

    Cartierのこと(1)

    女性もののCartierです。insolentで入手しました。

    1920年代のトーチュです。ムーブメントはもちろんEWCです。もったいなくて、一度も腕にしていません。

     この時計を入手するときは、当時のCartierのCEOだったルイ・アルノー氏も入手したがっていたようですが、それを先に買い付けたと教えてくださいました。氏が入手していれば博物館行きです。当時ですら、これだけ、コンディションの良いトーチュは見つかりませんでした。今でも、コンディションは圧倒的です。



    プラチナですが、非常に軽いモデルです。プラチナは重いので、軽く作ることが加工技術の高さを証明していました。実際、これだけ高品質の大きなムーブメントを搭載しながら、ここまで軽くすることは至難の業です。

     金やプラチナは重たいから、時計も重いといった、わかりやすい価値観とは対極にあります。



    2015年12月31日木曜日

    このミルが存在する意義、土俵はいったいに何か

     昨年末、コーヒーミルに対する自分のスタンスを書きましたが、今年もまた書いてみたいと思います。
    手に入れた部品群 すべて国産です


     このミルが存在する意義、土俵はいったいに何なのかを考えてみました。

     価格、品質などで勝負するのか。

     価格はどう考えても、勝負になりません。以前研究したHARIO製のミルは、あれほどの高品質でありながら、3000円も出せば手に入るのです。個人だから利益を削ってでも安くできるといった話ではありません。そもそもシャフト1本を加工するだけで、あっという間に3000円に達してしまいます。価格での勝負などお話になりません。

     品質はどうでしょう。もちろん「過剰品質」としますが、現代の日本で手に入る部品は、写真を見てもお分かりの通り、そもそも品質が良いのです。これから作る特注品はさらに良いものにし、見る人が見れば明らかに良いものにしますが、現代の工作機械で作る限り、工業製品として、圧倒的な差がつくものではないと思います。

     では、このミルが存在する土俵は何か。

     私は、下町ロケットや、超絶スゴ技などに出てくる、偉大な技術者、職人を頂点に頂く、広いすそ野を持った、モノづくりの山々のふもとにいると思っています。

     今回作るものは、ロケット部品の精度を求められるものではありません。しかし、お世話になっている会長をはじめとする、モノづくりに携わる方々のネットワークは、明らかに高品質の製品を世に送り出しています。私は間違いなく、偉大な山々を支える一員におり、誇りを持って、この仕事に当たっています。

     下町ロケットを見ながら、何度も頬を熱いものが伝わりました。

     今回つくるミルは、その偉大な山々を構成する人々を支える糧となるものです。すべての部品を国産で賄い、この国でモノづくりが続けられるよう、物資、金銭面から支えていきます。まことにわずかで、支えるなどという言葉が恥ずかしくなるような量ではありますが、それでもほかの国で作れば、間違いなくその分はマイナスになるのです。

     このミルを構成するのは、誠の志です。

     必要な場所に、必要なコストをかけた部品を使います。同じような製品があれば、高くとも国内の雇用に結び付くものを選びます。ただそれだけではありますが、誠実なモノづくりに徹します。

     本田宗一郎氏が掲げた基本理念に「三つの喜び(買う喜び、売る喜び、創る喜び)」.というものがあります。以下に全文を引用します。

     私は吾が社のモットーとして「3つの喜び」を掲げている。即ち3つの喜びとは、造つて喜び、売つて喜び、買つて喜ぶという3つである。
     第1の造る喜びとは、技術者のみに与えられた喜びであつて、造物主がその無限に豊富な創作欲によつて宇宙自然の万物を作つたように、技術者がその独自のアイデアによつて、文化社会に貢献する製品を作り出すことは何物にも替え難い喜びである。然もその製品が優れたもので社会に歓迎される時、技術者の喜びは絶対無上である。技術者の一人である私は斯様な製品を作ることを常に念願として努力している。
     第2の喜びは、製品の販売に当る者の喜びである。吾が社はメーカーである。吾が社で作つた製品は代理店や販売店各位の協力と努力とによつて、需要者各位の手に渡るのである。この場合に、その製品の品質性能が優秀で、価格が低廉である時、販売に尽力される方々に喜んで頂けることはいうまでも無い。良くて安い品は必ず迎えられる。よく売れるところに利潤もあり、その品を扱う誇りがあり、喜びがある。売る人に喜ばれないような製品を作る者は、メーカーとして失格者である。
     第3の喜び、即ち買つた人の喜びこそ、最も公平な製品の価値を決定するものである。製品の価値を最も良く知り、最後の審判を与えるものは、メーカーでもなければ、デーラーでもない。日常製品を使用する購買者その人である。「ああ、この品を買つてよかつた」という喜びこそ、製品の価値の上に置かれた栄冠である。私は吾が社の製品の価値は、製品そのものが宣伝してくれるとひそかに自負しているが、これは買つて下さつた方に喜んで頂けることを信じているからである。
     3つの喜び、これは吾が社のモットーである。私は全力を傾けてこの実現に努力している。

    引用ここまで。

    誠にシンプル、単純明快にして、余すところなくモノづくりの本質を語っています。

     このミルを持たれる方は、間違いなく、偉大な山々を構成する一員です。その喜びを皆様と共有したいと思います。